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令和四年十月十九日提出
質問第一四号

旧統一教会等による霊感商法や過大な寄附に関する質問主意書

提出者  前川清成




旧統一教会等による霊感商法や過大な寄附に関する質問主意書


 「旧統一教会」(現在は世界平和統一家庭連合)に関しては、その霊感商法や過大な献金が社会問題化しており、被害救済を求める裁判も多数提訴されている。
 しかし、被害実態に即して実定法が整備されておらず、不当な商法や過大な寄附を制限する民事法が存在しなければ、たとえ被害者たちが被害救済を求めて提訴したとしても、救済されない。
 よって、以下のとおり質問する。

一 寄附者自らが返還を請求するケース
 1 ある信者(以下、Aという)が、ある宗教団体(以下、Bという)によるマインドコントロール下において、Bに対して、Aの収入や資産に比して過大な寄附をした場合、現行民法や消費者契約法に基づき、AはBに対して、その寄附を取り戻すことはできるか。
  現行法においても、AがBから過大な寄附を取り戻すことができるのであれば、その根拠条文と法律構成を回答されたい。
 2 1記載の事例において、Aは、民法第九十六条第一項に基づきBの「詐欺」を理由に取り消し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。また、Aをマインドコントロール下に置いたのは、Bの信者であるCの行為に基づく場合、Aは、民法第九十六条第二項の「詐欺」として取り消し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。
 3 1記載の事例において、Aは、民法第九十六条第一項に基づきBの「強迫」を理由に取り消し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。また、Aをマインドコントロール下に置いたのは、Bの信者であるCの行為に基づく場合、Aは、民法第九十六条第一項の「強迫」として取り消し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。
 4 1記載の事例において、Aは、民法第九十五条第一項にいう「錯誤」として取り消し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。また、Aをマインドコントロール下に置いたのは、Bの信者であるCの行為に基づく場合、Aは、民法第九十五条第一項の「錯誤」として取り消し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。
 5 1記載の事例において、Aは、消費者契約法第四条第三項第六号に基づいて取り消し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。また、Aをマインドコントロール下に置いたのは、Bの信者であるCの行為に基づく場合、Aは、消費者契約法第四条第三項第六号に基づいて取り消し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。
 6 1記載の事例において、Aは、民法第九十条に基づき、その無効を主張し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。また、Aをマインドコントロール下に置いたのは、Bの信者であるCの行為に基づく場合、Aは、民法第九十条に基づいてその無効を主張し、Bから寄附を取り戻すことが可能か。
 7 民法第九十条に関して、債権法改正時の「中間試案」では「相手方の困窮、経験の不足、知識の不足その他の相手方が法律行為をするかどうかを合理的に判断することができない事情があることを利用して、著しく過大な利益を得、又は相手方に著しく過大な不利益を与える法律行為は、無効とする。」と提案されており、この中間試案が採用されていたならば、1の事例もカバーされ、Aは救済されたのではないか。
  この「中間試案」が採用されていたならば、旧統一教会などの霊感商法や過大な献金に対応できたにもかかわらず、上記中間試案を採用しなかったのは何故か。誰(個人名ではなく、例えば日本弁護士連合会などの業界団体名等)から、どのような反対意見があったのか。そして、政府は何故その反対意見に従ったのか。
 8 2ないし6に挙げた民法第九十条、同法第九十五条、同法第九十六条、消費者契約法第四条第三項第六号のほかに、Aが、Bによるマインドコントロール下において、Bに対して、Aの収入や資産に比して過大な寄附をした場合、その寄附を取り戻すことができる根拠条文はあるか。
二 寄附者自らは返還を請求しないケース
 一の各事例は、Aがマインドコントロールから解放された後に、Bに対して自ら過大な寄附の返還を請求するケースであるが、一方では、Aがマインドコントロールから解放されず、よって、A自らは過大な寄附の返還を請求しないものの、Aの過大な寄附によって、Aの配偶者や子らの生活が困窮する場合、Aに代わって、Aの配偶者や子がその寄附を取り消し、あるいは無効を主張して、Bに対して過大な寄附の返還を請求することができるか。できるのであれば、その根拠条文と法律構成を回答されたい。
三 寄附者の財産管理権の制限
 1 Bによるマインドコントロール下にあって、Bに対して、その収入や資産に比して過大な寄附を行い、本人やその家族を困窮させるAについて、その財産管理権を制限することは可能か。
 2 1の事例において、民法第七条に基づき、Aにつき成年後見開始の審判をすることが可能か。あるいは民法第十一条に基づき、Aにつき保佐開始の審判をすることが可能か。あるいは民法第十五条に基づき、Aにつき補助開始の審判をすることが可能か。
 3 1の事例について、現行法においては、Aがマインドコントロールから解放されない限り、Aや、その配偶者、子を保護することは不可能か。
 4 平成十一年改正において、準禁治産制度が廃止され、「浪費」が宣告事由から除かれたのは何故か。
 5 平成十一年改正前は、Aが、Bによるマインドコントロール下において、Bに対して、その収入や資産に比して過大な寄附を行い、Aの配偶者や子の生活が困窮した場合、Aに対して「浪費」を理由に準禁治産宣告を求め、Aの財産を保全するケースがあった。ところが、4のとおり「浪費」が宣告事由から除かれたので、これが不可能になった。ついては、過大な寄附を「浪費」として認定し、Aや、その配偶者、子を保護するため、成年後見、保佐あるいは補助の開始事由として「浪費」を追加するべきではないか。
  または、マインドコントロールの下で過大な寄附などを行い、その結果、本人の財産に著しい損害が発生することを、成年後見、保佐あるいは補助の開始事由として追加するべきではないか。

 右質問する。

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