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令和三年十二月十六日提出
質問第三四号

戦没者等の遺族に対する特別弔慰金に関する質問主意書

提出者  松原 仁




戦没者等の遺族に対する特別弔慰金に関する質問主意書


 令和二年四月一日を基準日とする戦没者等の遺族に対する特別弔慰金(第十一回特別弔慰金)が、請求から支給まで総じて一年以上要しており、一部の遺族から「意図的に遅らせて高齢の私たちが死ぬのを待っているのでは」との疑問の声さえ上がっている。例えば北海道札幌市在住の戦没者遺児の男性は、新聞で特別弔慰金の存在を知り、戸籍抄本を取り寄せたうえで、令和二年十一月六日に札幌市役所で請求を行った。書類に不備はなく、当日受理されている。その後音沙汰がないので、半年以上経過した本年夏に亡父の本籍地である愛知県に問い合わせたところ、「まだまだ時間がかかる」と告げられた。さらに本年十一月に再度愛知県に電話したところ、「まだ時間がかかる。来年になる」と告げられた。受給資格は戸籍で一目瞭然であるため、男性は一年以上も待たされることに呆れ返り、行政への強い不信感を募らせている。「今日の日本の平和と繁栄の礎となった戦没者等の尊い犠牲に思いをいたし、国として改めて弔慰の意を表す」という特別弔慰金の目的は、異常ともいえる遅延のため遺族に伝わっていない。
 このような遅延は、戦後日本でたいへんな苦労をされてきた戦没者遺児に対して礼を欠いている。多くの遺児は、経済的に窮した母子家庭で育った。進学を諦めざるを得なかった遺児は少なくない。さらに就職や結婚において、不当な差別のため多くの困難に直面している。
 戦没者の遺骨収集は長い間不十分なものだった。前述の札幌市の男性は、亡父も、また同じく戦死した叔父の遺骨も戻ってきていない。
 そして、遺児にとって靖国神社は亡父を祀った心の拠り所であるが、近隣諸国による不当な内政干渉のあと、内閣総理大臣が公式参拝を見送るようになった。亡父や遺族が国家の安寧のために払った多大の犠牲を否定されたように感じ、心に大きな傷を負った遺児は少なくない。
 諸外国で戦没者遺児は、国家のために一命を捧げた英雄の遺児として扱われ、給付型奨学金などの制度が用意されているが、我が国では大きく事情が異なった。
 右の点をふまえて、以下質問する。

一 特別弔慰金の支給まで総じて一年以上かかっている理由を明らかにされたい。
二 戦後七十周年の特別弔慰金(第十回特別弔慰金)に関して「特別弔慰金請求書を提出して一年近く経過したが、何も連絡がない」等の苦情が多数寄せられたことから、総務省行政評価局長から厚生労働省社会・援護局長に対して平成二十九年一月十三日、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえた支給手続の改善に関するあっせんが行われた(総評相第一号)。あっせんにも関わらず、迅速処理につながる改善が行われなかった理由を明らかにされたい。
三 特別弔慰金の支給を正常化するため、政府は対策を講じるか。講じるとするなら、どのような対策を講じるか。
四 戦没者遺族への援護に関する政府の基本方針を明らかにされたい。

 右質問する。

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