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平成三十一年三月八日提出
質問第八六号

毎月勤労統計調査における遡及改訂の意義と断層の評価等に関する質問主意書

提出者  山井和則




毎月勤労統計調査における遡及改訂の意義と断層の評価等に関する質問主意書


 政府は、一月十一日に「毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたことについて」を公表し、これまでの毎月勤労統計が不正な調査に基づくものであること等を公表し、過去の確定したデータの再集計、公表を行うとともに、再集計値に基づく追加給付を実施することとしています。また、一月二十二日には、毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会により「毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書」が厚生労働大臣に提出されました。
 また、一月三十日に開催された第百三十一回統計委員会では、毎月勤労統計の不正調査や再集計等に関する様々な資料が提出され、経緯等の説明が行われました。
 そこで以下の通り、質問します。

一 麻生財務大臣は、二〇一九年二月十八日の衆議院予算委員会で、「毎月の勤労統計において、二〇一五年の一月のサンプルの入れかえによって、過去の発表値が遡及して大幅に修正されるとの指摘が有識者からされたんです。」と答弁しています。この有識者の指摘について、有識者の氏名、指摘の内容及びその内容がわかる資料の出所を示して下さい。
二 政府統計について、過去の発表値に遡及して数値を改定すること(以下、遡及改定という。また、引用中の遡及改訂と同義とする。)を行うべきでないことを提言もしくは結論付けた資料は存在しますか。存在するのであれば、当該資料の名称、作成された日付を示して下さい。
三 厚生労働省が作成・公表している「毎月勤労統計:賃金データの見方」(以下、「賃金データの見方」という。)に、「『基礎統計の更なる充実について』として「事業所サンプルの入替え時に「非連続な動き(数値のギャップ)」が生じているのではないか。」との問題提起あり。(平成二十七年十月十六日:第十六回経済財政諮問会議・麻生太郎議員提出資料)」とあります。政府は、この麻生議員提出資料は、当時の事業所サンプル入替えの方法に対して問題を提起したものと認識していますか、それとも、遡及改定することに対して問題を提起したものと認識していますか、もしくは、その両方に対して問題を提起したものと認識していますか。
四 三について、遡及改定することについて問題を提起しているのだとすれば、その理由を示して下さい。
五 「賃金データの見方」に、「『サンプル替えの際の断層等』として「二年ないし三年に一度、サンプル全体の交替を行う。これに伴い、賃金、労働時間等に断層が生じるが、この調整(ギャップ修正)により数値が過去に遡って改訂されている。」との例示あり。(平成二十七年十一月四日:第十七回経済財政諮問会議・有識者議員(伊藤元重、榊原定征、高橋進、新浪剛史)提出資料)」「有識者議員資料では、「全体ないし大量のサンプル替えの際に大幅な断層や大幅な遡及改訂が生じる場合の、サンプル替えのあり方や、遡及改訂する際の過去サンプルとの整合性確保のあり方について考え方を示すこと」と指摘。その中では、「毎月勤労統計」及び「法人企業統計季報」が例示されている。」とあります。政府は、この有識者議員提出資料は、当時の事業所サンプル入替えの方法に対して問題を提起したものと認識していますか、それとも、遡及改定することに対して問題を提起したものと認識していますか、もしくは、その両方に対して問題を提起したものと認識していますか。
六 五について、遡及改定することについて問題を提起しているのだとすれば、その理由を示して下さい。
七 根本厚生労働大臣は、二〇一九年二月二十日の衆議院予算委員会で、「統計委員会の答申としては、調査、統計は原則として遡及しないという原則的な考え方に照らして、従前の方法を改め、新旧の数値をそのまま接続し、遡及改定を行わないということで答申されて」と答弁しています。この「原則的な考え方」は、どのような資料に記述されていますか。「原則的」であることがわかるよう記述を示すとともに、資料名を示して下さい。
八 内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部が二〇一八年十月三十一日に公表した「雇用者報酬推計における「毎月勤労統計調査」データの調整方法について」(以下、「内閣府の調整方法について」という。)では、雇用者報酬推計にあたり、「ギャップの要因に応じた調整を施した上で、推計に利用することとする」とし、「当該系列が二〇一八年一月以降の本系列と変化率でみて段差なく接続するようにリンク係数を乗じて遡及計算を行う。」とされています。これは、七にある「原則的な考え方」に反するものではありませんか。これは、遡及改定を行わないことが「原則的な考え方」ではないことの証左と考えますが、政府の見解を示して下さい。
九 統計調査における、遡及改定あるいはデータの補正や調整などを活用することは、「内閣府の調整方法について」でも言及されている「ギャップの要因に応じた調整」であり、統計調査を経済や社会情勢の実態に近づける手法として、必要かつ重要と考えますが、この点について、「調査、統計は原則として遡及しない」ことを「原則的な考え方」としている、政府の見解を示して下さい。
十 三の麻生議員提出資料にある「遡及改訂により既発表値から下方修正」との記載について、この下方修正により、掲載されているグラフは、「現金給与総額推移(対前年比)」の実態から乖離したと認識していますか、それとも実態に近付いたと認識していますか。政府の見解を示して下さい。
十一 「毎月勤労統計調査 平成三十一年一月分結果速報」(以下、「平成三十一年一月分速報」という。)には、冒頭のページに「平成三十一年一月に三十人以上規模の事業所の標本の部分入替えを行いました。(以下、略)」との記述があります。本来であれば、二〇一八年三月に公表された「毎月勤労統計調査 平成三十年一月分結果速報」(以下、「平成三十年一月分速報」という。)から記載されるべきです。この記述が、昨年は掲載されなかった理由と、今回から記載された理由をそれぞれ示して下さい。
十二 「平成三十一年一月分速報」には、「平成三十年に基準とする母集団労働者数(ベンチマーク)の更新を行ったため、平成三十年においてはベンチマークの違いによる断層(以下、この「断層」という。)が発生していました。」との記述があります。本来であれば、二〇一八年三月に公表された「平成三十年一月分速報」から記載されるべきです。この記述が、昨年は掲載されなかった理由と、今回から記載された理由をそれぞれ示して下さい。
十三 毎月勤労統計調査において、「平成三十年に基準とする母集団労働者数(ベンチマーク)の更新を行った」時と同様、将来、ベンチマークの違いによる断層が生じることが見込まれることになった場合、その断層は、今回同様、総務省及び厚生労働省が作成公表した「毎月勤労統計についてベンチマーク(ウエイト)更新時に賃金・労働時間指数を遡及改定しないことについて」にある通り、「新旧計数をそのまま接続」しますか。
十四 この「断層」が何パーセントであったかにより、昨年の実質賃金の数値に対する評価も変わります。この「断層」が何パーセントであったか示して下さい。もし、直ちに示すことができないのであれば、この「断層」について、「毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会」で、速やかに議論して公表すべきですが、政府の見解を示して下さい。
十五 この「断層」により、昨年の毎月勤労統計調査結果における、現金給与総額(名目賃金)の伸び率および実質賃金の伸び率は、プラスの断層が発生(上振れ)していましたか、それともマイナスの断層が発生(下振れ)していましたか。
十六 この「断層」が生じた原因は何ですか。政府の見解を示して下さい。
十七 この「断層」が生じたことにより、「賃金データの見方」にある「労働者全体の賃金の水準」は、実態に近付きましたか、それとも実態から乖離しましたか。政府の見解を示して下さい。
十八 この「断層」が生じたことにより、「賃金データの見方」にある「景気指標としての賃金変化率」は、実態に近付きましたか、それとも実態から乖離しましたか。政府の見解を示して下さい。

 右質問する。



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