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平成二十八年十二月十二日提出
質問第二一一号

安倍総理の真珠湾訪問を発表した会見内容に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




安倍総理の真珠湾訪問を発表した会見内容に関する質問主意書


 平成二十八年十二月五日、安倍総理は、アメリカのオバマ大統領との会談及びハワイの真珠湾を訪問することを総理大臣官邸での会見(「本会見」という。)で明らかにした。
 本会見で、「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、その未来に向けた決意を示したい、こう思います。同時に、正に日米の和解、この和解の価値を発信する機会にもしたいと考えています。今や日米同盟は世界の中の日米同盟として、日米共に力を合わせて、世界の様々な課題に取り組む『希望の同盟』となりました。その価値は、意義は、過去も現在も未来も変わらない、このことを確認する意義ある会談となると思います」と述べ、「昨年、戦後七十年を迎え、米国議会において演説を行い、私の七十年を迎えての思い、考えについて発信したところであります。その中において、真珠湾を訪問することの意義、象徴性、和解の重要性について発信したいと、ずっと考えてきました」と表明した。
 この会見内容について疑義があるので、以下質問する。

一 本会見でいう「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない」とは、日本があらゆる国と戦争をしないという意味なのか、それとも米国とは二度と戦争をしない意味なのか。政府の見解を示されたい。
二 一九五一年九月四日、アメリカのサンフランシスコにおいて五十二カ国の代表参加のもと、平和会議が開催された。同月八日に平和条約署名式が行われ、会議参加国のうちソ連、ポーランド、チェコスロバキアの三カ国を除き、米国も含む四十九カ国が平和条約に署名しており、これをもって、「日米の和解」のみならず、日本の国際社会への復帰の第一歩と見るのが通例である。本会見でいう「日米の和解」とは具体的に何を指すのか。この一九五一年の平和会議では十分ではなく、政府は今次の安倍総理の真珠湾訪問を何らかの国際法上あるいは国際政治上の「この和解の価値を発信する機会」とすべき機会であるととらえているのか。政府の見解を示されたい。
三 安倍総理はなぜこの時期に「日米の和解」を強調するのか。これは何を意図しているのか。政府の見解を示されたい。
四 本会見でいう「世界の様々な課題に取り組む『希望の同盟』」とは、具体的に例示すれば、「世界の様々な」どのような「課題」を想定しているのか。政府の見解を示されたい。
五 本会見でいう「世界の様々な課題に取り組む『希望の同盟』」における「希望の同盟」とは、具体的に何を指すのか。政府の見解を示されたい。
六 政府は、日米同盟には地理的概念を持たない旨の国会答弁を行っていると承知している。本会見でいう、「今や日米同盟は世界の中の日米同盟として、日米共に力を合わせて、世界の様々な課題に取り組む『希望の同盟』」という発言は、このような過去の政府答弁を改めて確認し、日米安全保障条約に基づく自衛隊の活動範囲を「世界の中」に拡大する意向をハワイでの会談で、オバマ大統領と確認するものであると理解してよいか。政府の見解を示されたい。
七 十二月七日の産経新聞は、「中国外務省の陸慷報道官は七日の定例記者会見で、安倍晋三首相の真珠湾訪問に関連して「日本側が深く反省して誠実に謝罪しようと思うのならば、南京大虐殺記念館であれ九一八事変(満州事変)記念館であれ七三一部隊の遺跡であれ、中国側には慰霊のために提供できる多くの場所がある」と述べた」ことを報じた。また中国の世論には「日本の評論の中には真珠湾よりも南京大虐殺記念館に行くべきだとの声」があるとも承知している。外交には優れたバランス感覚が必要である。平成二十七年八月十四日の安倍総理の内閣総理大臣談話でも、「戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました」、「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです」と表明している。これらの発言を踏まえるならば、外交上のバランスから、安倍総理は中国政府の示唆するように南京に慰霊のために訪問することも検討すべきではないか。政府は総理の南京訪問を検討したことはあるのか。仮に訪問を検討したことがないとすれば、どのような理由からか。政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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