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平成二十九年五月十九日提出
質問第三三〇号

中国公船から飛行したと見られるドローンによるわが国領空への侵入に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




中国公船から飛行したと見られるドローンによるわが国領空への侵入に関する質問主意書


 五月十九日、菅官房長官は記者会見で、尖閣諸島周辺の領空を中国公船より発進したとみられる小型無人機「ドローン」が飛行した違法行為(以下、「本事案」という。)について、「中国による新たな形態の行動であり、全く受け入れられない」として、中国側に厳重に抗議したことを明らかにした。
 同日、稲田防衛大臣も記者会見で「領海侵入している中国公船が領空にドローンを飛行させたことは事態をさらにエスカレートさせるもので、全く受け入れられない。深刻なわが国の主権に対する侵害だ」との見解を示した。海上保安庁からドローンが飛行しているとの通報を受けた防衛省は、F15戦闘機、E2C早期警戒機、空中警戒管制機を向かわせて無線で警告を発するなどの対応をしたと承知している。
 本事案について政府の見解を確認したいので、以下質問する。

一 本事案のような事例は、過去に尖閣諸島周辺の領空で確認されているのか。それとも本事案は初めての例であるのか。
二 他国による領空侵犯の事例として、ドローンを用いたものは、尖閣諸島周辺以外に確認されたものはあるか。政府の見解を示されたい。
三 本事案が容認されないことは論を待たないが、具体的にはどのような法令に違反するのか。政府の見解を示されたい。
四 航空法第百三十二条では、「何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。ただし、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでない」と規定しているが、尖閣諸島などの国境離島は明示されていない。すなわち、本事案に関しては、航空法違反に問われないという理解でよいか。
五 わが国の安全保障上の重要な地域、例えば国境離島などではドローンなどの飛行は一定の制限を加えるべきと思われるが、このような規定は現行法令に存在するか。ないとすれば、政府は安全保障政策上の必要から、国境離島などでは、ドローンの飛行に一定の制限を加えることを検討すべきではないか。政府の見解を示されたい。
六 国際法上、国家はその領空に対して完全かつ排他的な主権を有している。対領空侵犯措置は、公共の秩序を維持するための警察権の行使として行うものだが、陸上や海上とは異なり、この措置を実施できる能力を有するのは自衛隊のみであることから、自衛隊法第八十四条に基づき、第一義的に航空自衛隊が対処しているものと承知している。他方、本事案のように無線で警告を発するなどの対応をした場合、ドローンそのものには乗員がいないため、確実にその警告を受け取ったと確認することは難しいと思われる。本事案のような場合、政府の対応マニュアルは存在するのか。無線での警告や航空自衛隊の航空機が接近しての警告を行ったと思われるが、効果的とは思われない。政府の見解を示されたい。
七 六に関連して、政府は、どのような警告を発すれば効果的であると考えるのか。
八 本事案の場合、無人機であるため、その操縦を行っている者が特定できず、効果的な警告もできないと思われる。このような場合、航空自衛隊の対応として、ドローンを撃墜することも排除されないという理解でよいか。
九 武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律の第九条の規定に基づき、本来、自衛権の行使には国会の承認が必要であるが、特に緊急の必要があり事前に国会の承認を得るいとまがない場合、例外的に自衛権の行使が許される。本事案のような場合、例外的に自衛権の行使が許されることは排除されないか。政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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