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平成二十九年六月十三日提出
質問第四〇二号

政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決の前提となる沖縄駐留米軍の抑止力と存在意義についての政府の認識に関する質問主意書

提出者  仲里利信




政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決の前提となる沖縄駐留米軍の抑止力と存在意義についての政府の認識に関する質問主意書


 「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」を抜本的に解決し、膠着している政府と沖縄県の関係を改善するためには沖縄県民が切望する「世界一危険な普天間飛行場の即時閉鎖と県外・国外への移転を図る」という原点に立ち戻って、問題の洗い出しと見直しを行うことが必要であり、そのための質問主意書については、平成二十九年六月十二日付質問主意書第三九三号で提出したところであるが、それを補うため、以下お尋ねする。

一 海兵隊が沖縄で行う訓練と、日本国内、グアムやテニアン、オーストラリア、その他日本以外の外国で行う訓練の違いはあるか、またそれらの訓練を行う施設の違いはあるかについて政府の承知するところを明らかにした上で、違いの有無が生じる理由について政府の見解を答えられたい。
二 沖縄に米軍基地を集中させる理由や、海兵隊を駐留させる理由について地政学的、軍事的、政治的及び安全保障上の四つの観点から明らかにされたい。
三 政府は、米海兵隊が抑止力になり得ると評価・位置付けているが、その根拠は何か、そもそも抑止力とは如何なるものか、何を、どのように抑止しようとしているのか、明らかにされたい。
四 質問三に関連して、中国や北朝鮮と海兵隊の彼我の兵力を客観的に比べると、質・量ともに最先端かつ大規模な軍事力を持つ中国・北朝鮮と、沖縄に駐留する軽装備の僅か二千名程度の兵員と限られた火力装備、航空勢力しか保有しない海兵隊ではそもそも太刀打ちすることはできず、抑止力になり得ないことは明らかであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
五 尖閣諸島への中国の侵略問題に対して、政府は米海兵隊の沖縄での存在が抑止力であると主張する。しかし、島嶼防衛には圧倒的な制海及び制空権と十分な兵力が必要不可欠であり、沖縄に駐留し、ローテーションで展開する第三十一海兵遠征隊(三十一MEU)にはそのような軍事力は備わっていないため、抑止力になり得ない。強いて抑止論を振りかざすならば、嘉手納基地に駐留する米空軍と横須賀を拠点とする米海軍であると思われる。ましてや沖縄駐留の海兵隊は米軍が島嶼防衛に関与するための「トリップワイヤー」を果たすためのものでないことは明らかである。政府の認識と見解を答えられたい。
六 米国政府及び米軍は「アメリカファースト」であり、米国の国益しか考えていない。したがって、米国政府が「尖閣に安保を適用する」といくら明言しても、日本が期待するように、中国と直接対峙してでも尖閣を含む日本防衛に拘束されるとは考え難い。ましてや「領有権を巡る問題は日中双方の対話によって平和裏に解決すべき」とか「誰も住んでいない無人の岩(尖閣)のために俺たちを巻き込まないでくれ」とか言っていることからすればなおさらである。したがって、米国はアジア全域の安全保障の維持・管理の中に日本の安全保障を包含していると考えるべきである。政府の認識と見解を答えられたい。
七 「再編実施のための日米のロードマップ」を受けて「第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書」が締結され、政府が米国に移転費用の総額八十六億ドルのうち財政支援二十八億ドル(上限額)を行うことと承知しているが、その財政支援額及び移転費用の総額に関する各年度の支出額と執行済み額について政府が承知するところを明らかにした上で、予算の執行状況が当初計画通りであるか、計画より遅れているのであればその理由は何か、今後どのように改善する考えか、今後の見通しはどうか、などについて政府の見解を答えられたい。
八 三十一MEUの拠点はなぜ沖縄でなければならないのか、沖縄に駐留する必要性は何か、などについて具体的にその根拠を明らかにされたい。
九 三十一MEUは米国本土から六カ月のローテーションで交代配備され、沖縄から約七百Km離れた長崎県佐世保市に所在する米海軍の揚陸艦に乗って東南アジア諸国を巡回している。そのため、沖縄に滞在するのは訓練と休養のために一年の三分の一に満たない期間である。また、海兵隊の主任務は非戦闘員救出作戦(NEO)や人質の奪還、人道支援・災害救援活動(HA/DR)、同盟国軍との共同訓練である。三十一MEUが沖縄に駐留する妥当性と海兵隊の主任務についての政府の認識と見解を答えられたい。
十 海兵隊が沖縄で必要とするのは休養と練度維持のための訓練の施設であり、佐世保に所在する揚陸艦との合流における利便性を確保するためならば、米国本国やハワイ、グアム、オーストラリアからの適切な輸送手段があれば解決可能である。つまり、海兵隊の配備先は任務を担当する地域と一致する必要はなく、高度な機動力と即応能力があれば良いのである。この考えについての政府の認識と見解を答えられたい。
十一 質問十に関連して、仮に三十一MEUの拠点を米国本国に移転させた場合、米国本国から派遣される海兵隊員は航空機で日本にやってきて、日本国内に事前配備・集積させていた機材も含めて長崎県佐世保市で揚陸艦と合流させれば海兵隊部隊の迅速な集結が容易に図られて良いとの考えが生まれる。この考えについての政府の認識と見解を答えられたい。
十二 辺野古への新基地建設のための巨額な経費より、三十一MEUの兵員や物資を輸送する高速船の提供費用や、米国本国に三十一MEUの拠点を移した場合のアジアへの巡回経費等がはるかに安価で簡単に実現できることになる。辺野古新基地建設の経費と高速船による巡回経費の比較についての政府の認識と見解を答えられたい。
十三 日米両政府にとって重要なことは、三十一MEUが沖縄に駐留し続けることではなく、大規模な増援部隊が戦闘に参加する用意があることを示すことである。そのため、米国政府及び米軍は、紛争が起きた時の内容や規模によって三つの機能(海兵遠征軍(MEF、約四万五千人)、海兵遠征旅団(MEB、約一万七千五百人)、海兵遠征隊(MEU、約二千人))の中から部隊を選出して派遣することとしている。それを具現化する方策は、これまで米海兵隊が行ってきた装備の事前集積を可能にすることであり、また高速船を用いて輸送手段を改善することである。これらを可能にすれば、有事の来援基盤を目に見える形で維持し、米国の揺るがない意思を世界に示すことになるものと思われる。この考えについての政府の認識と見解を答えられたい。
十四 一九九六年の普天間返還合意から現在までの二十年の間に、東アジアの軍事情勢は大きく変化している。特に「九・一一(テロ対策)」や「三・一一(災害)」等大規模かつ緊急の事態や変化に的確かつ迅速に対応するため、アジア太平洋地域の米軍はより機動性を重視した組織に再編され、地理的な制約を克服した新たな抑止力を構築しようとしている。二十年前のように、沖縄を含むアジア・太平洋地域に常続的な十万人のプレゼンスを維持する必要性は最早失われているのである。この考えについての政府の認識と見解を答えられたい。
十五 オスプレイが輸送する地上部隊との適正な距離は運用上の判断基準である。地上部隊が必要とするのは隊舎と訓練場であり、三十一MEUの地上部隊と航空部隊がパッケージで移転することを前提とすれば、候補地は世界中にあると思われる。この考えについての政府の認識と見解を答えられたい。
十六 辺野古案の最大の問題点は、戦略的妥当性を主張できないことにある。すなわち、移動速度が遅く、ミサイル攻撃に対して防御力にかける海兵隊陸上部隊が中国の中距離弾道ミサイルの射程内に存在することは米政府のアジア地域におけるリバランス政策において最も弱い「脆弱性の窓」となる可能性があり、米国の戦略にとって妥当とは言い難い。海兵隊の前方展開の根拠は中国の中距離弾頭ミサイルの射程外に置くべきである。また、近年、ミサイルの開発を急ピッチで進めている北朝鮮の脅威を考えると、沖縄への米軍基地の集中は米国にとっても壊滅的な打撃を被り易いため好ましいものではない。部隊の分散配置を進めるべきである。政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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