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令和元年十月十六日提出
質問第三八号

前環境大臣が東電社長に要請した石炭火力抑制についての新大臣の対応と認識に関する質問主意書

提出者  阿部知子




前環境大臣が東電社長に要請した石炭火力抑制についての新大臣の対応と認識に関する質問主意書


 小泉進次郎環境大臣の就任会見での記者とのやり取りにより、原田義昭・前環境大臣が、八月二十二日に、東京電力の小早川智明代表取締役を大臣室に呼んで石炭火力発電所について要請を行ったことが判明した。
 事実関係を環境省に問うと、石炭火力発電所全般について「極力抑制すべきもの」との手紙(以後、手紙)を渡したことがわかり、開示を求めると、十月十日に超党派議員連盟「原発ゼロの会」が有識者らと開いた「国会エネルギー調査会(準備会)」で、その複写が開示された。手紙について説明を行った環境省担当者によれば、小早川社長からは十月十日現在で何ら回答を得ていないとのことである。
 しかし、手紙を見ると、「石炭火力発電の運転は極力抑制すべきもの」とした九項目の「主な理由」(以下、理由)は、どれも国際約束である「パリ協定」を守るために重要であり、回答を得るべき手紙である。また、新環境大臣をはじめとする政府の対応と認識も明らかにすべきである。
 そこで、以下、質問する。

一 手紙は、「石炭火力発電の運転は極力抑制すべきもの」と書かれ、石炭火力発電所の新規、既設にかかわらず、抑制を求めていると解される。
 1 小泉環境大臣は、原田前大臣が出された手紙について、報告、引継ぎを受けているのか。引き継いでいる場合、東京電力から今後、どのように回答を求めていくか。
 2 引き継いでいない場合、小泉環境大臣からも改めて、東京電力に要請を行うべきである。たとえば、東京電力と中部電力が共同出資して設立した株式会社JERAが建設する横須賀火力発電所について、「石炭火力発電の運転は極力抑制」するよう、どのように要請するか、その政治的な意思を明らかにされたい。
二 原田前大臣による石炭火力発電を抑制すべき一番の理由は、「石炭火力発電の温室効果は、他の電源より非常に高いこと」である。高効率の天然ガス火力発電所と比べて横須賀火力発電所で使われる予定の石炭による発電量あたりの二酸化炭素排出量は何倍か。
三 原田前大臣による石炭火力発電を抑制すべき二番目の理由は、「国際的には、英国、フランス、ドイツを含む多くの国が、即時、乃至は時限を切って廃止の決定をしていること」である。日本政府が時限を切ることができない理由はあるのか。あるとすれば何か。
四 原田前大臣による石炭火力発電を抑制すべき三番目の理由は、「内外の多くの環境関係者から常に強い意見が出されていること。安倍総理大臣宛て、禁止に向けて特段の要請もあっていること。(四月十八日)」であるが、四月十八日に安倍総理大臣宛てで行われた「特段」の要請としては、何があるのか。その要請への政府の対応も含めて明らかにされたい。
五 原田前大臣による石炭火力発電を抑制すべき四番目の理由は、「現下の石炭燃料は、他の燃料に比べて経済的、経営的に有利と思われているが、その長期的将来については、不透明であること」であった。小泉環境大臣の石炭燃料の長期的将来の経済的見通しについての認識を明らかにされたい。
六 石炭火力発電を抑制すべき五番目の理由は、「新設計画では運転開始が、四、五年先のものもみられること」であり、横須賀石炭火力発電所はそれに相当すると思われる。九月に開かれた国連気候行動サミットで、グテーレス国連事務総長は、二〇二〇年以降の石炭火力の新設を禁止するよう各国に求めたが、小泉環境大臣はどのように対応するのか。
七 石炭火力発電を抑制すべき六番目の理由は、「国際的に日本は今、石炭火力の存在故に「環境先進国」とは呼ばれなくなったこと」、七番目の理由は、「今金融の世界では、国際金融も、国内金融も、ESGの動きが広がっており、取り分け石炭火力が専らその対象になっていること」である。小泉環境大臣も同じ認識か。
八 石炭火力発電を抑制すべき八番目の理由として、「この一年弱、電力各社には、総論的には又は個別に計画の中止を要請しましたが、苦渋の決断をして頂いた関係者には心から敬意を表しています」と、電力会社によっては、計画中止を決断したことが挙げられている。近年自主的に計画中止を行った電力会社名を明らかにせよ。また、小泉環境大臣も同様の見解か。
九 石炭火力発電を抑制すべき九番目の理由として、「貴社は日本で最大かつ日本を代表するエネルギー企業であり、貴社の決断は、ひとり貴社の経営に留まるものではなく、国全体の政策、評価に係るものであります」とされている。小泉環境大臣も同意見か。明らかにされたい。

 右質問する。

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