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平成二十九年二月二十日提出
質問第七九号

「戦闘」という言葉と「法的な意味における戦闘行為」の違いに関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




「戦闘」という言葉と「法的な意味における戦闘行為」の違いに関する質問主意書


 稲田防衛大臣は、国会答弁で一般的な言葉としての「戦闘」と「法的な意味における戦闘行為」を使い分けている。例えば、平成二十九年二月八日の衆議院予算委員会で、南スーダンでのPKOに参加している陸上自衛隊が作成した報告資料における戦闘という言葉の認識を問われ、「なぜ法的な意味における戦闘行為があったかどうかにこだわるかといいますと、これは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為が仮に行われていたとすれば、それは憲法九条上の問題になります」、「憲法九条の問題にかかわるかどうかということでございます。その意味において、戦闘行為ではない」との答弁を行った。
 これらの答弁に関して疑義があるので、以下質問する。

一 「法的な意味における戦闘行為」とはどのような定義なのか。
二 一般的な言葉としての「戦闘」と政府のいうところの「法的な意味における戦闘行為」の相違点は何か。
三 平成二十八年七月十一日の南スーダン派遣施設隊の日々報告第一六三九号には、「戦闘」との文字が散見されるが、この報告上の「戦闘」とはどのような意味を持つのか。その根拠とともに政府の見解を示されたい。
四 今後の日々報告の中に「戦闘」という言葉が含まれる場合、その言葉は政府がいうところの「法的な意味における戦闘行為」であるか否かを誰の責任において、報告後のどの時期にどのような根拠に基づいて判断するのか。見解を示されたい。
五 今後の日々報告において、政府が言うところの「法的な意味における戦闘行為」とそれ以外の「戦闘」を区別して報告させるべきと考える。それが現地情勢をより正確に報告することであると思われるからである。この点に関して、政府の見解を示されたい。
六 ここでいう「法的な意味における戦闘行為」とは、日本国憲法第九条から派生するところで、防衛省ホームページで示されるところの「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解され」ていないものの、「武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであり、憲法上許されない」行為であるという理解でよいか。
七 防衛省ホームページで「わが国が自衛権の行使としてわが国を防衛するため必要最小限度の実力を行使できる地理的範囲は、必ずしもわが国の領土、領海、領空に限られませんが、それが具体的にどこまで及ぶかは個々の状況に応じて異なるので、一概には言えません」と示されているものの、南スーダンにおける一般的な意味での戦闘状態あるいは「衝突」は、「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解され」ないとした政府見解に整合しないおそれがあるため、「憲法九条上の問題」になる懸念があり、「その意味において、戦闘行為ではな」く「衝突」であると呼称されているという理解でよいか。
八 日本国憲法第九条のもとで許容される自衛の措置としての武力の行使の新三要件の一つは、「わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」であるが、南スーダンにおける現状はこれに該当していないと考えてよいか。
九 八に関連して、南スーダンにおける現状は、「わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」したわけではないため、新三要件を満たさず、自衛権行使の事例となりえないため、「法的な意味における戦闘行為」足り得ないのか。あるいは、「人を殺傷しまたは物を破壊する行為」の主体が国または国準でないために、「わが国に対する武力攻撃が発生したこと」にならず、「法的な意味における戦闘行為」足り得ないのか。見解を示されたい。

 右質問する。



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