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平成三十年十一月十六日提出
質問第六四号

東京医科大学における女性差別と厚生労働省医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において女性医師が〇・八掛けされていた問題に関する質問主意書

提出者  西村智奈美




東京医科大学における女性差別と厚生労働省医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において女性医師が〇・八掛けされていた問題に関する質問主意書


 東京医科大学の不正入試に端を発し、女子合格者数が抑制されていたことが明らかになった。二十一世紀の我が国においてあるまじき著しい女性差別であり、この際、原因と全容を徹底的に明らかにするとともに、被害にあった受験生を救済し、今度は同様のことが起きないよう、関係者は猛省すると同時に対応をとるべきと考える。
 東京医科大学における女子合格者数抑制の手法は、東京医科大学内部調査委員会の調査報告書によれば、小論文の点数(満点百点)に全員〇・八の係数をかけ、そこに、受験生の属性によって現役〜二浪男子二十点、三浪男子十点、四浪男子と女子は〇点、を加算するというものであった。報告書では「女子よりも男子を優先すること及びその手法として全員の得点に係数をかけたうえで属性に応じた一定の点数を加算することは、少なくとも平成十八年度入試から行われていたようである。ただし、かける係数や加算する点数は、都度見直されてきたようである。平成三十年度一般入試においては、小論文の配点が増えた結果、男子に加算される点数が平成二十九年度に比して大きくなった。これらは、重大な女性差別的な思考に基づくものといわざるを得ず、強く非難されるべきものであろう」としている。
 ところで厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」の需給推計にあたっても、女性医師を〇・八人とする推計操作が行われていた。平成二十八年六月三日分科会中間取りまとめにおいては、「三十〜五十代の男性医師の仕事量を一人当たり医師の仕事量の基準として設定し、女性医師は育児等を勘案してその〇・八、六十歳以上の高齢医師はその〇・八、研修医は一年目・二年目それぞれその〇・三、〇・五として見込」むという、偏見に基づく、エビデンスには一切よらない、極めて粗雑な操作が行われている。平成三十年五月三十一日第三次中間取りまとめにおいて多少の改善はされたが、「女性医師、高齢医師等の仕事量について(中略)就業率や勤務時間についての性年齢階級別データを踏まえ」て係数をかけるという、平成二十八年中間取りまとめの需給推計方法を踏襲した方法をとっている。
 以上のような手法は、「男性は一人前だが、女性だから、高年齢だから、一人前以下としてカウントするのが妥当」というバイアスに基づいており、長時間労働の抑制、男女ともに働き方の見直し、ワークライフバランスを推進する政府としてとってはならないものだと考える。
 そこで、以下、質問する。

一 東京医科大学の点数操作を不適切と判断しているか。また過去二年分にとどまらず少なくとも操作が行われたとされる平成十八年度まで遡って調査し、また十一月七日に公表された平成二十九・三十年度の受験生六十三人まで追加合格させるとした対処方針のほか、平成二十八年より前に受験をした学生への対応、再判定の基準の明確化、百一人の中から六十三人のみを合格とさせることへの説明、補償について、さらに大学側へ求めていくべきと考えるが、見解如何。
二 文部科学省が医学部医学科を置く全国八十一大学の入試状況を調査し、過去六年間の入試で男女別の合格率に顕著な差がみられた大学を中心に約三十校への訪問調査を進めた結果、複数の大学で女子や浪人生を不利に扱っていた疑いがあることが公表された。入学試験における女子差別は、他大学においても行われているのではないかとの懸念がある。文部科学省は引き続き調査を行い、大学側からの自主申告も求めるとしている。女性活躍促進を掲げる内閣において、他大学に対する調査と結果の公表を強力に求めていくべきではないか。
三 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」の需給推計において、平成二十八年のものは明らかにジェンダーバイアスに基づくものであり、平成三十年のものはジェンダーバイアスにつながりかねないと考えるが、政府の見解如何。
四 現在、政府内において医師の働き方改革の議論が進められていると承知している。過労死防止のための議論であることはもちろん、性別を問わず能力を発揮できる職場、女性が離職せず働ける職場を作るために行われるべきであり、ジェンダー平等を一つの支柱として行うべきと考えるが、如何。
五 今後の厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」の議論は、ジェンダーバイアスに基づくものであってはならず、長時間労働の抑制をはじめ、男性も女性もそれぞれ生活時間を確保するためのしくみをつくることを前提として行うべきであり、バイアスを生みかねない相対的な数値を用いた計算方法はとるべきではないと考えるが如何。

 右質問する。



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