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平成二十九年四月二十一日提出
質問第二四八号

わが国における重婚に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




わが国における重婚に関する質問主意書


 日本国憲法第二十四条では、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とした上で、「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」と規定され、一夫一婦制を要請している。
 民法第七百三十二条では、「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」とし、重婚を禁止している。これに違反した場合、刑法第百八十四条で「配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、二年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする」との罰則が設けられている。
 平成二十九年一月に公刊された橘玲氏の「ダブルマリッジ」で指摘をされているように、戸籍には婚姻欄にふたり以上の配偶者が記載される例は少なからずあり、実質的には「重婚状態」(ダブルマリッジ)が可能になっている。また、先に辞任した経済産業大臣政務官の例を引くまでもなく、既婚者が海外で婚姻し、結婚証明書を得る事例が発生している事実もある。
 かかる観点から、以下質問をする。

一 配偶者のある者が国外で別の者と結婚式を行い、結婚証明書を得ることは可能である。これはわが国の法令に反する行為であるか。
二 日本国憲法下で、刑法第百八十四条の罪で有罪が確定した者はいるのか。いるとすれば、その件数はどの程度であるか。
三 戸籍にふたり以上の配偶者が身分事項に書かれている場合、当該事務を担当する自治体職員はその事実を把握できる。政府は、現在、複数の配偶者が戸籍に記載されている件数が全国でどの程度であると承知しているのか。
四 三に関連して、自治体の当該事務を担当する職員が重婚状態を把握した場合、政府は当該自治体に適切な対応を行い、その解消を促すように指示しているのか。
五 現行制度上、重婚状態にある全ての者の重婚状態を解消することは可能か。可能ではない場合、なぜそれが可能でないのか。
六 日本人と外国人が第三国で婚姻する場合、婚姻の方式は、法の適用に関する通則法第二十四条第二項により、「婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による」。同法第二十四条第三項では、「前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする」とされているため、配偶者となる外国人の本国法で定める方式によることもできる。婚姻挙行地の法による方式、配偶者となる外国人の本国法で定める方式は、宗教婚、儀式婚など多種多様であるが、そこで有効に成立した婚姻は日本においても有効であろう。戸籍法第四十一条は、「外国に在る日本人が、その国の方式に従つて、届出事件に関する証書を作らせたときは、三箇月以内にその国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその証書の謄本を提出しなければならない」とし、婚姻者には大使館等への届出義務が生じるが、この手続きを怠って戸籍に記載されなくても婚姻は有効である。他方、届出をしない場合、戸籍の外観上は未婚であり、重婚が可能となる。「ダブルマリッジ」によれば、一九八〇年以降、このような事例は増加しているが、政府はかかる現状を把握しているのか。
七 六に関連して、政府はかかる事例を回避するため何らかの対処を取ってきたか。また、今後、法令の改正なども含めて、重婚が行われない、あるいは重婚が解消されるために、どのような対応を行うべきだと考えているのか。
八 偽造や虚偽の離婚届により、外見上、その婚姻が解消されても、実質的に婚姻が存続している場合、新たな婚姻を行えば重婚状態となる。名古屋高裁昭和三十六年十一月十八日判決では、戸籍上重婚に見えないとしても法律上の婚姻が重複しておれば一夫一婦制を破壊する行為であり、重婚罪に当たると示されている。この判決以後、五十年以上が経過しているが、こうした事例に関して、重婚を回避するために政府はどのように取り組んできたのか。

 右質問する。



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