衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和三年一月十八日提出
質問第三号

政権による事実と異なる答弁(いわゆる虚偽答弁)及び「答えを差し控える」・「答える立場にない」など政権による説明拒否発言が連発されていることに関する質問主意書

提出者  中谷一馬




政権による事実と異なる答弁(いわゆる虚偽答弁)及び「答えを差し控える」・「答える立場にない」など政権による説明拒否発言が連発されていることに関する質問主意書


一 第二〇三回国会質問第八一号「政権による事実と異なる答弁(いわゆる虚偽答弁)に関する質問主意書」(以下「先の質問主意書」という。)にて、「二〇一七年二月十五日から二〇一八年七月二十二日までの衆議院及び参議院の国会質疑において、森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題についての財務大臣や政府参考人等の答弁で、財務省が二〇一八年六月にまとめた「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」と、会計検査院が同月に参議院予算委員会に提出した中間的な報告に照らして、これらの内容と異なる答弁は、衆議院調査局の調査によれば、計百三十九回あったとのことであるが、政府としてはどのように受け止めているのか伺いたい。」と問うたところ、これに対する答弁書(内閣衆質二〇三第八一号。以下「答弁書」という。)において、「お尋ねについては、令和二年十一月二十五日の記者会見において、加藤内閣官房長官が、「御指摘の答弁回数については、立憲民主党・市民クラブから衆議院調査局に依頼があり、平成三十年の八月に衆議院調査局において発表された結果と承知をしております。応接録の取扱いなどについて、国会への対応として不適切な対応だったと言わざるを得ず、これは大変遺憾であると考えております。また、一連の問題行為については財務省において平成三十年六月に調査結果を公表し、関与した職員に対し厳正な処分が行われたものと承知をしておりますが、いずれにしても、今後、行政においてこうした国民の疑惑を招くような事態は二度と起こさないことが必要であり、公文書管理法に基づく文書管理の徹底を図っていきたいというふうに考えております。また、国会の対応においては、政府としては正に真摯に答弁するよう引き続き努めていきたいと考えております。」と述べたとおりである。」とのことであったので、以下関連して質問する。
 1 公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)においては、「行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的」としており、このような考え方の下、同法第二条第四項に規定する行政文書については、同法等の規定に基づき、適切に整理し、及び保存されなければならないにもかかわらず、先般の公文書改ざん問題が起こっている。
  行政機関において、行政文書は、現に利用された後、一定の期間保存され、保存期間の満了前のできる限り早い時期に、国立公文書館等へ移管して永久保存されるか、廃棄されるかが判断される。しかし、行政文書は、政策決定の根拠となる資料から、時の政権の意向が大きく反映された文書まで、いずれも非常に重要な文書であり、かつ国民からの信頼性を確保するという観点からすれば、できる限り廃棄せず、いつでも情報公開できるようにしておくべきものであると考える。すなわち、保存期間をいたずらに短くして満了後直ちに廃棄するという考え方自体を改める必要があると考えるが、如何か。政府の見解を伺いたい。
 2 デジタル技術が進み、一般的に紙の文書を容易に電子データ化することが可能となり、かつ電子化コストが安価になった現代において、文書を電子データで保存することは当たり前のこととなっている。電子データで保存することにより、文書の管理コストが飛躍的に下がり、必要な文書を検索する利便性も向上し、文書の改ざん防止性も高まることから、行政文書の作成・取得から移管までの処理は、百%デジタルで完結させることを前提として、処理のフローや要件定義を設計した上で、全ての行政文書を電子データとして永久保存とするべきと考えるが、如何か。政府の見解を伺いたい。
二 先の質問主意書にて、「二〇二〇年十一月二十四日に報告された衆議院調査局の調査に基づき確認したところ、安倍晋三前首相周辺が「桜を見る会」の前夜祭をめぐる費用の一部を補塡したと認めたと報道されている問題をめぐり、安倍晋三前首相は二〇一九〜二〇二〇年の国会で、「明細書はない」「後援会としての収入、支出は一切ない」「事務所側が補塡した事実も全くない」など事実と異なると考えられる答弁を少なくとも三十三回(後に百十八回と判明)していたが、政府としては事実をどのように受け止めているのか、菅義偉内閣の所見を伺いたい。」と問うたところ、答弁書において、「御指摘の「「桜を見る会」の前夜祭」に関するお尋ねは、安倍前内閣総理大臣個人の政治活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。」とのことであったので、以下関連して質問する。
 1 本質問は、行政府の最高責任者である首相が少なくとも百十八回も国会で事実と違う答弁(いわゆる虚偽答弁)を行った事実を踏まえた質問であるが、首相が国会で行った答弁に対して「政府としてお答えする立場にない」とした詳細な理由と、その根拠について伺いたい。
 2 行政府の最高責任者である首相が百十八回も国会で事実と違う答弁(いわゆる虚偽答弁)を行ったことについて、安倍晋三前首相個人の政治活動に関するものであり、政府は同答弁の内容について何ら責任は負わないと考えているのか、所見を伺いたい。
 3 二〇二一年一月十日、菅義偉首相は、NHK(日本放送協会)の番組において、「桜を見る会」前夜祭をめぐる安倍晋三前首相の説明責任に関して、「できる限りの説明はされた。」と述べた。
  その一方で、安倍晋三前首相は、「桜を見る会」前夜祭をめぐる疑惑に「捜査の結果が出次第、誠意をもって答えたい。国会にも誠実に対応したい」と答えていたが、現在においても開催経費の内訳を示す明細書や領収書は安倍事務所にないとしてその提示を拒み、安倍事務所による費用補填の原資に係る詳細な説明も避けている状態が続いているが、菅義偉首相は何をもって「できる限りの説明はされた。」と考えているのか、所見を伺いたい。
三 先の質問主意書にて、「菅義偉首相は官房長官の当時、二〇一九年十一月二十一日に開催された参議院内閣委員会において、「桜を見る会」の前夜祭をめぐり、ニューオータニ等の宴会場で、立食形式のパーティーを催す場合の費用は、一人一万円程度はかかると指摘されていたにもかかわらず、安倍晋三前首相事務所が参加者から五千円しか徴収していなかったことの妥当性を問われ、「ホテル側が設定した価格である(中略)柔軟な設定をして行うということは私はあり得ると思います」「五千円でできないと言っていますけど、(中略)決め打ちはやめていただきたい」と答弁しているが、今でもニューオータニ等の宴会場で立食形式のパーティーを催す場合の費用は一人五千円で開催できると考えているのか、所見を伺いたい。」と問うたところ、答弁書において、「お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、令和元年十一月二十一日の参議院内閣委員会において、菅内閣官房長官(当時)は、「ホテルニューオータニで五千円ではできないと言っていますけど、現に昨日の新聞報道で、民主党の国会議員の方が四千幾らでやったんじゃないでしょうか。たしか同じように八百人の規模だったと思います。まず、決め打ちはやめていただきたいというふうに思います。サービス内容においてホテル側が設定した価格であると承知しています。そして、その入口で領収書を発行してお金を受け取る、そしてそこにホテルの側の人もいたということじゃないですか。そして、その全てをホテル側に支払をした。そしてまた、宿泊者の人たちは直接旅行社に費用として振り込んでおりますから、そうしたことについて、当然、ある意味では柔軟な設定をして行うということは私はあり得ると思います。」と述べているところである。」との答弁を頂いたが、これは要するに、菅義偉首相は、ホテルニューオータニの宴会場が柔軟な価格設定をして立食形式のパーティーを催す場合の費用を一人五千円で開催できることが今でもあり得ると考えているという理解でよいか、答弁内容が非常にわかりにくいので、「はい」か「いいえ」で質問に関する見解を明確にして頂いた上で、その詳細について所見を伺いたい。
四 先の質問主意書にて、「二〇一九年十一月四日の毎日新聞の報道によれば、第二次安倍内閣が発足した二〇一二年十二月から二〇一九年十一月の報道までの間で、閣僚の引責辞任や疑惑報道など不祥事が起こる度に安倍晋三前首相から「責任は私に」といった言い回しの発言が四十九回に渡って国会で繰り返されたとのことであるが、特段何かの責任を取ることもなく、安倍晋三前首相は辞任した。責任とは、大辞林によれば、「自分がかかわった事柄や行為から生じた結果に対して負う義務や償い。」とされている。また大辞泉によれば「自分のした事の結果について責めを負うこと。特に、失敗や損失による責めを負うこと。」とされており、一般的にこうした解釈であると認識をしているが、菅義偉政権においては、「責任」という言葉をどのように解釈され、発言されているのか、政府の見解を伺いたい。」と問うたところ、答弁書において、「「責任」という語は、一般に、御指摘の辞書に記載されたような意味で用いられているものと承知しているが、様々な文脈で用いられていることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。」とのことであったので、以下関連して質問する。
 1 「責任」とは、大辞泉によれば「自分のした事の結果について責めを負うこと。特に、失敗や損失による責めを負うこと。」とされ、一般的にこうした解釈であると認識をしており、「責任」という語は当然様々な文脈で用いられるが、菅義偉政権においては、「責任」という語の解釈が状況によって変わり、国語的に明確な定義をせずに発言されているという理解でよいか、政府の所見を伺いたい。
 2 安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の費用について、安倍晋三前首相の公設第一秘書(当時)が東京地検特捜部の事情聴取に対し、費用の一部を補填したことを認めた上で、補填した分は政治資金収支報告書に記載しなければならないとわかっていたと供述していると報道されている問題をめぐり、二〇二〇年十一月二十五日に開催された参議院予算委員会において、菅義偉首相は、自身の国会答弁について、「事実が違った場合は、それは当然私にもこの責任、答弁した責任は私があります」と答弁しているが、この答弁における「責任」という語はどのように解釈され、発言されているのか、所見を伺いたい。
五 先の質問主意書にて、「安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の費用について、安倍晋三前首相の公設第一秘書が東京地検特捜部の事情聴取に対し、費用の一部を補填したことを認めた上で、補填した分は政治資金収支報告書に記載しなければならないとわかっていたと供述していると報道されている問題をめぐり、二〇二〇年十一月二十五日に開催された参議院予算委員会において、菅首相は、自身の国会答弁について、「事実が違った場合は、それは当然私にもこの責任、答弁した責任は私があります」と答弁しているが、費用の補填が事実であった場合にどのように責任を取るお考えであるのか、所見を伺いたい。」と問うたところ、答弁書では、「お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。」とのことであったので、以下関連して質問する。
 1 「お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。」とのことであるが、仮定の質問への返答は、議論のルールとして禁止されているわけではなく、論理的におかしいわけでも、回答不能であるわけでもないと考えるが、なぜ仮定の質問に答えられないのか、その具体的かつ論理的な根拠及び合理的な理由について政府の見解を伺いたい。
 2 費用の補填は「仮定の質問」ではなく、安倍晋三前首相の公設第一秘書(当時)が政治資金規正法違反(不記載)により略式起訴されて罰金刑を科せられたことから、裁判所により認定された事実となったが、これを踏まえて菅義偉政権としてどのように責任を取るお考えであるのか、所見を伺いたい。
 3 立命館大学の桜井啓太准教授が国会での説明拒否について国会会議録検索システムの検索語に「答えを控え」「答えについて差し控え」など類似の十六パターンを入力し、一九七〇年から二〇二〇年まで一年ごとに件数を調査したところ、一九七〇年は七回だったが、ピークの二〇一八年は五百八十回と八十倍以上、首相や閣僚らが国会で「お答えを控える」などと発言し、説明を避ける場面が第二次安倍晋三政権が本格スタートした二〇一三年以降、顕著に増加していることが判明した。
  この傾向は、菅義偉首相も同様の姿勢を引き継がれており、共同通信社の配信記事によれば、二〇二〇年十二月五日に閉会した臨時国会では、菅義偉首相が衆参の予算委員会で、日本学術会議の会員任命拒否と「桜を見る会」の問題について「答えを差し控える」「答える立場にない」といった答弁を連発し、六十七回にも上ったことが明らかになった。
  安倍晋三政権及び菅義偉政権が、「答えを差し控える」「答える立場にない」という答弁を連発し説明することを避ける答弁を多用しているのは、具体的にどういった理由に基づくものであるのか、類型化した上で、政府の所見を伺いたい。
 4 答弁書においても、「お答えする立場にない。」「お答えすることは差し控えたい。」との答弁がなされているが、このような答弁が乱発されることにより、国会においては具体的な根拠や理由を掲げた上で主権者たる国民に説明するという政府の当たり前の役割を全く果たしていない上に、憲法第二十一条で保障されている国民の知る権利を不当に侵害することとなり、日本国憲法の下で成熟した民主主義国家としては極めて大きな問題であると考える。国会に対する説明責任を果たすべく、今後、閣僚や官僚における国会答弁において「お答えする立場にない。」「お答えすることは差し控えたい。」など、合理的な理由もなく説明を拒否する言葉の多用を自粛すべきと考えるが如何か。政府の所見を伺いたい。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.