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令和二年十一月十三日提出
質問第一五号

建設発生土の規制に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




建設発生土の規制に関する質問主意書


 建設発生土は、建設工事で発生する土砂であり、埋立てや盛土の材料として土地造成などに利用できる有用な再生資源とされ、廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当しない。
 しかし、廃棄物とみなされないために建設発生土には処分の規制措置が無く、発生現場内や他の建設工事等で有効に利用されることがある一方で、一部において山林等への投棄など不適正な処理が行われ、崩落が起きるなど生活・自然環境に悪影響を及ぼしている例も見られる。現在、東京五輪・パラリンピックやリニア中央新幹線建設などの大型の公共工事が相次ぐ中、建設発生土が大量に発生し、建設発生土の不適正処理の事案や建設発生土による土砂崩落等が発生している。平成三十年十二月に「土地等の埋立て等に関する非常事態宣言」を出すに至った静岡県富士市のような事例も発生している。
 一方で、大阪万博(二〇二五年)の会場の造成に際しては、当初、大阪市が主に市内で集めた建設発生土を利用して埋立工事を進めていたが、作業を急ぐために補正予算に土地造成費を計上し、土砂を購入して作業を進めるという事例も発生している。
 建設発生土を有効活用するとともに不適正な処理を防止するために、国土交通省が建設発生土の官民有効活用マッチングの仕組みを導入したものの、建設発生土の搬出・搬入する工事現場間の距離が近いものなどに限られており、悪質業者による不法投棄事案など各地で発生している建設発生土に係る不適正な処理への対策として有効に機能しているとは言い難い。また、大阪市の事例は、このマッチングの仕組みが機能していないことの証左でもあると考えられる。
 他方、実際には建設発生土は、都道府県境を越えて広域的に移動しているが、条例による規制だけでは限界があり、条例が定められていない、又は規制の緩い地域で処分されるおそれがある。このように、不適正な建設発生土の処理を行う事業者に対する実効的な規制ができていないのが現状である。
 関連して、以下質問する。

一 建設発生土に係る不適正処理の状況や建設発生土の受け皿となる建設発生土処分場の状況を把握するとともに、悪質な業者や事案について関係省庁及び自治体間で情報共有を行うことができなければ、不適正処理に対して対応することはできない。そこで、過去三年間程度の都道府県ごとの建設発生土受入地の施設数、残存容量、残余年数及び建設発生土の不適正処理に関連し、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、砂防法、自然環境保全法、自然公園法、森林法、農地法及び刑法等により警察に検挙された悪質業者の件数を政府として把握する必要があると考えるが、把握状況を明らかにされたい。把握していない場合、把握していない理由及び把握する考えがあるのかについて、政府の見解を示されたい。
 また、現在、総務省の行政評価において「建設残土対策に関する実態調査」を行っているところと承知している。建設発生土の不適正処理の問題は古くから指摘されており、政府としての対策や規制の在り方について必要な検討が行われていることと思うが、その検討の具体的内容と対策の実施時期を示されたい。
二 政府を挙げて取り組んでいる東京五輪・パラリンピックやリニア中央新幹線建設などの大型事業が現在進められているところであるが、これらの大型事業を完遂させるためには、そこで発生する建設発生土を適正に処理することが欠かせない。これらの大型事業において発生する建設発生土の量及び処分方法等について政府として常に把握、検証し、必要に応じて見直していくことが必要と考える。
 このため、大量の建設発生土の発生が見込まれるような大型事業では、例えば、「埼玉県土砂の排出、たい積等の規制に関する条例」の規定のように建設工事現場から五百立方メートル以上建設発生土の排出が見込まれる場合は事前に建設発生土の排出計画を定め、届出を提出させるなどの取組を行うことが重要である。
 そこで、事業者に対し、事前に建設発生土の発生量の想定と建設発生土処分場の確保を徹底させるとともに、事業の進捗に伴って実際に発生した建設発生土の量との差を定期的に報告させ、建設発生土の処理方法等についても随時見直しを求めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。
三 国土交通省が導入した建設発生土の官民有効活用マッチングの仕組みがあるが、成立した件数は平成二十七年度の制度開始から現在までに三十一件と少なく、上手く機能していないと思われる。建設発生土の官民有効活用マッチングの件数が増加しない理由及びその解決策について、政府の見解を示されたい。
四 建設発生土には処分の規制措置が無いために、「残土」と称して不適正処理がなされ、生活・自然環境に悪影響を及ぼしている。建設発生土についても、不要とされたものについては廃棄物処理法上の廃棄物とみなし、同法による処理を行うべきという考え方もあるが、政府の見解を示されたい。
五 大量の廃棄物を他人の土地に堆積させるなどの行為について、当該土地の利用価値を喪失させたとして、不動産侵奪罪が成立した事例があると承知している。
 建設発生土の不適正な処理に対して、自治体における条例等による規制が行われていない場合、不動産侵奪罪の適用が選択肢の一つとなっているが、不動産侵奪罪が建設発生土の不適正処理に十分に適合しているとは言い難い。建設発生土の不適正処理事案を適正に抑止するため、必要な法制上の措置も含めた検討を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
六 建設発生土に関し、条例による規制を行っている自治体は限定され、条例を制定している自治体とそうでない自治体との間での建設発生土対策に格差が発生し、その隙間を狙って悪質業者による建設発生土の不適正処理も発生している。
 また、地方自治法では、条例の罰則は二年以下の懲役又は百万円以下の罰金と上限が定められているため、建設発生土の不適正処理で得られる悪質業者の利益や不法投棄の原状回復等に要する費用と比して、十分に抑止効果が機能しているとは言い難い。
 こうしたことから、建設発生土については、各自治体にその対策を委ねるのではなく、国による一元的な法的規制やガイドラインの策定等の対策を早急に講ずるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。

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