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平成三十年十一月二十八日提出
質問第八七号

精神保健医療福祉の充実に関する質問主意書

提出者  矢上雅義




精神保健医療福祉の充実に関する質問主意書


 近年、精神疾患や認知症が増加し、精神保健医療福祉の充実は、国民的な課題となっている。しかし日本の精神科医療は一般科病院に比べて低医療費に抑えられ、医療スタッフの人員配置も少ない状況となっている。社会防衛的な誤った観点が精神疾患に対する差別・偏見を助長し、世界的にも例を見ない、長期に渡る社会的入院や隔離・身体拘束による人権侵害が社会問題になっている。精神科病床の人員配置を引き上げ、精神保健医療福祉の改善を図ることが緊急を要すると考える。
 したがって、次の事項について質問する。

一 近年、精神疾患が増加しており、精神保健医療福祉の充実は国民的課題です。五疾病(精神疾患、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)の患者数や生涯有病率等の直近の動向と、これらに対する政府の認識を示されたい。
二 OECD(経済協力開発機構)のヘルスデータ二〇一二によると日本の精神科病床の平均在院日数は、諸外国と比較しても突出して長いことが指摘されている。長期入院が解消されない要因について、承知しているところを踏まえて、見解を示されたい。
三 精神科病床における身体拘束・隔離の理由、一回の行動制限の時間、医療機関による差異など、行動制限の実態を把握し、対策を立てる必要があると考えるが、政府の認識を示されたい。
四 「一〇〇床当たりの職員総数、医師、薬剤師、看護師、准看護師の数」及び「診療報酬の日当点(患者一人一日当たり点数)」について、一般科病院と精神科病院とで、取り扱いが大きく異なる場合、それぞれの処遇の理由を示されたい。
五 精神科病床に、一般科病床より低い人員配置を認める、いわゆる「精神科特例」は現在も存続しているのか。厚生省事務次官通知(一九五八年一〇月二日厚生省発医一三二号)は廃止もしくは失効しているのか。医療法に規定される一般科病床と精神科病床の人員配置基準を示すとともに、一般科病床と精神科病床とで格差を設けている理由を示されたい。
六 精神科病院において医師、看護師、准看護師、臨床心理士、作業療法士、精神保健福祉士の一人当たりが受け持つ病床数について、諸外国と比較した場合の相違点につき、承知しているところを踏まえて、政府の見識を示されたい。
七 行動制限を可能な限り無くして良質な医療を提供するために、精神科病床における人員配置を引き上げる必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
八 精神疾患や認知症があっても、地域で安心して生活できるよう精神保健医療福祉の予算の拡充をはかり、継続的で包括的な支援体制を整備することが緊急の課題と考えるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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