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平成三十年十二月五日提出
質問第一一六号

デジタル人格権を尊重することによる反デジタル・レーニン主義に関する質問主意書

提出者  松原 仁




デジタル人格権を尊重することによる反デジタル・レーニン主義に関する質問主意書


 政府は、平成三十年六月八日「デジタルファースト法案及び各府省デジタル・ガバメント中長期計画について」を公表して、行政手続のデジタル化を推進する方針を明確にしている。
 デジタル化が進んだ社会は、多くの人々に高い利便性を与えることは、説明するまでもない。一方で、ドイツの政治学者セバスチャン・ハイルマン氏は、「デジタル・レーニン主義」という言葉で、中国共産党が進んだデジタル技術を統治に活用する手法を名付けた。デジタル・レーニン主義によって、中国共産党政府は、個々人のデジタル社会での人格的価値を無視して、個々人の趣味趣向や政治信条を推認する情報を幅広く収集するとともに、逆に個々人のオンライン上の主張が中国政府と反対の時にはこれを遮断することで、共産党政府にとって危険な存在となりうる人物の特定・把握を効率よく進めている。
 このように、デジタル・レーニン主義は、個々人のデジタル社会における人格的利益、デジタル人格権を無視して成り立つ面がある。
 マルクス・レーニン主義を前提とする共産主義国家において、デジタル・レーニン主義は、無批判に導入可能なものかもしれない。しかし、人権尊重を憲法の基本理念の一つとする日本国においては、デジタル・レーニン主義は、決して受け入れることができない考え方である。むしろ、デジタル人格権の尊重を前提として、デジタル化社会による利便性をも追及すべきであり、個々人は、デジタル社会において様々な人格的利益をデジタル人格権に含まれるものとして保護されるべきである。
 そこで、以下、質問する。

一 行政手続のデジタル化推進に関連して
 1 政府は、行政手続のデジタル化を推進するに当たって、デジタル・レーニン主義のような政府による強制的個人情報の収集・活用、すなわちデジタル人格権の侵害を当然の前提とするか。
 2 政府は、行政手続のデジタル化を推進するに当たり個人情報の保護に万全を期し、デジタル人格権を育成するために、具体的にどのような取り組みを進めているか。
 3 行政手続のデジタル化を推進することで国民生活の利便性が向上することが予想され、利便性の向上は、個人情報の集約・一元化に比例する面があるが、この点、このような個人情報の収集・一元化について国民の理解を得て、デジタル人格権の確立というようなコンセンサスを確立するために、具体的にどのような取り組みを進めているか。
 4 人工知能の社会実装、ビックデータの利用・活用に関する官民連携については、どのような取り組みを進めているか。

 右質問する。



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