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令和元年十二月四日提出
質問第一六九号

同一労働同一賃金に関する質問主意書

提出者  松原 仁




同一労働同一賃金に関する質問主意書


 平成二十九年三月二十八日に働き方改革実現会議において決定された、働き方改革実行計画に基づき、労働者派遣事業に関連して、同一労働同一賃金(以下「本施策」という。)の実現へ向けて、労働者派遣法(以下「法」という。)が改正された。これにより、派遣元事業主(以下「派遣元」という。)に対して、派遣先事業主(以下「派遣先」という。)の通常の労働者との均等・均衡待遇を確保するか(法第三十条の三)、一定の要件を満たす労使協定による待遇確保(法第三十条の四)のいずれかが義務づけられた(以下「本義務」という。)。そして、それに違反した場合は、厚生労働大臣により必要な指導及び助言を受け(法第四十八条第一項)、改善命令等(法四十九条第一項)を命じられることがあり、その命令に従わない場合には、許可の取消し等(法第十四条第一項第二号、同条第二項)を受ける可能性がある。
 派遣元が本義務を履行するためには、派遣労働者の賃金の値上げをしなければならない場合があり、その際に考えられる原資となるべきは、まずは派遣料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を差し引いたマージンである。しかし、このマージンに関する情報(マージン率)は、法令により情報提供義務が課されているため(法第二十三条第五項、施行規則第十八条の二)、派遣先との関係から、派遣元が自由にマージンを設定することは事実上むずかしく、いきおい業界平均水準に収斂されていくものと思われるため、新たな本施策実施のための原資として余力があるとは考えにくい。
 そうすると、現実に原資として依拠すべきは、派遣元が支払う派遣料金とならざるをえず、派遣労働者の賃金を上げるためには、派遣料金の値上げ要請が必要とならざるをえない場面が想定されてくる。
 ところが、この派遣料金値上げの要請を受けた派遣先に対して課される義務は、「配慮」(改正後の法第二十六条第十一項)とあるだけであり、この「配慮」義務の解釈指針として、厚生労働省職業安定局発行「労働者派遣事業関係業務取扱要領(二千二十年四月一日施行版)百六十頁(4)ハ(ハ)によれば、「例えば、派遣元事業主から要請があるにもかかわらず、派遣先が派遣料金の交渉に一切応じない場合や、派遣元事業主が法第三十条の三または法第三十条の四第一項に基づく賃金を確保するために必要な額を派遣先に提示した上で派遣料金の交渉を行ったにもかかわらず、派遣料金が当該額を下回る場合には、配慮義務を尽くしたとは解されず、指導の対象となりうるもの」とだけあるのみである。この指針の裏を返せば、派遣先としては、派遣元からの値上げ要請については一応の対応さえすれば義務を果たしたことになるものと解され、派遣労働者の待遇改善を図り同一労働同一賃金実現の実効性の点で疑問を感じざるをえず、法改正の趣旨と平仄が合わないのではないかと思われる。
 そこで以下質問する。

一 労働者派遣事業においては、派遣労働者の待遇を決するのは、派遣元が支払う賃金とその前提となる派遣先が派遣元に対して支払う派遣料金であり、両者は密接不可分である。そうであれば、本施策を実効性あらしめ、真に派遣労働者の待遇改善を図り同一労働同一賃金の実現を図るためには、派遣元が課された義務を履行できる程度に、派遣先に対しても同様の義務を課すべきではないかと考えるが、派遣先に対する義務について、以下お答えいただきたい。
 1 派遣先による派遣料金に関する義務を「配慮」にとどめたのはなぜか。
 2 「配慮」義務であっても、本施策の実効性担保に十分であると考える根拠をお示しいただきたい。

 右質問する。

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