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平成二十九年六月一日提出
質問第三五一号

再生可能エネルギーの電力系統接続に係る空容量ゼロ問題等に関する質問主意書

提出者  阿部知子




再生可能エネルギーの電力系統接続に係る空容量ゼロ問題等に関する質問主意書


 再生可能エネルギーの電力系統への接続に際して、各地域の系統制約により空容量がゼロになる問題(以下「空容量ゼロ問題」という。)が全国各地で多発している。一方、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の深刻な影響、パリ協定の発効に伴う中長期的な温室効果ガス排出削減、新たな産業と雇用の創出、農山漁村の発展や政府の進める地方創生等を考える意味でも各地域での再生可能エネルギー導入拡大の必要性はより一層高まっている。だが、空容量ゼロ問題を放置しては、再生可能エネルギーの円滑な導入は進まない。そこで、空容量ゼロ問題及びそれと密接に関連する電力系統接続のための工事費負担金の問題(以下「接続費用負担問題」という。)に対する政府の認識を問う。

一 政府は、エネルギー基本計画において再生可能エネルギーを「積極的に推進」するとの基本姿勢を示しているが、具体的にどのように推進しようとしているのか。
二 政府の再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議は「再生可能エネルギー導入拡大に向けた関係府省庁連携アクションプラン」を示しているが、再生可能エネルギーの系統接続の円滑化について、アクションプランに含めていない。政府は、空容量ゼロ問題及び接続費用負担問題について、どのように認識しているのか。また、両問題について、どのような対策を講じるのか。
三 平成二十八年六月改正前の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第五条において、再生可能エネルギーの電力系統への接続義務が明記されていたが、改正時に削除された。政府は、電気事業法第十七条で定める全ての種類の電源に対する接続義務で同様の措置が担保されているとの認識を示している。
 1 この変更によって、再生可能エネルギーを他の電源よりも優先した接続義務が存在しなくなったと認識しているが、どうか。
 2 再生可能エネルギー特別措置法及び電気事業法の改正前において、再生可能エネルギー以外の電源の接続について、法的根拠はどうなっていたのか。
 3 昨年、旧一般電気事業者が石炭火力発電所の建設計画を発表したことで、当該地域の系統接続の空容量がゼロになった例があると聞く。この例は、再生可能エネルギーの接続優先義務が存在しなくなった影響ではないか、政府の見解を示されたい。
 4 政府の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は「再生可能エネルギーの最大限の導入」等により「エネルギーコストに係る収支の改善を通じた地域経済の基礎体力の向上、新たな雇用の創出等に貢献するものと期待」されるとしている。そこで、再生可能エネルギーの中でも、地域の事業者が主体となった事業や地熱、小水力、バイオマス、風力等、普及の遅れている再生可能エネルギーに対する系統接続枠を確保することにより、地方創生を推進する必要があるのではないか。
四 空容量ゼロ問題について、この問題を理由に事業を断念した発電事業者等への実態調査を行っているか。実態調査を行っているならば、その概要を示されたい。実態調査を行っていないならば、行うべきでないか。
五 政府は、空容量ゼロ問題の調査や解決に向けて、一般送配電事業者に対して情報開示を求めるべきでないか。
六 再生可能エネルギー特別措置法の改正によって、接続契約の締結が事業計画認定以前に必要となったが、系統制約により空容量がゼロとされている地点で計画されている事業について、一定期間の調達価格の保証等、系統制約が解消されるまでの間、何らかの措置を講じるべきでないか。
七 空容量ゼロ問題について、系統制約がない場合においても、一般送配電事業者が再生可能エネルギーの接続の際に、発電設備費等、事業費を超える連系工事費負担金を請求したり、数年にわたる長期間の工事期間を提示したりする事例が各地で多発していると聞く。
 1 政府は、連系工事費負担金の実態を把握しているか。把握しているならば、概要を示されたい。把握していないならば、連系工事費負担金によって頓挫した事業の例を含め、把握すべきでないか。
 2 連系工事費負担金について、一般送配電事業者に対し、政府が監視や指導、助言を行うべきと考えるが、どうか。
 3 発電事業者に過大な特定負担を求めうる「発電設備の設置に伴う電力系統の増強及び事業者の費用負担等の在り方に関する指針」について、見直すべきでないか。また、電力系統整備の一般負担の範囲を広げるべきでないか。
八 連系工事費負担金は再生可能エネルギー事業の事業費に計上されるが、連系工事費負担金が事業費を超えるほどの過大な金額になった場合、調達価格の算定の基礎となる初期投資費用が高止まりし、発電コストの低減が進まない可能性があると考えるが、どうか。また、政府として対策を講じるべきでないか。
九 電源接続案件募集プロセスの手続が、煩雑で、系統接続までの手続期間の長期化により、事業規模の小さい再生可能エネルギー発電事業者が締め出される可能性があると考えるが、どうか。また、政府として対策を講じるべきでないか。
十 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う原子力損害賠償・廃炉費用について、一般送配電事業者である東京電力パワーグリッドは、経営合理化によってその費用をねん出するとしているが、それによって電力系統の計画的な整備が滞ることがあってはならないと考えるが、どうか。

 右質問する。



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