衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和四年十月十九日提出
質問第一六号

司法試験予備試験に関する質問主意書

提出者  前川清成




司法試験予備試験に関する質問主意書


 司法制度改革において、法科大学院が設置され、法科大学院を修了することが司法試験の受験資格とされたが(司法試験法第四条第一項第一号)、法科大学院の高額な学費を負担することができない者に対しても司法試験の受験機会を奪ってはならず、よって、司法試験予備試験(以下、予備試験という)が設けられた。
 そして司法試験法第五条第一項は、予備試験につき、法科大学院修了者と「同等」の学識、応用能力、基礎的素養(以下、学力等という)の有無を判定する試験であると定めているものの、令和四年度においても、予備試験合格者の司法試験最終合格率は九十七・五三パーセントにも達するにもかかわらず、法科大学院修了者の司法試験最終合格率は三十七・六五パーセントに過ぎない。もし予備試験が法科大学院修了者と「同等」の学力等を判定する試験として運用されているのなら、予備試験合格者と法科大学院修了者の司法試験最終合格率も「同等」のはずである。予備試験合格者の司法試験最終合格率が法科大学院修了者の司法試験最終合格率に比して著しく高いことは令和四年度に限られたことではない。新司法試験がスタートして以来、一貫して、予備試験合格者の司法試験最終合格率は、法科大学院修了者の司法試験最終合格率に比して遙かに高い。したがって、令和四年度においても、それ以前においても、予備試験は法科大学院修了者と「同等」の学力等を判定する試験として運用されておらず、結果として経済的に困難な状況に置かれた法曹志願者に対して「狭き門」を強いており、極めて不公正、不公平である。
 よって、以下のとおり質問する。

一 司法試験委員会及び予備試験考査委員は、予備試験の運用について、上記のとおり司法試験法に違反しているのは何故か。司法試験委員会委員や予備試験考査委員のうち多くが法科大学院を設置する大学の関係者であるために、法科大学院の存続のために予備試験の合格水準を引き上げているからではないか。
二 司法試験委員会が長年司法試験法に違反しているにもかかわらず、政府は何故放置したままか。政府は、司法試験委員会に対して、司法試験法違反の責任を問うべきではないか。
三 予備試験合格者の司法試験最終合格率が、法科大学院修了者の司法試験最終合格率に比して著しく高いことに関して、古川禎久法務大臣(当時)は、令和四年三月九日、衆議院法務委員会において「法科大学院修了資格者と予備試験合格資格者とで司法試験の合格率に大変な差があるというのは、これは事実でございます。」と述べた上で(ラインは質問者)、「法科大学院の修了者の司法試験の合格率を上げていくような努力、取組をするのが、それによって両者の合格率を均衡させるということを図ることが私は前向きな、生産的なアプローチだというふうに考えております。」と述べている。しかし、古川大臣の方針のとおり、法科大学院修了者の司法試験最終合格率が予備試験合格者の司法試験最終合格率に均衡する、すなわちほぼ百パーセントに引き上げられたなら、一方においては、司法試験はもはや「試験」とは言えなくなり、今以上に弁護士、裁判官、検察官の学力等の低下が避けられない。他方、令和四年度の法科大学院の入学定員は約二千二百名であり、予備試験合格者は令和四年は三百九十五名、令和三年は四百六十七名、令和二年は四百四十二名であるから、結局、司法試験最終合格者数は合計二千七百名程度に増加して、令和四年度の司法試験最終合格者数に比して倍増してしまう。よって、
 1 古川大臣のいう「法科大学院の修了者の司法試験の合格率を上げて、それによって予備試験合格者の合格率と均衡させる」のは政府の方針に相違ないのか、あるいは古川大臣個人の見解か。
 2 政府の方針であるならば、政府は司法試験最終合格者の大量増員を意図しているのか。
 3 司法試験最終合格者の大量増員を意図している場合、それによる「質」の低下にどう対応するか。
四 司法制度改革は「プロセスとしての法曹養成」を意図したものの、予備試験合格者の司法試験最終合格率と法科大学院修了者の司法試験最終合格率の大差に鑑みても、その破綻は明らかであり、法科大学院への「優遇」と法科大学院の「延命措置」を止めるべきではないのか。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.