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平成三十年十一月八日提出
質問第四五号

原子炉等規制法と放射性物質汚染対処特別措置法の二重基準に関する質問主意書

提出者  阿部知子




原子炉等規制法と放射性物質汚染対処特別措置法の二重基準に関する質問主意書


 東日本大震災による「避難者」として復興庁が把握している数は、二〇一八年九月十一日現在で四十七都道府県千十五市区町村にわたり五万七千人となった。このうち、福島県から県外への避難は三万三千人と大半を占め、避難の背景には、東京電力の福島第一原発事故(以後、事故)の影響があると考えられる。
 事故前も後も、原子力事業者は、原子炉等規制法に基づく「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」で、周辺監視区域外における公衆の線量限度は、実効線量で年一ミリシーベルトとする規制がかけられている。
 一方、事故により「放射性物質による環境の汚染が生じていることに鑑み(略)、汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減する」ことを目的に制定された放射性物質汚染対処特別措置法(以後、特措法)では、発生源である福島第一原発の事業者である東京電力には公衆の線量限度を実効線量で年一ミリシーベルトとする規制はかけられてない。そして、政府が二〇一三年十一月十一日に策定した基本方針で、概ね次のような方針が定められている。
 ・追加被ばく線量が年間二十ミリシーベルト以上である地域は段階的かつ迅速に縮小することを目指す。
 ・追加被ばく線量が年間二十ミリシーベルト未満の地域は年間一ミリシーベルト以下となることを長期的な目標とする。
 ・追加被ばく線量が年間一ミリシーベルト以上となる地域を指定して除染を行う。
 つまり、原子炉等規制法と特措法では、事業者にかける規制の有無も公衆の線量限度も異なっている。
 そこで以下、質問する。

一 特措法は、国や自治体が除染を行っても、追加被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下を達成することを義務づけていないが、この特別措置をいつまで続けるのか。
二 特措法のもとでは、追加被ばく線量が年間二十ミリシーベルト未満であれば、居住や帰還が許容されてしまい、追加被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下が規制される原子炉等規制法とは二重基準となっているが、事故直後の混乱期が過ぎた七年半が経過した今もこのような特別措置を続けるのは何故か。
三 現在までに政府が避難指示を解除したものの、追加被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下を、空間線量毎時〇.二三マイクロシーベルトとして換算して、それが達成できていない地域を含む市町村名を明らかにされたい。
四 避難指示が解除された後でも、住民が帰還するかどうかは、事故前からあった原子炉等規制法の告示基準を拠り所に判断するのは、極めて科学的かつ合理的な思考であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
五 原子炉等規制法が事業者に課してきた告示基準を日本全土に一律に課せていない状況は、事故由来の放射性物質汚染に暴露するリスクを持つ住民から見れば、憲法第十四条が「経済的又は社会的関係において、差別されない」として定めた法の下の平等に反している状況であると思われるが、政府はこの状況をいつまでにどのように是正するつもりか。
六 原子力災害対策特別措置法は、住民の命と健康を守るべく原子力緊急事態宣言をして避難指示を出すことを可能としている。一方で、原子炉等規制法に基づく告示による公衆の線量限度に守られる国民と、その限度とは異なる、特措法が定める長期目標のもとで住まうことを余儀なくされる国民を生み出してしまった。憲法が定める法の下の平等を守るためには、一日も早く、原子炉等規制法が原子力事業者に課している公衆の被ばく限度を全国一律のものとし、その限度を超える可能性のある地域の住民については、避難もしくは移住する選択肢と権利を確保し、経済的な負担を放射性汚染物質の発生源である原子力事業者に負わせるべきだと考えるがどうか。

 右質問する。



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