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令和四年十月四日提出
質問第一号

「第七波」収束後の新型コロナウイルス感染症対策に関する質問主意書

提出者  原口一博




「第七波」収束後の新型コロナウイルス感染症対策に関する質問主意書


 本年七月からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大(以下「第七波」という。)がようやく収束した。第七波においては、一日の感染者数及び死亡者数がこれまで最も多かった本年一月から六月までの新型コロナウイルス感染症の感染拡大(以下「第六波」という。)における一日の感染者数及び死亡者数を超えて過去最高を記録し、総務省消防庁によれば、救急搬送困難事案も過去最高の件数を記録したとされる。
 この第七波における医療機関や保健所の業務ひっ迫の状況等を踏まえ、政府は、感染症法上の新型コロナウイルス感染症患者に関する医師による届出義務の在り方を見直し、感染症法上の新型コロナウイルス感染症の位置付けを含む新型コロナウイルス感染症対策の全般について、第七波収束後に見直しに着手すると承知している。
 また、政府は、本年九月二日の新型コロナウイルス感染症対策本部において、「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策」を決定し、更に内容等の詳細を検討し、法律案を順次国会に提出するものと承知している。
 以上の状況を前提に、日本国内初の新型コロナウイルス感染症の感染者確認から約二年以上を経て、今後も新型コロナウイルス感染症の感染拡大が生ずることが予測される現状において、これまでの新型コロナウイルス感染症対策への政府の評価と今後の新型コロナウイルス感染症対策の在り方に係る岸田内閣の認識についてお伺いしたい。

一 新型コロナウイルス感染症の国内流行の初期に当たる令和二年二月二十七日、当時の安倍内閣総理大臣は、全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等に対して臨時休業を行うよう要請(以下「全国一斉休校要請」という。)した。しかし、その後の全国一斉休校要請時を上回る感染拡大の際に同様の措置は採られなかった。安倍内閣が実施した令和二年の全国一斉休校要請は、我が国における新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に効果があったと岸田内閣は評価しているのか、お伺いする。
二 第七波においては、全国一斉休校要請が行われた令和二年当時と比較してはるかに多くの学校、保育所等でのクラスターが発生している。第七波において、全国一斉休校要請と同様の措置が実施されなかった理由について、お伺いする。また、今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大において全国一斉休校要請と同様の措置は行われないという理解で良いか。
三 第六波においてはまん延防止等重点措置が実施されたが、第七波においては「新たな行動制限を行うのではなく社会経済活動をできる限り維持」するという政府の方針のもと、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置は行われなかった。過去、都道府県知事が要請しないと表明していたにもかかわらず、まん延防止等重点措置の重点措置区域に追加された例もあったと承知しており、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が行われるに当たって、都道府県からの要請が必要不可欠ではないと理解している。第七波では一日の感染者数及び死亡者数が過去最多となり、多くの都道府県において医療提供体制が危機的な状況に陥った。仮に都道府県からの要請がなかったとしても、緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置を行うべきであったのではないか。なぜ、過去の感染拡大と異なり、第七波では緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置が行われなかったのか。その理由について、お伺いする。
四 第七波の最中である本年七月二十八日に自宅療養中の末期がんの高齢患者が新型コロナウイルスに感染し、訪問診療を行う医師が救急搬送を依頼したところ、搬送先が見つからず、やむを得ず自宅療養継続とせざるを得ず、翌日患者が亡くなるという事例があった。この事例は、東京消防庁管轄のものであった。東京消防庁の「救急活動の現況令和二年(二○二○年)」では、「出場件数のうち十三・六%が不搬送であり、その内「搬送辞退・拒否」が六十五・三%を占めています。」とされている。この事例は、東京消防庁の「救急活動統計」の「不搬送件数」において「搬送辞退・拒否」と扱われるという理解で良いか。また、総務省消防庁が公表している「各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査」は、「これらのうち、医療機関への搬送ができなかった事案はない。」としている。医療機関がひっ迫して空き病床がなく、救急搬送ができなかったために医師や保健所がやむを得ず救急搬送を断念した事例と症状が軽い等で本人や家族が救急搬送を辞退した事例とを同じ「搬送辞退・拒否」として分類されたのでは、受入先がないことにより、救急搬送ができなかった事例がどの程度生じているのかの解釈に誤りを生じるように思える。救急搬送の依頼の対象となった患者について受入先が無いために不搬送となったことが読み取れる統計の区分を設けるべきと考えるが、政府の見解をお伺いする。
五 昨年の「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」(令和三年十一月十二日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)では、「感染力が二倍となった場合にも対応できるよう」「今夏と比べて約三割増(約一万人増)の約三・七万人が入院できる体制を十一月末までに構築」としていたが、第六波では医療提供体制はひっ迫した。さらに、第七波では、医療従事者等に感染者や濃厚接触者が多く発生したために新型コロナウイルス感染症対応病床は空いているものの医療ができない状態が数多く発生し、確保病床使用率が実態を反映していないとの指摘もあった。また、コロナ医療提供体制のひっ迫による一般医療や救急医療へのしわ寄せも過去最大で、一般医療や救急医療もひっ迫した。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同様とし、全ての医療機関で対応すべきとの指摘(いわゆる「二類五類問題」)もあるが、仮に新型コロナウイルス感染症を「五類相当」としてもコロナ対応に手を挙げる医療機関は少なく、季節性インフルエンザと同様にはならないとの意見も見られる。いずれにしても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大において医療ひっ迫を防止するには、大幅な医療提供体制の拡充が必要ではないかと考える。政府は、「Withコロナに向けた政策の考え方」(令和四年九月八日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)において、「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の措置について、高齢者・重症化リスクのある者への保健医療の重点化と患者の療養期間の見直しを行うなど、新型コロナウイルス対策の新たな段階に移行する。」「保健医療体制の構築については、約五万の病床・ベッド数の全面的稼働、発熱外来の拡充(約四万か所)といった対応能力の大幅な拡充、入院対象者の適切な調整等に取り組む」としている。この取組の実施により、第七波の何倍の感染者数や入院患者数に対応できることを見込んでいるのか、お伺いする。
六 本年三月二十八日に国立感染症研究所が新型コロナウイルス(SARS−CoV−2)の感染経路として、いわゆるエアロゾル感染があることを表明した。また、厚生労働省は、熱中症予防等のため、屋外では一定の場合にマスクを着用する必要がないとの情報提供を行っている。インターネット上において、これらの情報を「曲解」して、「マスクはエアロゾル感染を防ぐことができない」「(屋内外を問わず)マスク着用は不要である」とする意見がある。政府として、国立感染症研究所がいう「エアロゾル感染」は、不織布マスクを着用した場合でも全く防ぐことができないと考えているのか。また、防ぐことができるのであれば、どの程度防ぐことができるのか、お伺いする。
七 本年七月三十日に米国バイデン大統領が新型コロナウイルスの検査で再び陽性になったとホワイトハウスが明らかにしたこと、主治医は新型コロナの重症化を防ぐための飲み薬「パクスロビド」を服用すると、まれに再び陽性になるケースがあると説明したことが報道されている。我が国でも薬事承認されている抗ウイルス薬「ニルマトレルビル・リトナビル」には、報道にあるような再陽性となるケースがあることについて、政府は承知しているか。また、再陽性となる理由について、承知しているか、お伺いする。
八 本年六月二十一日に「新型インフルエンザなど過去の感染症の教訓を踏まえ、新型コロナが国内で感染拡大する七年前の二○一三年からHER−SYSとは別のシステムの開発を進めて」いたと報道されている。そのシステムの名前は、「症例情報迅速集積システム=FFHS」であり、「このシステムではどの情報が必要かについて自治体などと議論を重ね、患者の年齢、性別や発症日、症状など最小限の十八項目に絞って」おり、「情報は各自治体がリアルタイムで閲覧でき、情報共有に必要な業務の負担を減らすことが期待されていた」「研究班では、二〇一三年からこのシステムを実際に運用してパンデミックの発生を想定した演習を、毎年、複数の自治体と行ってきた」と報道されている。この「症例情報迅速集積システム」(以下「FFHS」という。)について、報道では「国の研究班」が開発していたとするが、FFHSの開発者を政府は承知しているか。また、FFHSを用いて二〇一三年からパンデミックの発生を想定した演習を毎年、複数の自治体と行ってきたと報道されているが、この演習について、政府は承知しているか。

 右質問する。

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