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平成二十九年六月十四日提出
質問第四〇八号

政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決に向けた政府の取組姿勢の変化に関する質問主意書

提出者  仲里利信




政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決に向けた政府の取組姿勢の変化に関する質問主意書


 「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」を抜本的に解決し、膠着している政府と沖縄県の関係を改善するためには沖縄県民が切望する「世界一危険な普天間飛行場の即時閉鎖と県外・国外への移転を図る」という原点に立ち戻って、問題の洗い出しと見直しを行うことが必要であり、そのための質問主意書については、平成二十九年六月十二日付質問主意書第三九三号及び平成二十九年六月十三日付質問主意書第四〇二号で提出したところであるが、それを補うため、以下お尋ねする。

一 日米の安保関係者の中に「海兵隊が沖縄から撤退すれば中国に誤ったメッセージを送ることになる」という懸念を表明する者があると聞く。そのような懸念について政府の承知するところを明らかにした上で、そのような懸念は客観的に見て妥当な懸念と言えるかについて政府の見解を答えられたい。
二 巷では、米軍は部隊の分散配置の観点から海兵隊の沖縄からの移転を望んでいるが、日本政府が拒んでいるというのが通説となっている。それを裏付けるのがマイケル・アマコスト元米国駐日大使の「沖縄の嘉手納基地こそ王冠の宝石のように重要で、海兵隊は重要でない」との発言や、リチャード・アーミテージ元米国務副長官の「対案があれば米国は耳を傾ける」との発言である。このような通説は真実であるのか、明らかにされたい。
三 東アジアの安全保障上の懸念は、中国による海洋進出と北朝鮮の核・ミサイル開発に留まらない。この地域で多発する台風や地震、津波など世界有数の大規模な自然災害もそうである。そのために日米が主導して中国を含む多国間の安全保障協力関係を構築すべきである。政府の認識と見解を答えられたい。
四 本職は、米国政府が進めようとしている「在沖米海兵隊のグアム移転計画の見直し」を受け入れて、辺野古への新基地建設を断念するとともに、米海兵隊が希望する「高速船の新造船建造若しくは民間の高速船を借り上げて米海兵隊への貸与」を実施するならば、政府と沖縄県の間のぎすぎすした関係が改善できることや、政府が民意を無視して辺野古新基地建設を強行しているため「憲法で保障する民主主義を踏みにじる」とか「政府と地方の対等と自治権を付与された地方自治法を否定している」とかの誹りを正すことができること、無許可での岩礁破砕や未協議の設計変更等法令違反を是正でき法治国家としての尊厳を取り戻すことが出来ること、人道支援・災害救援活動(HA/DR)を中心とした国際的な貢献が可能となること、予算難の米国を支援することとなり米国と日本の同盟関係をより深化することが可能となること、など四重五重のウィン・ウィンが果たせることとなり、大変有益なことであると考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
五 本職を始め沖縄問題に造詣が深い方々や、沖縄のあるべき姿を模索し続けている心ある人々、さらにはほとんどの沖縄県民は、ラムズフェルド元米国国防長官をして「世界一危険な飛行場」と言わしめた普天間飛行場の移設・返還が進まなかった最大の理由は沖縄県民がこぞって反対したためではなく、危険な基地の危険性の除去という、日米両政府にとっても県民にとっても最も優先すべきであったはずの目標を政府が「移設なければ返還なし」という政治問題にすり替えてしまったことにあると考えているが、政府の認識と見解を答えられたい。
六 本職は、政府が、普天間飛行場の辺野古への移設が、基地という国の安保政策に基づく負担をより人口が少ない地域に背負わせることによって、国民多数の目から見えないようにするばかりでなく、沖縄県民の目からも見えないようにするという意味で、矛盾の局所化と問題の不可視化に繋げようとしているのではないかと考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
七 政府が「普天間飛行場の移設先は辺野古しかない」とか「沖縄に我が国の安全保障を担う米軍基地を押し付けても良い」とする理由は、周囲の人口が名護市辺野古では宜野湾市より少なく、沖縄県では他都道府県より少ないからなのか、政府の認識と見解を答えられたい。
八 平成九年二月十三日の衆議院予算委員会で上原康助議員は「普天間の移設先が決まらない現状をどう打開する考えか」と質問し、それに対して橋本龍太郎総理大臣は「地元の強い反対を押し切ってまで移設を強行することはあってはならない」と答弁した。この答弁は憲法が保障する民主主義及び地方自治の観点から政府が当然守るべきことを述べたものである。しかし、現在政府が行っていることは、「普天間飛行場の即時閉鎖・運用停止・県外への移設」及び「辺野古新基地建設反対」という民主主義に則って示した県民の民意と、「地方のことは地方で決定する」という地方自治を無視したものである。しかも全国各地から集めた機動隊員や海上保安庁職員という公権力で強権的に「普天間飛行場の辺野古への移設」を強行しようとするものである。また、県民の協力が得られないならば「普天間飛行場は固定化される」と恫喝する有様である。このような態度は、憲法や、二十年前の政府の答弁・対応とは明らかに異なるものではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
九 平成九年二月十三日の衆議院予算委員会で上原康助議員は「復帰の時には沖縄の米軍基地は二万七千八百ヘクタール、五十九%、本土の米軍基地は一万九千六百ヘクタール、四十一%。復帰後、整理縮小すべき沖縄のものは整理縮小しないで、関東計画かそういうもので、現在七千九百ヘクタールが日本の米軍基地、沖縄は依然としてこれだけあるから七十五%。こういう実状である。更なる基地の強化、固定化を受け入れることは困難である。また、安保条約が日本にとって重要であると言うのなら、その責任と負担は全国民が引き受けるべきではないか」と指摘した。二十年前に上原議員が行った指摘と現在の沖縄県の状況を比較すると、沖縄への基地の押し付けや県内へのたらい回し、過重な基地負担は二十年前よりさらに強まり、軽減・見直しは一向に進んでいない。ましてや安保条約に伴う責任と負担を全国民が等しく引き受けるということが全く行われず、逆に本土の基地を整理縮小して、その分を沖縄に集中させてきたのである。二十年前と何ら変わらない過重な基地負担が続いていること並びになぜ沖縄だけに基地を押しつけるのかについて政府の認識と見解を答えられたい。
十 質問九に関連して、上原議員の指摘に対して橋本龍太郎総理大臣は「大田沖縄県知事は、現に米軍施設・区域の約七十五%が沖縄県に集中していることなどから、こうした意見陳述をされました。その心情は、私としても十分理解のできるものである」と答弁した。この橋本総理の答弁からは沖縄への深い思いと理解が感ぜられる。一方、政府がこれまで「沖縄県民の思いに寄り添う」とか「政府ができることは全てやる」とか言いながら、その実、辺野古新基地建設を強引に推し進めるという行動からは、沖縄への蔑視と差別感が透けて見えるところであり、橋本総理の答弁とは雲泥の差が感ぜられるものであるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十一 平成九年二月十三日の衆議院予算委員会での上原康助議員と政府とのやり取りを見ると、沖縄の米軍基地問題や政府の対米追従姿勢、沖縄の振興策への取り組み姿勢は、二十年前より現在のほうが悪化していることが分かり、正直言ってあきれるよりガッカリしてしまう。なぜならば当時の政府答弁は、総理大臣を始め関係する全閣僚が曲がりなりにも誠心誠意答弁していることが感じ取れるが、現在の政府答弁は「沖縄県民の思いに寄り添う」とか「政府ができることは全てやる」とか言うものの、その実態は「県民の思いがどうであろうと問答無用で辺野古に新基地を建設する」というものであり、中身が伴わない、つまり現在の政府の言っていることは口先だけのお為ごかしであり、内容を伴うものではないと思われる。政府の認識と見解を答えられたい。
十二 報道によれば、ネラー米海兵隊総司令官は五月二十四日、上院歳出委員会で在沖米海兵隊のグアム移転計画について、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展やグアムでの環境問題などを踏まえて、見直しを検討していることを明らかにしたとのことである。グアムが北朝鮮ミサイルの射程に入りかねない状況を念頭に置いた発言であると思われる。また、ハリス太平洋軍司令官が航空機の一時的な配置先についても検討していることにも言及したとのことである。米軍のこのような発言は米国がその時々の対外的な脅威や必要性によって、米国・米軍の判断と決定でもって軍の配備を適宜見直すことを示したものであり、政府がこれまで繰り返し唱えてきた「米軍のグアム移転は沖縄の基地負担軽減の一環」との説明とはおよそかけ離れたものであり、「アメリカファースト」という米国の本音が図らずも示されたものであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十三 質問十二に関連して、菅義偉官房長官は五月二十五日の会見で「グアム移転は二〇二〇年代前半に開始される。このことは全く変わっていないと承知している」と発言した。しかし、沖縄に集中して配備されている米軍を北朝鮮からより離れた所に分散配置や移動させるならば、辺野古に新基地を建設する必要性は全くなくなるのではないかと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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