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平成三十年十二月五日提出
質問第一二三号

医師の不足及び偏在に関する質問主意書

提出者  柚木道義




医師の不足及び偏在に関する質問主意書


 わが国の医療提供体制は、これまで多くの医師や医療スタッフによる、他国にあまり例をみない献身によって支えられてきたことは論をまたない。しかしながら、卒後臨床研修制度、新専門医制度、女性医師の増加や医師の働き方改革その他の要因により医師の不足や偏在が課題になっている。厚生労働省では「医療従事者の需給に関する検討会」が開かれて様々な有識者によって議論されているが、わが国の医療提供体制が抱える幾多の課題が「医師の不足と偏在」に凝縮されていると言っても過言ではない。臨床医の不足・偏在について以下質問する。

一 わが国の臨床医の数は、国全体としてみた場合、不足しているのか、不足していないのか。現状と将来予測について政府の見解を伺いたい。
二 臨床医の不足・偏在が指摘される際に、政府としては、医師が不足あるいは偏在している診療科は、以下のうちいずれの診療科と考えているのか。内科・呼吸器内科・循環器内科・消化器内科(胃腸内科)・腎臓内科・神経内科・糖尿病内科(代謝内科)・血液内科・皮膚科・アレルギー科・リウマチ科・感染症内科・小児科・精神科・心療内科・外科・呼吸器外科・心臓血管外科・乳腺外科・気管食道外科・消化器外科(胃腸外科)・泌尿器科・肛門外科・美容外科・眼科・耳鼻咽喉科・小児外科・産婦人科・産科・婦人科・リハビリテーション科・放射線科・麻酔科・救急科。
三 右の質問二に関連して問う。各診療科における医師の偏在を数値で表し客観的に議論しやすくする必要があると考える。ジニ係数を使って偏在の度合いを数値化する研究もあるが、政府として診療科ごとの医師の偏在を何らかの指標を用いて数値化する考えはないか。
四 三十歳代の臨床医を診療科別・男女別で分け、一九九六年と二〇一六年の二十年間の変化をみると、医師総数で減少が激しいのは外科総数(外科・乳腺外科・消化器外科(胃腸外科)・肛門外科・気管食道外科・呼吸器外科を標榜する総数)で一九九六年の七八四三人から五四九五人へと二〇〇〇人以上減っている(なお三十歳代の医師で比較するのは、医師国家試験に合格した医師の多くが二十歳代で卒後臨床研修を終えたのち、三十歳代になると自分の専門とする診療科で臨床を行い、そのあと数十年間臨床活動を行うのが一般的な臨床医の経歴と考えられるからである)。外科総数の医師を男女別でみると、男性三十歳代医師が七五八六人(一九九六年)から四四四二人(二〇一六年)へと三〇〇〇人以上減っており、女性三十歳代医師が二五七人(一九九六年)から一〇五三人(二〇一六年)へと増えてはいるが男性医師の大幅な減少を補うほどではない。政府としての男性の外科医減少の対策は何か。
五 全国の二次医療圏を人口一〇〇万人以上または一平方キロメートルあたりの人口密度二〇〇〇人以上の「大都市」、人口二十万人以上あるいは一平方キロメートル当たりの人口密度二〇〇人以上かつ人口一〇万人から二〇万人の「地方都市」、それ以外の「過疎地」の三つの区域に分けた場合、二〇一六年に六〇歳代の臨床医のうち九パーセントが過疎地で勤務しているのに対して、二〇一六年に二十歳代の医師のうち過疎地勤務が四パーセント、二〇一六年に三十歳代の臨床医のうち過疎地勤務の医師は五パーセントにとどまった。
 また、国際医療福祉大学の高橋泰教授ほかの推計によれば、人口の高齢化に伴って臨床医の高齢化も進み、二〇一六年に六十歳以上の医師の割合が全国で二十五・一パーセントだが二〇三六年には三十四・八パーセントまで高まるのに対して、過疎地では二〇一六年で六十歳代の医師の割合が既に三十三・七パーセントに達しており二〇三六年にはその割合は四十九・六パーセントにまで上昇する。この推計通りになれば、当直医の配置など現状の医療提供モデルを前提とした場合、過疎地の医療機関で夜勤体制を組むのが不可能になるなど過疎地の地域医療が危機的な状況に陥る。今年なされた医師法医療法の改正では、偏在対策への都道府県の関与を強めるなど一定の対策を進めているが、過疎地の医師不足対策としては、この法改正でも間に合わないおそれがある。例えば、卒後五年から十年の若手医師全員に過疎地での半年以上の勤務を義務づけるなど大胆な対策が必要になると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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