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令和二年十一月十三日提出
質問第一六号

放課後等デイサービスに関する質問主意書

提出者  丸山穂高




放課後等デイサービスに関する質問主意書


 放課後等デイサービスは障害のある児童生徒が通う療育及び居場所機能を持つ施設として、令和元年度は全国でおよそ一万四千施設あり、二十二万六千人が利用した。平成二十九年四月施行の放課後等デイサービス指定基準等の改正により、不適切または質の低い支援について見直されたものの、令和二年度の厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおいても、改善を要する事案があるとされる。
 上記を踏まえ、以下質問する。

一 放課後等デイサービス施設(以下、「施設」という。)では、三十分未満など極端に短時間でのサービス提供であったとしても、長時間の場合と同様に、一回当たりの報酬が算定される。
 1 同じ福祉サービスでありながら、介護保険の通所介護事業所は、サービス提供時間の短縮を行った場合、実際のサービス提供時間の区分に対応した報酬区分を算定する。同様のサービス形態にありながら、施設では、報酬算定において実際のサービス提供時間が考慮されていない理由は何か。通所介護事業所の報酬区分と相違する報酬算定は、施設がサービス提供時間の短縮に応じた減額算定等が不要なため、過剰な請求を常態化させる要因となっているのではないか、政府の見解を問う。
 2 障害福祉サービス等報酬改定検討チームが指摘する論点によると、療育の支援時間の長短について、どちらを高く評価すべきかは判断が難しいとされるが、施設が児童のセルフプランに沿い適切な時間設定を行うことにより、報酬の算定が可能と考えられる。予定されたデイサービス提供時間の短縮が頻発する施設については制度の趣旨にそぐわないサービスを提供しているおそれもあるが、政府は原因や傾向を把握しているか。とりまとめを行っているのであれば、詳細を伺いたい。
二 施設の療育支援の結果として児童が発達するほど、指標該当児に適合しなくなり施設の報酬が減額となる。収支のみを考慮するならば、施設は療育の成果を求めずにサービスを提供し続けた方が黒字経営に寄与することとなってしまう。一方、介護報酬において、要介護度の改善に関するインセンティブ制度及びアウトカム評価が進められている。これを踏まえ、施設の療育支援についても、同様の評価設定を検討することも有用と考えるが、政府の見解を問う。
三 障害福祉サービス等報酬改定検討チームが指摘する論点によると、障害の重い児童を受け入れた場合や障害が軽度であっても行動障害を持つなど、対応が困難な児童について、地方自治体により指標該当児の判定に差があるとされる。地方自治体による判定の結果、指標該当児の割合が五十%以上に達しない限り、基本報酬上評価されない。地方自治体で差があるとされている状況は、障害のある児童生徒及び施設の不利益に繋がるのではないか。また、指標該当児の判定には、介護保険制度の認定調査員及び介護認定審査会のような、判定の公平性を担保する手順が活用できると考えるが、政府の見解を問う。
四 施設への送迎については、本来、児童生徒の自立と社会参加を獲得するために、自力で通学する力をつけることが療育の大前提とされるところ、平成三十年度の実態調査では七十九・三%の施設が送迎加算を算定しており、実質的に施設の基本報酬に近い状態となっている。送迎加算は、施設にとって保護者へ過剰なサービス提供を勧めるインセンティブとなっている側面がないか。政府の見解を問う。
 また、送迎加算の一部を基本報酬に組み込み、送迎加算制度を取りやめることで、児童生徒の自立と社会参加を阻害する送迎について見直しが進むのではないか、政府の見解を問う。
五 施設では、福祉サービス以外に様々な事務作業、行事等の準備、会議及び研修があるとされる。基本報酬はあくまで福祉サービスに関する請求となるため、事務作業などの残業代に関する人件費を施設が工面できず、職員のサービス残業及び休憩時間の未取得などが常態化しているとの指摘がある。サービス残業など施設の労働環境の実態について、調査を行う必要はないか、政府の見解を問う。
六 施設の人員には専門性の確保が求められる。障害福祉サービス等報酬改定検討チームの資料によると、障害福祉サービス経験者を一定の経過措置を設けた上で施設の人員配置基準の対象から外し、保育士・児童指導員のみにするとの検討の方向性が示された。しかし、廃止後に施設の人材確保が間に合わず、人員配置基準の達成を維持できなければ、施設の経営上大きな影響を及ぼすと考えられる。廃止によって生じる影響と対策について、詳細を伺いたい。

 右質問する。

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