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平成二十九年四月二十八日提出質問第二七二号
北朝鮮有事における国民の保護に関する基本指針の運用に関する質問主意書
提出者 逢坂誠二
北朝鮮有事における国民の保護に関する基本指針の運用に関する質問主意書
北朝鮮によって繰り返される核実験や弾道ミサイル実験を受け、政府は有事の対処法の周知に乗り出しているが、実際には態勢が整っていないことが懸念される。平成十七年に策定した「国民の保護に関する基本指針」(以下、「基本指針」という。)では、「弾道ミサイル攻撃の場合」、対策本部長である都道府県知事は、「弾道ミサイル発射の兆候を事前に察知できる場合には」、「迅速に避難措置の指示をすることが重要である」とした上で、「発射された段階で攻撃目標を特定することは極めて困難であり、攻撃目標が判明した場合でも、極めて短時間で我が国に着弾することが予測されるとともに、弾頭の種類により対応が大きく異なることから、対策本部長は、当初は屋内避難を指示するものとし、弾道ミサイル着弾後に、被害状況を迅速に把握した上で、弾頭の種類に応じた避難措置の指示を行うもの」として、「屋内避難を行わせる際には、関係機関は、できるだけ近傍のコンクリート造り等の堅ろうな施設や建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設に避難させる」と示している。
この基本指針の運用に関して疑義があるので、以下質問する。
二 政府は、日本全国においても、基本指針でいうところの避難施設は十分に確保されていると認識しているのか。
三 産経新聞の報じるところでは、首都圏で地下鉄を運行する東京地下鉄(東京メトロ)も、「国からどういう避難指示が出るか分からず、駅の利用を前提にした避難行動は検討していない」との見解を述べているが、政府が東京地下鉄を含めて、駅の利用を前提とした避難計画を、公共交通機関を運営する企業とこれまで協議しているのか。また具体的な避難計画を策定されるように努めているのか。
四 北朝鮮有事に弾道ミサイルの着弾を想定した避難設備の確保を公共施設や地方自治体などに義務づける法令は整備されていないという理解でよいか。
五 四に関連して、このような法令の整備は政府内で進められているのか。
六 基本方針では、「核爆発に伴う熱線、爆風等による直接の被害を受ける地域については、対策本部長は、攻撃当初の段階は、爆心地周辺から直ちに離れ、地下施設等に避難し、放射性ヨウ素による体内汚染が予想されるときは安定ヨウ素剤を服用するなどの指示をすることとし、一定時間経過後、放射線の影響を受けない安全な地域に避難させるものとする」等と規定しているが、政府は、国家機能が集中する東京二十三区内において、現在、核シェルターは十分に整備されていると考えているのか。
七 基本指針では、弾道ミサイルの着弾に対して、「できるだけ近傍のコンクリート造り等の堅ろうな施設や建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設に避難させる」と規定しているが、かかるコンクリート構造物または地下施設がどの程度の抗堪性を備えているべきと考えているのか。そのための技術的な設計ガイドラインは存在するのか。
右質問する。