衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十九年二月七日提出
質問第四八号

国民健康保険の赤字の解消と前期高齢者交付金の格差の是正に関する質問主意書

提出者  仲里利信




国民健康保険の赤字の解消と前期高齢者交付金の格差の是正に関する質問主意書


 沖縄県では急速に高齢化が進展し、それに伴い様々な問題が生じている。その中でも近年特に大きな社会問題となっているのは、赤字が拡大し続け、市町村財政の重荷となっている国民健康保険財政であり、これを支援するための制度として導入されたはずであるが、解消に繋がっていない前期高齢者交付金制度である。
 そこでお尋ねする。

一 全国と沖縄県内の国民健康保険税の収納率について政府の承知するところを明らかにされたい。
二 前期高齢者交付金制度の趣旨と目的、開始時期、全国と沖縄県内の市町村の加入割合、交付金の算出方法について政府の承知するところを明らかにされたい。
三 前期高齢者交付金制度が発足してから現在までに、沖縄県内の市町村が国民健康保険財政の赤字を補てんするために一般会計から法定外に繰り入れした総額と各年度の額について政府の承知するところを明らかにした上で、市町村が一般財源から国民健康保険財政の赤字を法定外で補てんすることは妥当と思われるのか、そして前期高齢者交付金制度の発足時にどのような問題が生じることを想定していたのか、国民健康保険の赤字補てんのために一般会計からのさらなる支出が行われるであろうことを想定していたのか、ということについて政府の見解を答えられたい。
四 報道によれば、沖縄県では、沖縄戦の影響で一九四五年から四六年前後の出生数が急激に減少し、前期高齢者(六十五歳〜七十四歳)の割合が全国最下位と極端に低くなっているため、結果的に制度への加入者が少なくなり、前期高齢者の割合に応じた交付金が全国より少なくなっているとのことである。そうであるならば、まず一九四五年から四六年前後の全国と沖縄県内の出生数、全国と沖縄県内の前期高齢者の割合とそれに応じた交付金の交付状況について政府の承知するところを明らかにした上で、去る沖縄戦による出生数の急激な減少は沖縄の特殊事情として考えるべき事案であるか否かについて政府の見解を答えられたい。
五 国民健康保険加入者一人当たりの交付額について全国と沖縄県を比較した場合、総額及び各年度でどの程度の差額が生じているかについて政府の承知するところを明らかにされたい。
六 前期高齢者交付金制度の趣旨と目的に照らした場合、全国と沖縄県との間で差額が生じていることは適正でないと本職は考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
七 沖縄戦の影響で出生率が急激に減少し、前期高齢者の割合が全国最下位となっている沖縄県では交付金が少なくなったため、国民健康保険財政が悪化をたどり、単年度の赤字だけで百億円近くに上るとのことである。そうであるならば、沖縄県内の市町村における国民健康保険財政の赤字の状況について政府の承知するところを明らかにした上で、国民健康保険財政の赤字の理由や現況、今後の見通し、改善策について政府の見解を答えられたい。
八 報道によれば、全国の市町村では二〇一八年度までに国民健康保険財政の赤字がほぼ解消されるのに対して、沖縄県内では二〇一八年度から二四年度までの七か年間で赤字総額が数百億円に達する可能性があるとのことである。このような沖縄県内の現状について政府の承知するところを明らかにした上で、なぜ全国では解消されるのに、沖縄県内の市町村では逆に赤字が膨れ上がる見通しになるのか、両者に違いが生じるそもそもの理由は何か、どこに問題点や課題があったのか、突き詰めれば前期高齢者交付金の制度設計自体に問題があったのではないか、ということについて政府の見解を答えられたい。
九 沖縄県内の市町村は、国民健康保険財政の赤字を補てんするため、一般会計から多額の法定外支出を余儀なくされているが、これにより一般会計で実施すべき事業や他の市民サービスに多大な弊害や問題点が生じることが懸念され、実際に支障が生じている市町村もあるとのことである。このことについて政府の認識と見解を答えられたい。
十 質問九に関連して、沖縄県や各市町村では、国民健康保険の赤字を解消する手立てが見いだせず、万策尽き果てて国民健康保険税の引き上げしかあり得ないとの声が出始めている。沖縄県内の市町村における国民健康保険税の引き上げの実施状況や見通しについて政府の承知するところを明らかにした上で、安易に国民健康保険税を引き上げることが妥当か否かについて政府の見解を答えられたい。
十一 塩崎恭久厚生労働大臣は二〇一五年二月六日の参議院決算委員会で「沖縄の特殊な状況の認識を十分に深め、特別調整交付金のあり方を含めて、地域ごとの実情をよく踏まえながら検討していきたい」と約束した。また、政府は二〇一五年十一月十七日に「財政悪化が著しい沖縄県内市町村の国民健康保険の財政支援を強化する方針を決めた」とのことである。しかし、未だに抜本的な改善といえるだけの成果に結びついているとは言い難い状況である。そのため、現在に至ってもなお、沖縄県や市町村が強く改善を要望しているところである。早急に他都道府県と同様に二〇一八年度までに赤字を解消すべきであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十二 沖縄県や県内の市町村は、これまで政府に対して国民健康保険の特別調整交付金制度が沖縄県にとって有益な制度となるように改善を訴え続けてきているが、現在に至っても何ら改善されていない。沖縄県等の改善の要望に対する政府の対応策を明らかにされたい。
十三 沖縄県内の市町村は、前期高齢者交付金制度の発足以来、これまで国民健康保険税の収納率の向上やジェネリック医薬品利用の推進、医療費の減少に繋がる努力の積み重ねなど様々な取り組みを行ってきたところであるが、沖縄県や市町村のこのような取り組みに対する政府の認識と見解を答えられたい。
十四 質問十三に関連して、沖縄県内一人当たりの医療費は全国で最も低いことから、国民健康保険の赤字に直結するものではないとの識者の指摘もあるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十五 質問十三及び十四に関連して、沖縄県内の市町村の取り組みにもかかわらず、国民健康保険の赤字が一向に改善されずに、前期高齢者交付金制度の趣旨と目的が達成されていないことを鑑みると、沖縄県内の市町村や沖縄県民に非や責任があるのではなく、制度自体に問題があることや、沖縄戦での出生率の激変という沖縄の特殊事情にあることは明らかであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.