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平成二十九年六月十二日提出
質問第三九三号

政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決の前提となる沖縄の現状についての政府の基本認識に関する質問主意書

提出者  仲里利信




政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決の前提となる沖縄の現状についての政府の基本認識に関する質問主意書


 「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」を抜本的に解決し、膠着している政府と沖縄県の関係を改善するためには沖縄県民が切望する「世界一危険な普天間飛行場の即時閉鎖と県外・国外への移転を図る」という原点に立ち戻って、問題の洗い出しと見直しを行うことが必要であると思われる。
 そこで以下お尋ねする。

一 政府は、海兵隊は沖縄に駐留するべきであると主張している。このような主張は海兵隊を運用する米国政府の考えに基づくものなのか、それとも日本政府独自の判断や見解に基づくものなのか明らかにされたい。
二 質問一に関連して、政府は、防衛白書においても沖縄駐留の理由について同様な解説を行っているが、それも米国政府の意向を反映しているものか、それとも日本政府独自の判断や見解に基づくものなのか明らかにされたい。
三 米軍再編により主力部隊がグアムなどへ分散配置することが決まっている。第三海兵師団を構成する全ての連隊は沖縄から撤退し、その結果、沖縄に残留する実戦部隊は第三十一海兵遠征隊(三十一MEU)だけとなる。政府は「抑止力を維持するため」として海兵隊の沖縄駐留を必要不可欠としているが、実戦兵力がこれほど削減されることが決まっていてもなお抑止力が維持されるという根拠を明らかにされたい。
四 三十一MEUは長崎県佐世保の強襲揚陸艦で移動し、アジア太平洋全域を巡回する。電車に例えると、始発駅が長崎で乗車駅が沖縄、目的地はアジア太平洋全域である。乗車駅が熊本や鹿児島ではなく、「沖縄が唯一」とする理由を明らかにされたい。
五 政府は、海兵隊の訓練場が沖縄に存在するため、地上部隊を沖縄から動かすことができないことや、連動する航空団(普天間配備)も沖縄に駐留する必要があること、などの論理を主張する。そうであるならば、訓練場の施設機能を沖縄県外へ移転すれば、三十一MEUは何も沖縄でなくてもよいとの理屈になり得るが、政府の認識と見解を答えられたい。
六 政府は、沖縄の訓練場にジャングル戦闘訓練センターが所在するため、海兵隊を沖縄から県外へ移転できないと主張する。そうであるならば、三十一MEUが沖縄に駐留する期間は年間何カ月で、そのうちジャングル戦闘訓練センターを活用する期間は年間何カ月か、また海外遠征する期間は年間何カ月か、などについて政府の承知するところを明らかにした上で、海兵隊が海外に遠征した場合であっても、ジャングル戦闘機能及びその練度維持のため、遠征先でもジャングル戦闘訓練を実施することが必要であると思われるが、政府の見解を答えられたい。
七 沖縄のジャングル戦闘訓練センターを他に移転するためにはどのような施設整備が必要か、その際の費用はどの程度見込まれるのか、どのような手順を踏む必要があるか、などについて政府の認識と見解を明らかにされたい。
八 質問七に関連して、政府は、沖縄のジャングル戦闘訓練センターを他に移転する検討を行ったことがあるか、行ったのであれば、その結果や反映した内容等について明らかにされたい。
九 そもそも海兵隊は朝鮮戦争をきっかけに岐阜県、山梨県、静岡県及び奈良県に配備されていた。その時の日本への配備目的は、日米両政府が現在も沖縄への配備が必要とする「朝鮮情勢に対処するため」であった。しかし、強襲揚陸艦が長崎県佐世保に配備されるまでの間、海兵隊独自の輸送手段は皆無だったのである。このことからすれば、政府が主張する沖縄の地理的優位性や有事における海兵隊の移動・展開手段の必要性と整合性は破綻しており、政府のこれまでの主張は全く根拠のない話でしかない。嘗て本土に海兵隊が配備されていた時の状況を踏まえて、有事において海兵隊がどう展開するのかについて政府の認識と見解を答えられたい。
十 質問九に関連して、嘗て本土に配備されていた海兵隊は、海兵隊員等による事件・事故が多発し、全国で基地反対運動が激化したため、一九五六年以降米軍統治下にあった沖縄へ移転したわけであるが、その移転理由は沖縄への差別とか不可視化とか様々な説があるが、未だ不明である。しかし、一九五〇年代には全国における米軍基地の割合は、沖縄が僅か一割でしかなかったところ、海兵隊の移転などにより現在と同様の七十四%の割合にまで一挙に増大させられたこととなる。一体なぜ全国で忌み嫌われていた海兵隊を沖縄に集中配備することにしたのか、その理由と目的、経緯について政府の認識と見解を答えられたい。
十一 政府は、辺野古における海兵隊の新基地建設に当たって、沖縄の地理的優位性をことさら強調する。そうであるならば、朝鮮半島と台湾海峡(以下「同二箇所」と言う)について、沖縄から同二箇所までの距離と、強襲揚陸艦がある長崎県から同二箇所までの距離を明らかにし、その比較を行った上で、沖縄と長崎のいずれかに海兵隊の本拠地や訓練場、強襲揚陸艦の所在港を置いた場合の地理的優位性について政府の認識と見解を答えられたい。
十二 政府がこれまで行ってきた様々な検討の中に、米海兵隊の運用を変更するような案があったのか、あったのであればどのような結論・評価となったのか、また、運用変更による費用と辺野古新基地建設にかかる費用について比較したことがあるならば、その結果と反映した内容について政府の認識と見解を答えられたい。
十三 初の民間出身の防衛大臣であった森本敏氏は、平成二十四年六月十二日の衆議院予算委員会において「軍事的合理性ということを考えた時、ヘリ基地、訓練場及び司令部・補給地という海兵隊の持っている本質的な機能が揃っていれば日本のどこかに海兵隊の基地があればいいのであって、必ずしも沖縄でなくてもいい。しかし、いろいろな条件を満たすのが沖縄であり、辺野古しかないので、よって沖縄・辺野古にする」旨答弁した。さらに平成二十四年末の大臣退任会見においてはさらに踏み込んで「沖縄への海兵隊の駐留は地政学的及び軍事学的な理由ではなく、政治的な理由である」旨、明確に指摘している。この答弁と指摘は、政府の主張と真逆であり、本職はこの森本答弁等が正論であり、政府の本音であると考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十四 日米防衛新ガイドラインにおいて、離島防衛は「自衛隊が主体、米軍は支援、補完」と規定されているが、それでは我が国の島嶼防衛における米海兵隊の具体的な態様や、自衛隊と米軍の共同作戦の具体的な態様とはガイドライン上如何なるものであるか、具体的に明らかにされたい。
十五 政府は、「尖閣諸島が日米安全保障条約第五条に基づく米国の対日防衛義務の適用対象である」とする米国の見解があるところ、尖閣諸島有事の際に米国が具体的にどのような行動をとると捉えているのかについて認識と見解を答えられたい。
十六 フィリピンやタイで実施される人道支援・災害救援活動(HA/DR)には米軍や自衛隊だけではなく、中国軍も参加している。このHA/DRの目的、内容、参加国の内訳等について政府の承知するところを明らかにした上で、HA/DRが国境を越え敵味方の区別なく実施されることの意義と成果について政府の認識と見解を答えられたい。
十七 日米地位協定に基づき日本がアメリカに使用を認めた施設において、日本政府は「米海兵隊が何のために施設を使用しているのか」「どのような訓練を行っているのか」「どのくらいの期間施設を使用するのか」について照会し把握しているのか、把握しているのであれば、把握した際の回答の内容はどのようなものか、照会若しくは把握していないのであればその理由は何か、などについて政府の認識と見解を答えられたい。
十八 日本の防衛戦略上、三十一MEUはどういう位置付けか政府の認識と見解を答えられたい。
十九 辺野古案では集落の上空を飛行しないように二本の滑走路を建設する設計となっている。しかし、この設計では天候の急変の際、作戦上の柔軟な運用が妨げられる可能性がある。また、米政府監査院は「普天間飛行場の代替施設の滑走路が普天間より短く設計されているため、固定翼機の訓練や緊急時に対応できないと指摘している」と報道されている。このような指摘に対する政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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