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平成二十九年五月十六日提出
質問第三二〇号

奥尻島から約四百五十キロのわが国の防空識別圏内に落下した北朝鮮の弾道ミサイルに関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




奥尻島から約四百五十キロのわが国の防空識別圏内に落下した北朝鮮の弾道ミサイルに関する質問主意書


 五月十六日の記者会見で、稲田防衛大臣は、北朝鮮が五月十四日に発射した弾道ミサイルについて、落下地点が北海道の奥尻島から約四百五十キロの日本海上で、日本の防空識別圏内だったことを明らかにした(以下、「本事案」という。)。
 わが国では、わが国周辺を飛行する航空機をレーダーで識別し、対領空侵犯措置を有効に実施するために、わが国周辺を囲むような形で、防空識別圏という空域を設定していると承知している。一般に、防空識別圏は、各国が防空上の観点から国内措置として設定しているものであり、領空・領土の限界や範囲を定める性格のものではない。防空識別圏周辺を飛行している航空機が、どこの国籍なのか、領空侵犯のおそれがあるかといった識別などを行うためのもので、自衛隊が緊急発進を実施するかどうかを判断するためのものであるが、かかる領域に弾道ミサイルが落下することは、漁業が重要な産業である北海道に暮らす国民にとっては不安を抱かざるを得ない。
 このような観点から、以下質問する。

一 北朝鮮が五月十四日に発射した弾道ミサイルがわが国の防空識別圏内に落下したことに関して、わが国の国民の生命、財産に被害が生じたという報告を把握しているのか。
二 本事案は、現行法令上、どのような点で違法であると評価されるのか。該当条文を示すとともに、政府の見解を示されたい。
三 二に関して、本事案が領海内の場合は、どのような点で違法であると評価されるのか。該当条文を示すとともに、政府の見解を示されたい。
四 本事案は過去の国連決議に違反すると思われるが、具体的にどの決議に違反するのか。
五 奥尻島から西のわが国の防空識別圏内でもある日本海、あるいは領海では、わが国の漁船が操業あるいは航行している可能性は否定できない。本事案に関して、かかる観点から政府は北朝鮮に抗議したのか。したとすれば、その内容、伝達ルートなどを具体的に示されたい。
六 現在、奥尻島から西のわが国の防空識別圏内でもある日本海、あるいは領海で、わが国の漁船が操業あるいは航行している際、本事案のような北朝鮮の弾道ミサイル発射が行われた場合、どのような方法で警戒のための周知が行われるのか。また、政府の、漁業者に対する本事案のような事例に対する対応策はどのような体制になっているのか。
七 本事案は、通常より高い高度に打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射され、高度二千キロ超に達したと承知している。ロフテッド軌道は落下速度が速いことなどから、現状のミサイル防衛体制では迎撃が容易ではないとの指摘もある。政府は、本事案はロフテッド軌道によるものと評価されるのか、また、現状のミサイル防衛体制では迎撃が容易ではないと考えられるのか。政府の見解を示されたい。
八 防空識別圏は、専ら領空侵犯のおそれのある国籍不明の航空機を未然に排除するために設定されたもので、本事案のような弾道ミサイルの落下に対しては、政府が何らかの行動を起こすための法的根拠にはなり得ないという理解でよいか。

 右質問する。



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