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令和三年十二月十六日提出
質問第二三号

超高齢社会における金融サービスのあり方に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




超高齢社会における金融サービスのあり方に関する質問主意書


 我が国においては、いわゆる団塊の世代が七十五歳を迎える年が二〇二五年とされる。また、団塊の世代のジュニアが六十代となるのが、二〇三〇年頃と言われている。人生百年時代という言葉が盛んに使われ、退職後の人生が長くなったことなどにより、「資産寿命が生命寿命に届かないリスク」が指摘され、政府もこの間、「貯蓄から投資へ」と誘導している。
 そのような中、高齢者による金融商品取引に関連するトラブルが数多く発生しているところである。独立行政法人国民生活センターが発行している「消費生活年報二〇二一年」によると、「金融・保険サービス」に関する相談件数は、七十代で、一万四千八百九十二件である。五十代、六十代の相談件数が約八千件であるのに対し、約二倍の相談件数になっている。金融業の業態ごとに金融ADR(指定紛争解決機関)による相談窓口があるが、そちらへの相談も約半数が七十歳以上によるものになっている。我が国の家計金融資産の約三分の二を六十歳以上の世帯が保有していることから、金融機関からの高齢者へのアプローチが増えることは容易に予測される。さらに、単身の高齢者世帯の増加により、家族等の相談相手がないまま金融商品取引を行うケースも増加することから、高齢者の金融商品取引によるトラブルが増加することを未然に防ぐ対策が一層必要になると考え、以下、質問する。

一 超高齢社会における、高齢者の金融商品取引に関するトラブルの現状について、その主な内容、件数、問題点等、政府は把握しているか。
二 高齢者の中には今なお銀行に対する信頼度は非常に高いものがある。銀行窓口販売による金融商品を、保険商品や、証券、投資信託等ではなく、預金の預けなおしと思っていたなど、真のリスクを知らないままで金融商品を購入し、老後の資金を失うことになっている例もある。金融商品販売における適合性原則(顧客の知識、経験、財産の状況及び取引目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないように業務の運営を行うようもとめるもの)に反する可能性のある取引があることも事実である。
 金融庁の、「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 顧客本位の業務運営の進展に向けて」(令和二年八月五日)では、「不適切な販売事例に対する監督上の対応の強化」として、「誠実公正義務・適合性原則に反する可能性のある行為」や、「適合性原則の内容の明確化」が挙げられ、「履行を確保するための態勢整備については、経営陣主導のもと、内部管理部門において検証を行うとともに、それを踏まえた態勢の見直しを行うなど、その実効性を確保することが求められる旨も監督指針で明確化することが適当と考えられる」としている。この監督指針の強化のみにおいて、金融商品取引における適合性の原則が順守され、トラブルが減少すると考えるか、政府の見解如何。
三 金融ADRによる紛争解決による場合も、顧客側が金融機関側の過失を示す証拠などを示さなければならず、審査対象となるにもハードルが高いと考えられる。トラブルを回避するためにも、説明時、契約時においては、第三者を入れる、録音での記録など、顧客と販売に携わる金融事業者だけでの契約とならないよう、一層丁寧な措置が求められると考えるが、政府の見解如何。
四 高齢者など金融投資について十分な知識と経験と判断能力を持ち合わせていない可能性が高い顧客に対して、投資取引の勧誘における虚偽説明や過当取引(無意味な反復販売や乗換売買など)については、立証責任を顧客側から販売事業者に転嫁させることで、被害者救済の可能性を広げることを検討することを提案するが、政府の見解如何。

 右質問する。

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