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令和四年十月十八日提出
質問第一二号

物価安定目標二%に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




物価安定目標二%に関する質問主意書


 政府・日本銀行の共同声明として平成二十五年一月二十二日付で公表された「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」においては、「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%」としている。また、日本銀行は、「持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていく」と認識している。
 現状は、消費者物価指数は前年同月比で三・〇%の上昇(二〇二二年八月)で欧米諸国に比べて低い水準であるものの、物価安定の目標の二%を二〇二二年四月から五ケ月連続で上回っている。また、国内企業物価指数は前年同月比で九・〇%の上昇(二〇二二年八月)と欧米諸国並みの高い水準となっている。こうした現状は、政府・日本銀行の共同声明が公表された十年前とは大きく異なる。
 一方で、日本銀行の黒田東彦総裁は、令和四年十月十七日の衆議院予算委員会において、「エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、本年末にかけて上昇率を高める可能性が高いというふうに考えております。その背景といたしましては、主として国際商品市況や為替円安の影響によって輸入品価格が上昇していることが影響しております。年明け以降は、こうした海外からのコストプッシュ要因の押し上げ寄与が減衰することで、物価上昇率のプラス幅は縮小していくため、来年度以降の消費者物価は二%を下回る水準まで低下していくと予想しております。」と答弁し、現在の消費者物価の上昇は一時的なものとの認識を示した。また、日本銀行の黒田東彦総裁は、「経済を支え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現することが必要であり、金融緩和を継続することは適当」であるとの認識を示した。
 しかし、現在の円安と物価上昇は企業経営にマイナスの影響があるとの調査結果(日本商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果(二〇二二年四月))があるところ、以下、質問する。なお、質問中の物価上昇率については、前年同月比とする。

一 消費者物価指数の前年同月比での上昇率は二〇二二年四月から五ケ月連続で二%を超えているところ、政府・日本銀行の共同声明の物価安定の目標である「消費者物価の前年比上昇率で二%」は達成できたと考えられるが、政府の認識如何。
二 海外からのコストプッシュ要因を示す輸入物価指数は令和三年五月以降二十%を超える上昇率(前年同月比)であり、さらに令和四年四月以降四十%を超える上昇率(前年同月比)である。輸入物価指数の内訳として、契約通貨ベースでは令和三年五月から二十%を超える上昇率が続いており、円安要因による上昇率は令和四年六月以降二十%を超えている。輸入物価の上昇は昨年から続いており、さらに円安傾向は今なお続いていることを踏まえれば、日本銀行の黒田東彦総裁の答弁にある「来年度以降の消費者物価は二%を下回る水準まで低下していくと予想」は、楽観的過ぎると考えるが、政府の見解如何。
三 欧米諸国の生産者物価指数と消費者物価指数を比較すると、二〜三ケ月の遅れがあるものの消費者物価指数は生産者物価指数の上昇に追随する傾向がみられるが、これは生産者が生産コストの上昇を価格転嫁する結果と考えられる。一方で、我が国の企業物価指数の上昇率は約九%となっており、消費者物価指数の上昇率の約三%の約三倍と大きく上回り、企業物価指数と消費者物価指数の上昇率が大きく乖離している現状は、「整合的な物価上昇」ではないと考えるが、政府の見解如何。
四 我が国においては、現状は企業物価指数の上昇が消費者物価の上昇を大きく上回っているものの、徐々に生産者から消費者への価格転嫁が進むと考えられる。過去の企業物価の上昇で消費者への価格転嫁が遅れている積み残し部分を含めて価格転嫁が進むとすると、消費者物価の上昇傾向は長く続くと考えられ、日本銀行の黒田東彦総裁の答弁にある「来年度以降の消費者物価は二%を下回る水準まで低下していくと予想」は、楽観的過ぎると考えるが、政府の見解如何。
五 企業物価の上昇分を生産者から消費者への価格転嫁が進まなかった場合には、生産者が生産コストの増額分を負担することとなり、企業の収益が圧迫されることとなる。企業収益の悪化は、賃金の引き下げ要因となり、賃金上昇が難しくなると考えられる。日本銀行の黒田東彦総裁は、「賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現することが必要」と答弁しているが、現下の物価上昇は賃金の引き下げにつながるリスクがあると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。

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