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平成三十年十一月八日提出
質問第四四号

原発から三十キロメートル圏内の放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあることに関する再質問主意書

提出者  阿部知子




原発から三十キロメートル圏内の放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあることに関する再質問主意書


 原発から三十キロメートル圏内にある放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあるにもかかわらず原発再稼働が容認されるのは行政府および立法府の怠慢であるとして、「原発から三十キロメートル圏内の放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあることに関する質問主意書」(以下、前回の質問主意書)を提出し、政府答弁書を受け取ったが、不明点が浮かんできたので、再質問する。

一 前回の質問主意書に対する答弁で、「土砂災害特別警戒区域」と「土砂災害警戒区域」は「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」には該当しないとの見解を政府は認めた。つまり、「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれ」があることを認めたのである。
 1 「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがある」区域に放射線防護施設があると分かっていて、原発再稼働が認められているのは、誰の責任なのか。
 2 「土砂災害特別警戒区域」または「土砂災害警戒区域」の放射線防護施設を頼りにする住民の「生命又は身体に危険が及ぶおそれがない」ように確保するのは、誰の責任なのか。
二 前回の質問主意書に対して、政府は「浸水想定区域」、「津波浸水想定区域」については、「対象施設の構造等を考慮して個々に判断している」と答弁したが、「構造等を考慮」が何を意味しているかが定かではない。
 1 個々に判断しているというのであれば「浸水想定区域」にある保健福祉センター(北海道共和町)、特別養護老人ホームみのりの里共和(北海道共和町)、特別養護老人ホームMAO(茨城県日立市)、障害者支援施設ピュア里川(茨城県常陸太田市)、杉田玄白記念公立小浜病院(福井県小浜市)、介護老人保健施設アクール若狭(福井県小浜市)、鳥取大学医学部附属病院(鳥取県米子市)、姫島福祉センターはまゆう(福岡県糸島市)、薩摩川内市総合防災センター(鹿児島県薩摩川内市)の九件、および「津波浸水想定区域」にある神恵内村役場新庁舎(北海道神恵内村)、田代島開発総合センター(宮城県石巻市)、福井県栽培漁業センター(福井県小浜市)、社会福祉法人伊方社会福祉協会つわぶき荘(愛媛県伊方町)、伊方中央公民館(愛媛県伊方町)、特別養護老人ホーム瀬戸あいじゅ(愛媛県伊方町)、大島産業振興センターと八幡浜市役所庁舎(愛媛県八幡浜市)、宇和島市立旧嘉島小学校(愛媛県宇和島市)の九件、計十八件はどのように判断するのか。
 2 十八件のうち「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」であると政府が確認した施設はあるか。あるのであれば、構造等をどのように考慮したから、「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがない」と判断したのかを明らかにされたい。
三 前回の質問主意書では、放射線防護施設が「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域に立地すること」を、原子力災害対策事業費補助金交付要綱だけではなく、法律でも義務付けるべきではないかを尋ねたが、政府は「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地する場合には、「必要な対策を講じていること」という但し書き規定があり、「放射線防護対策等事業は適正に実施されている」から、法律の義務付けは考えていないと答弁した。
 「適正に実施」とは何を意味するのか。
四 前回の質問主意書では、政府が原子力災害対策事業費補助金交付要綱で求めた原則が遵守されないまま、再稼働を容認するのは何故かを尋ねた。これに対して政府は、四国電力の伊方原発が所在する伊方地域の緊急時対応については、放射線防護施設の記載が含まれ、これが伊方地域原子力防災協議会において、「具体的かつ合理的なものであることが確認され」、その結果が「原子力防災会議に報告され、了承された」としか答えていない。
 1 伊方地域原子力防災協議会で確認された緊急時対応には、記載された「放射線防護施設」十四件のうち十二件が危険区域にあることの記載はあるのか。
 2 伊方地域原子力防災協議会で確認された緊急時対応が、原子力防災会議に報告されて了承された際には、「放射線防護施設」十四件のうち十二件が危険区域にあることの報告も行われたのか。
五 前回の質問主意書は、「縦割りの弊害を排した原子力防災体制の一体化を、政府はいつまでに実現するのか。すでに実現したと考えているのか」を尋ねたが、政府の答弁は、原子力防災会議の副議長に原子力規制委員長を充てていることをもって、「同会議と原子力規制委員会が一体となって原子力防災対策に取り組む体制となっている」としている。
 その体制下で開催された原子力防災会議で、放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあることが言及され、原子力防災対策が取り組まれたことがあるのか。言及された経緯があるのであれば、その結果、どのような対策が考えられているのか。
六 前回の質問主意書で、「危険区域に放射線防護施設が立地していることは、地域防災計画を確実に実施する上で妥当性、実行可能性が確認できている状態だと政府が考える根拠」を尋ねたが、政府は放射線防護施設については「必ずしも地域防災計画に位置付けられなければならないものではない」と答弁した。
 地域防災計画に位置付けないとしたら、危険区域に立地する放射線防護施設を頼りにする住民の安全は誰が確保するのか。
七 前回の質問主意書に対しては、「『立地問題の解消について協議』の意味するところが明らかでないため、お答えすることは困難」であるとの答弁だったので、質問をし直す。
 安倍内閣は、伊方原発から三十キロメートル圏内にある伊方町十件、八幡浜市三件、宇和島市一件、計十四施設のうち十二施設は危険区域に立地している事実を共有し、対応策について、この一町二市と相談、協議、懇談、話を行ったことがあるか。あるとすればいつ行ったのかを明らかにせよ。
八 前回の質問主意書では「原子力事業者が行う防災訓練」の「実効性を確保する」よう求めた参議院の附帯決議がどう実現されているのかを確認しようとしたが、「『複合被害の避難訓練はどのように成立するのか』の意味するところが必ずしも明らかではない」との答弁だったので、質問をし直す。
 原発事故と地震による土砂災害や津波、または豪雨による浸水被害が同時に起きた想定で避難訓練を行うとしたら、危険区域に立地する放射線防護施設では、被ばく覚悟で浸水や土砂災害から避難する訓練をするのか、放射線防護のために施設内に留まって浸水や土砂災害に備える訓練をするのか。
九 世耕弘成大臣は平成三十年五月二十三日の参議院本会議で「原子力発電所については、高い独立性を有する原子力規制委員会によって、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です」と答弁したが、前回の質問主意書で「放射線防護施設が危険区域に立地されているにもかかわらず、それが審査対象とならず、原発を稼働させている国はあるのか」「政府が知りえる範囲で明らかにされたい」と尋ねたところ、政府は「原子力規制委員会としては承知していない」と答弁した。
 それでは、世耕弘成経済産業大臣は承知しているのか。
 原田義昭原子力防災担当大臣は承知しているのか。
 安倍晋三首相は承知しているのか。
 もしも、諸外国において放射線防護施設が危険区域に立地されているにもかかわらず、原発を稼働させている国の存在を、担当閣僚も首相も原子力規制委員会も承知していないのであれば、何を根拠に「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合」「再稼働を進める」と言ってきたのか。

 右質問する。



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