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令和四年十一月二十二日提出質問第三一号
都市計画決定手続への住民参加と都市計画法第十六条第一項の公聴会開催に関する質問主意書
提出者 大河原まさこ
都市計画決定手続への住民参加と都市計画法第十六条第一項の公聴会開催に関する質問主意書
都市計画に対して住民自らが主体的に参画するためには、都市計画決定手続への住民参加の機会が確保されることが重要である。国土交通省「都市計画運用指針 第十二版」(令和四年四月一日一部改正)(以下、「運用指針」という。)は、「今後の都市計画決定手続においては、(中略)これまで以上に都市計画決定手続における住民参加の機会の拡大、都市計画に係る情報公開及び理由の開示等に意を用いていくべきである」(運用指針三百三十九頁)とする。
都市計画決定手続への住民参加では、都市計画の案を作成する段階から住民が主体的に参画することが極めて大切である。その重要な住民参加の機会として都市計画法(以下、「法」という。)第十六条第一項の定める「公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置」(以下、「公聴会の開催等の措置」という。)がある。
運用指針では、法第十六条第一項の公聴会の開催等の措置については、「これは、都市計画の案が作成された後の手続としての法第十七条の縦覧及び意見書の提出とは別に、都市計画の案の作成の段階でも住民の意見をできるだけ反映させようという趣旨である。特に、法第十六条第一項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨であることに留意する必要がある」と、その趣旨を説明している。そして、「都市計画への住民参加の要請がますます強まる中で、都市計画決定手続における住民参加の機会を更に拡大していく観点から、今後は、都市計画の名称の変更その他特に必要がないと認められる場合を除き、公聴会を開催するべきである」(運用指針三百三十九頁)とする。
ところで、法第十六条第二項は、住民に最も身近な都市計画である地区計画等(運用指針三百四十頁)について、「意見の提出方法その他の政令で定める事項について条例で定めるところにより、その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成するものとする」と定める。法第十六条第一項が「次項の規定による場合を除くほか」と定めていることから、地区計画等の都市計画決定手続において、同条第一項の公聴会の開催等の措置が講じられず、それによって住民の公開の場での意見陳述の機会が失われ、住民参加の機会が確保されないことが懸念される。
そこで、住民に最も身近な地区計画等の都市計画決定手続に関して、住民が主体的に参加することの重要性に鑑み、同条第一項の公聴会の開催等の措置と同条第二項の関係について、以下、質問する。
一 住民に最も身近な都市計画である地区計画等について、都道府県又は市町村(以下、「当該自治体」という。)が、必要があると認めるときは公聴会の開催等住民の意見を反映させるために法第十六条第一項の公聴会の開催等の措置を講じることは禁じられていないと考えるが、政府の見解は如何か。
二 法第十六条第一項が「次項の規定による場合を除くほか」と規定していることから、法第十六条第二項の条例の定める手続によって「その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者」(同項)のみならず、その地区計画等に影響を受ける住民が内容を十分に把握した上で公開の場での住民の意見陳述の機会が確保された場合には、公聴会の開催等の措置に代わるものが行われたとして、同条第一項の公聴会の開催等の措置を講じる必要はないと当該自治体が判断できるものと考えるが、政府の見解は如何か。
三 法第十六条第一項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、「住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨」と考えられる(運用指針三百三十九頁)。住民参加の機会を拡大する観点から、住民に最も身近な都市計画である地区計画等についても、住民の公開の場での意見陳述の機会が確保される必要があると考えるが、政府の見解は如何か。
また、法第十六条第二項の「その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者」だけではなく、その地区計画等に影響を受ける住民の意見陳述の機会を確保すべきであると考えるが、政府の見解は如何か。
四 運用指針は「都市計画への住民参加の要請がますます強まる中で、都市計画決定手続における住民参加の機会を更に拡大していく観点から、今後は、都市計画の名称の変更その他特に必要がないと認められる場合を除き、公聴会を開催するべきである。」(運用指針三百三十九頁)とする。住民に最も身近な都市計画である地区計画等についても、名称の変更その他特に必要がないと認められる場合を除き、公聴会を開催するべきであると考えるが、政府の見解は如何か。
右質問する。