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令和四年十月十一日提出
質問第七号

円安対応に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




円安対応に関する質問主意書


 日本政府と日本銀行による異次元の金融緩和が円安の進行の一因となっている。そして、円安の進行に伴って物価高が進んでいる。消費者物価指数は前年同月比で三・〇%の上昇(二〇二二年八月)で欧米諸国に比べて低い水準であるものの、国内企業物価指数は前年同月比で九・〇%の上昇(二〇二二年八月)と欧米諸国並みの高い水準となっている。また、輸入物価指数は、前年同月比で四十二・五%の上昇(二〇二二年八月)であり、この上昇のうち二十・八%は円安によるものである。すなわち、円安が輸入物価の上昇を引き起こし、更に企業物価を引き上げているところ、消費者物価も更に上昇する可能性があると考えられる。
 こうした現状を踏まえて物価高と円安への対応について、岸田文雄総理大臣は、第二百十回臨時国会における所信表明演説において「家計・企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない、思い切った対策を講じます」「円安のメリットを活かした経済構造の強靭化を進めます。半導体や蓄電池の工場立地、企業の国内回帰や、農林水産物の輸出拡大などに取り組みます。」と述べた。しかし、これらの政策で国民生活を守ることができるのか、国民の暮らしを豊かにできるのか、疑問があるところ、以下、質問する。

一 円安による物価高に対して、政府は燃料油価格激変緩和補助金などを給付することで家計・企業の負担を緩和しようとしている。円安が進むことでエネルギー等価格が上昇すれば補助金の給付額が増加することとなり、財政赤字の増加要因となる。赤字国債の増額は金融緩和につながり、更なる円安を招来することにつながる。すなわち、円安が円安対策補助金の増額につながり、円安対策補助金の増額が財政赤字の増額につながり、財政赤字の増額が赤字国債の増額につながり、赤字国債の増額が円安の進行につながるという、悪循環が生じる懸念があるが、政府の見解如何。
二 岸田総理は、円安のメリットを活かすと主張するが、日本商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果(二〇二二年四月)によれば、円安進行が業績に与える影響について、「メリットの方が大きい」と回答した企業は一・二%に対し、「デメリットの方が大きい」企業が五十三・三%となった。また、日本商工会議所の三村明夫会頭は定例記者会見(二〇二二年五月十二日)で、足元の円安基調が続けば中小企業にとって「大きな経営上の問題になる」との認識を示し、円安と資源価格の高騰が「中小企業に悪い影響を与えている」と主張した。円安は、今の日本経済にとってメリットよりもデメリットがはるかに大きいことから、円安のメリットを活かす政策よりもこれ以上の円安をくい止める政策を採用することを提案するが、政府の見解如何。
三 異次元の金融緩和の継続が円安要因となっていることを踏まえれば、金融政策に更なる柔軟性を持たせることを提案する。具体的には、日本銀行が採用するイールドカーブ・コントロール(YCC)の幅をもう少し大きくすることを提案するが、政府の見解如何。
四 岸田総理は円安のメリットを活かすと主張するが、円安のメリットを活かして輸出拡大を実現できれば円高要因となる。円高に転じれば、もはや円安のメリットは失われる。そうすると、円安のメリットを活かす政策は、仮に成功したとしても一時的なものに終わってしまい、中長期的な政策としての効果は期待できないと考えるが、政府の見解如何。
五 円安は国際比較において日本の賃金が安くなることを意味する。我が国の労働者の賃金が国際比較において低下することは、我が国にとってよいことなのか。政府の見解如何。
六 アジア通貨危機に直面した国では、自国通貨の下落で国が破綻する危機に直面した。アジア諸国が経験した自国通貨の下落の恐ろしさを踏まえれば、自国通貨の貨幣価値を低下させることは国益にはならないと考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。

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