答弁本文情報
令和三年十二月二十八日受領答弁第二三号
内閣衆質二〇七第二三号
令和三年十二月二十八日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員櫻井周君提出超高齢社会における金融サービスのあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員櫻井周君提出超高齢社会における金融サービスのあり方に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「高齢者の金融商品取引に関するトラブルの現状」については、例えば、金融業態ごとの指定紛争解決機関の一つである全国銀行協会によると、令和二年度に終結した百六十件の紛争解決手続のうち、高齢者(七十歳以上の者をいう。)の金融商品取引に関するものは、六十一件で全体の四割程度となっており、その主な内容は、リスク等の説明を十分に受けないで購入した金融商品に損失が生じたことによるものである。また、他の指定紛争解決機関についても、おおむね同様の傾向にあると認識している。
二について
金融庁においては、御指摘の報告書における提言を踏まえ、金融商品の適正な販売・勧誘の履行を確保するため、令和三年一月十五日に、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」及び「保険会社向けの総合的な監督指針」(以下これらを併せて「監督指針」という。)を改正した。同庁としては、法令及び監督指針に基づき、金融商品の取引における適合性の原則の遵守や誠実公正義務の履行が確保されるよう、金融機関に対し、モニタリングを実施しているところである。
三について
日本証券業協会の自主規制規則等や生命保険協会のガイドラインにおいて、各協会の協会員に対し、高齢顧客への販売・勧誘においては、勧誘の都度、必要に応じて親族、営業責任者等の同席を要すること、勧誘の内容について記録・保存すること等を求めている。監督指針においても、金融機関に対し、同様の措置について社内規則の整備やその遵守を求めているところである。
四について
御指摘の「虚偽説明」に係るお尋ねについては、金融サービスの提供に関する法律(平成十二年法律第百一号)において、金融商品販売業者等は、顧客の知識、経験等を踏まえて適切に説明すべきこととされ、虚偽の説明をするなどこれに違反した場合、その故意過失を問題にすることなく、顧客に対して損害を賠償する責任を負うこととされており、対応がなされていると考えている。また、御指摘の「過当取引」に係るお尋ねについては、その意味するところが必ずしも明らかではないが、取引が不適切なものか否かは個別に判断されるものであり、立証責任の在り方については慎重な検討が必要であると考えている。