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平成二十九年五月三十日提出
質問第三四九号

国連の特別報告者と国連の総意に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




国連の特別報告者と国連の総意に関する質問主意書


 五月二十七日、G7でイタリアに訪問した安倍首相は、国連のグテーレス事務総長と会談した。この会談の概要は一斉に報道されたが、その中で、国連人権理事会の特別報告者の問題が言及された。
 例えば、NHKでは「グテーレス氏は、各国の人権状況を調査する国連人権理事会の特別報告者について、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではないという考えを示しました」と報じられている。
 外務省の公表した「安倍総理大臣とグテーレス国連事務総長との懇談」においても、「安倍総理から、国際組織犯罪防止条約の締結に向けた日本の取組につき説明しました。この関連で、先方は、人権理事会の特別報告者は、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は、必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べました」と明示された。五月二十九日の参議院本会議で岸田外務大臣も、「特別報告者とは、特定の国の状況又は特定の人権に関するテーマに関し調査報告を行うために、人権理事会から個人の資格で任命された独立の専門家です。この点については、G7タオルミーナ・サミットの機会に安倍総理と懇談したアントニオ・グテーレス国連事務総長も、人権理事会の特別報告者は、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」と答弁している。
 他方、国連HPのプレスリリースでは、“Regarding the report of Special Rapporteurs, the Secretary-General told the Prime Minister that Special Rapporteurs are experts that are independent and report directly to the Human Rights Council.”(特別報告者の報告書に関して、事務総長は首相に対し、特別報告者は独立しており、人権理事会に直接報告する専門家であると述べた)と示されて、国連の総意であるか否かについては言及していない。
 このような日本国内でなされた報道と国連のプレスリリースには整合性がないと思われるので、政府の見解を確認するため、以下質問する。

一 政府は、「国連の総意」とはどのようなものであると認識しているのか。見解を示されたい。
二 外務大臣は、「安倍総理と懇談したアントニオ・グテーレス国連事務総長も、人権理事会の特別報告者は、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」と答弁しているものの、国連のプレスリリースの内容は、国連の総意には言及していない。これは非常に重要な点であり、国連がプレスリリースでこの「国連の総意」を明示しなかったのは、そもそもグテーレス事務総長が安倍総理との会談の中で、「国連の総意」に関する発言を行っていないのではないか。グテーレス事務総長は、確かに、「その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」と述べたのか。政府の見解を示されたい。
三 日本は現在、国連人権理事会の理事国である。この理事国には、人権理事会の運営を主導していくとともに、世界的に高い人権水準を維持し、世界に範を示すことが求められる。日本政府は、この人権理事国の選挙への立候補にあたり、「世界の人権保護促進への日本の参画(和文骨子)」(平成二十八年七月十五日)を公表し、「国連人権高等弁務官事務所や特別手続の役割を重視。特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため、今後もしっかりと協力していく」ことを表明している。このような立場を踏まえれば、むしろ積極的に「特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため、今後もしっかりと協力していく」べきであり、国連の総意であるか否かは別問題であろう。日本政府の姿勢は国連の人権理事国として不適切ではないか。政府の見解を示されたい。
四 政府のいう「その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」か否かに関わらず、日本政府は国連人権理事会の特別報告者に対して、反論の書簡を送るのではなく、ケナタッチ氏の訪日を迎え入れるなど、まず真摯に話し合いに応じるべきではないか。

 右質問する。



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