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平成二十九年五月二十四日提出質問第三三六号
統合幕僚長の政治的発言に関する質問主意書
提出者 逢坂誠二
統合幕僚長の政治的発言に関する質問主意書
五月二十三日、防衛省の河野克俊統合幕僚長は、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見した際、自民党の安倍総裁が自衛隊の存在を日本国憲法第九条に明記する形で加憲した新しい憲法の施行を二〇二〇年に目指すと表明したことについて問われ、「憲法は非常に高度な政治問題で、統幕長という立場から申し上げるのは適当でないと思っている」と断った上、「一自衛官として申し上げるなら、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されることになれば、非常にありがたいと思う」(以下、「本発言」という。)と述べた。
この発言に関して疑義があるので、以下質問する。
二 一に関連して、本発言は、「一自衛官として申し上げるなら」と前置きされていることから、国家公務員たる自衛官として行われたとの理解でよいか。
三 本発言は自民党の安倍総裁の憲法改正案に賛意を表明するものであり、「一自衛官として申し上げ」たのであれば、自衛隊法第六十一条でいう「隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与」することに該当し、違法ではないか。政府の見解を示されたい。
四 自衛隊の制服組のトップである統合幕僚長が「一自衛官として申し上げるなら、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されることになれば、非常にありがたいと思う」と発言することは、自民党の安倍総裁の提唱する憲法改正案の具体的内容に自衛隊という組織が賛意を表明すると国民に予断を与えることにはならないのか。政府の見解を示されたい。
五 安倍総裁の提案は、これまでの国防軍を創設するなどとした自民党改憲草案と異なり、自民党内でも未だ合意されていない提案である。本発言は、このような安倍総裁の提案に乗りかかる形で自衛官としての心情を吐露したわけであり、憲法改正を巡る特定の政治的主張に肩入れしたことになりかねない。統合幕僚長は、記者から質問されたとしても、現職の自衛官であり、統合幕僚長という自衛隊の最高幹部である立場を踏まえれば、回答を留保すべきだったのではないか。政府の見解を示されたい。
右質問する。