質問本文情報
平成二十九年六月九日提出質問第三八九号
「共謀罪」に関する質問主意書
提出者 階 猛
「共謀罪」に関する質問主意書
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二の罪(以下「共謀罪」という。)について、以下を質問する。
1 「その構成要件に該当する行為」として、計画行為または準備行為以外にあり得るのか。ある場合は、何が構成要件に該当する行為に当たるかお示しいただきたい。
2 犯罪の計画行為とその後の準備行為がなされ、「共謀罪」が成立した場合において、犯罪の計画は存続していても、計画行為や準備行為等の新たな行為がなされないとき、公訴時効は準備行為が終了した時から起算されると解してよいか。
3 「共謀罪」が一度成立した後、当初の計画が修正された場合、公訴時効の起算点は計画の修正行為が終わった時となるか。
4 公訴時効は共犯の場合、「最終の行為が終つた時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算する」(刑事訴訟法第二百五十三条第二項)とされている。「共謀罪」が成立した後で共謀関係から離脱した場合、その者についての公訴時効はなお他の犯人と同様に進行するのか。それとも、他の犯人とは独立に進行するのか。
5 前項で他の者とは独立に公訴時効が進行するとした場合、起算点は共謀関係からの離脱前に行われた最終の計画行為または準備行為が終了した時と解してよいか。
二 「共謀罪」と予備罪の関係について、以下を質問する。
1 ある犯罪の計画について成立する「共謀罪」の法定刑よりも、当該犯罪の予備罪の法定刑が軽い場合がある。この場合、「共謀罪」が成立した後に予備行為を行った者について、予備罪は成立しないのか。それとも予備罪も共に成立するのか。
2 前項で予備罪も成立するとした場合、「共謀罪」と予備罪はどのような罪数関係にあるものとして、法定刑が決められるのか。
3 前々項で予備罪は成立しないという場合、どのような根拠に基づき成立が否定されるのか。
三 「内閣衆質一九三第二五八号」において、「改正後組織的犯罪処罰法第六条の二の罪が成立した後、その計画に基づき犯罪が実行された場合は、計画した者には実行した犯罪の共同正犯が成立する」との答弁があった。この点につき、以下を質問する。
1 「共謀罪」成立後、計画に基づいた犯罪が実行された場合には、「共謀罪」が成立する「計画した者」については、共犯関係からの離脱によって無罪となる場合はないと解してよいか。
2 「共謀罪」成立後、計画に基づいた犯罪が実行された場合、「共謀罪」が成立する「計画した者」について、共同正犯ではなく幇助犯ないし教唆犯が成立する場合はないと解してよいか。
四 「内閣衆質一九三第二五八号」での「五について」の回答に関して、以下の点を明らかにされたい。
1 「その目的・・・を実現する行為」にいう「目的」とは、「結合関係の基礎としての共同の目的」たる「別表第三に掲げる罪を実行する」目的に限定されるのか。
2 答弁において「その・・・意思を実現する行為」にいう「意思」とは「個々の構成員の意思を離れた団体としての意思」であるとしているが、「結合関係の基礎としての共同の目的」とされた「別表第三に掲げる罪を実行すること」との関係性は必要であるか。
3 答弁において「反復して行われるもの」とは「反復して行われるという性質を有しているもの」をいうとしている。「反復して行われるもの」といい得るためには、「その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部」が現に反復して行われている必要はないと解してよいのか。
右質問する。