質問本文情報
令和三年六月十一日提出質問第二〇九号
温室効果ガス削減目標四十六%の根拠に関する質問主意書
提出者 浅野 哲
温室効果ガス削減目標四十六%の根拠に関する質問主意書
四月二十二日に開催された米国主催気候サミットにおいて、菅総理大臣は二〇五〇年カーボンニュートラルの長期目標と整合的で、野心的な目標として、我が国が、二〇三〇年度において、温室効果ガスの二〇一三年度からの四十六%削減を目指すことを宣言した。
二〇一五年に我が国が提出したNDC(国が決定する貢献)の約束草案においては、二〇三〇年度に温室効果ガス排出量を二〇一三年度比二十六%削減すると記載されているが、この二十六%削減という水準は、現行のエネルギーミックスと整合的に、技術的制約、コスト面の課題等を十分に考慮した裏付けのある数字として示されている。
これまでの委員会質疑に対する答弁では、今回の四十六%という新たな目標について、総合エネルギー調査会、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合等の議論を踏まえ、四月二十二日の地球温暖化対策推進本部にて総理より表明されたとのことであるが、なぜ四十六%になったのか、具体的な積み上げ根拠が示されていない。
産業界では、その実現可能性について懸念や不安、あるいは産業変革への期待が入り交じった感情があるものと理解している。これら産業界の不安を払拭するために、以下質問する。
一 NDCでは、二十六%という温室効果ガス排出量の削減目標について、いずれも二〇一三年度比で、我が国の温室効果ガス排出量の九割を占めるエネルギー起源二酸化炭素を▲二十五%、非エネルギー起源二酸化炭素を▲六・七%、メタンを▲十二・三%、一酸化二窒素を▲六・一%、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等4ガスの排出量を▲二十五・一%の水準とすることとし、それぞれの目標の積み上げの基礎となった対策・施策が示されている。
今回、目標が四十六%となったことで、これらの目標数値については見直しされるものと承知しているが、現在までの検討の経過について伺う。
二 NDCの削減目標積み上げに用いられているエネルギーミックスは、二〇三〇年度に再生可能エネルギー二十二から二十四%程度、原子力二十から二十二%程度、石炭二十六%程度、LNG(液化天然ガス)二十七%程度、石油三%程度とされている。
四十六%の目標達成に向けたエネルギーミックスでは、石炭火力発電や原子力発電については増やしていくのか、政府の考えを伺う。
なお、本質問は、JCI(気候変動イニシアティブ)の事務局団体であるWWFジャパンは、政府の四十六%という野心的な目標を評価しているが、その達成に向けては、次の具体策の策定が必要であると提言していることを踏まえたものである。
・石炭火力を二〇三〇年までに全廃止すること
・既設ガス火力の稼働率を六十から七十%程度にあげること(ガス火力発電所の新設なし)
・自然エネルギー(風力・太陽光)の電力比率を約五十%に引き上げること
・省エネルギーにより最終エネルギー需要を二十一・五%減(二〇一五年比)
・原発は稼働三十年で廃止、稼働中及び再稼働が見込まれている原発のみ想定し、二〇三〇年には約二%、二〇四〇年までに全廃
WWFジャパンは、このエネルギーミックスの実現で、エネルギー起源二酸化炭素排出量は二〇三〇年に二〇一三年比四十九%の削減が可能としている。
三 四十六%に積み上げの不足分があれば、それは政府の野心的な政策目標と推測するが、不足分は四十六%のうち何%になるのか。また、その値はどのように決まったのか。
右質問する。