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平成三十年十一月十四日提出
質問第六一号

障害者の権利に関する条約および障害者基本法遵守に関する質問主意書

提出者  阿部知子




障害者の権利に関する条約および障害者基本法遵守に関する質問主意書


 二〇〇六年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」(以後、条約)を日本政府は二〇〇七年に署名した。その第四条3には「締約国は、この条約を実施するための法令及び政策の作成及び実施において、並びに障害者に関する問題についての他の意思決定過程において、障害者を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させる」としている。
 わが国もそれを遵守し、二〇〇九年十二月には障がい者制度改革推進本部を設置、「本部長は、障害者施策の推進に関する事項について意見を求めるため、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験者等の参集を求めることができる」とした。また、「障がい者制度改革推進会議」を開催し、障害者基本法改正プロセスに障害者および障害者団体等に参加を呼びかけ、構成員の過半数が障害者団体や障害者等だった。その結果、改正障害者基本法第十条第二項に、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない」と盛り込まれた。この国内法整備後の二〇一四年にわが国も条約を批准した。
 そこで現政権における条約および国内法の遵守について問う。

一 国の行政機関が障害者雇用促進法に基づく雇用率を達成していたかのように繕っていたことを踏まえて国は「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」(以後、閣僚会議)および「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」を設置、厚生労働省は「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会」(以後、検証委員会)を設置し、十月二十二日に委員会の報告書を公表した。
 検証委員会は、政策実施の検証の場であるにもかかわらず、その委員は弁護士二名、大学教授二名と元総務官僚の五名のみで、障害者を代表する団体も障害者も委員には選任されていない。
 1 この人選の責任を負うのは誰か。
 2 どのような考え方で人選が行われたのか。
二 検証委員会は本年九月から十月まで計四回、非公開で開催されたが、国の行政機関に対する書面とヒアリング調査のみで、障害者団体からも障害者からもヒアリングすら行わなかった。それは何故か。
三 検証委員会は、個人情報がまったく記載されていない報告書案を討議する最終段階ですら非公開で、障害者団体も障害者も、傍聴すら不可能だった。それは何故か。
四 検証委員会の中で、条約第四条3および障害者基本法第十条第二項の遵守について議論はされたか。
五 閣僚会議は、検討委員会の報告書が出された翌日の十月二十三日に、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」を発表した。今年度末までに千四百九十一.五人、来年度末までに二千五百八十一人、計四千七十二.五人の障害者を新たに雇用すると発表した。
 1 この基本方針は検証委員会報告書発表から翌日までにどのように作成、決定されたのか。
 2 この基本方針作成にあたっても、その決定過程において障害者団体も障害者も直接参加や協議ができていないだけではなく、障害者団体からも障害者からもヒアリングすら行わなかった。その責任を負うのは誰か。
六 閣僚会議では、条約第四条3および障害者基本法第十条第二項の遵守について議論はされたか。
七 今からでも遅くはないので、検証委員会報告書および「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」について障害者および障害者団体にヒアリングを行い、条約第四条3および障害者基本法第十条第二項を遵守すべく協議を行った上で今後の公務部門における障害者雇用策を決定していくべきではないか。

 右質問する。



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