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令和四年十一月二十四日提出
質問第三二号

昨今の梅毒の感染拡大に関する質問主意書

提出者  徳永久志




昨今の梅毒の感染拡大に関する質問主意書


 国立感染症研究所の「感染症週報二〇二二年第四十二週」(令和四年十一月七日発行)によると、梅毒について、「二〇二二年第一〜四十二週(二〇二二年一月三日〜十月二十三日、二〇二二年十月二十六日週報集計時点)に診断された症例報告数は一万百四十一例であり、感染症法が施行された一九九九年以来初めて一万例を上回った。これは感染症法施行以降、年間報告数が過去最多であった二〇二一年の同期間における報告数六千三十一例(二〇二一年十月二十七日週報集計時点)と比較しても、約一・七倍と高い水準であった」ことが示されている。
 この増加の背景として、SNSやマッチングアプリなどを通じて不特定多数の人と出会い、性行為に至ることが感染拡大の要因の一つとなっているとの指摘もある。しかしながら、SNS上では梅毒がどんな病気でどんな症状が出るのかを「あまり知らない」という声も少なくない。
 梅毒の症状は、通常、感染から「三週間後」「三カ月後」「三年後」の三期に分類される。感染から三週間後の第一期では、陰部・くちびる等の感染した部位に、小さなしこりや潰瘍ができ、股の付け根部分のリンパ節にも腫れが生じる。しかし、これらの症状は痛みや痒みが無く、放置しても二、三週間で消えてしまう。このような症状が出たとしても、いつのまにか治ったと勘違いし、あるいは感染に気付かないまま、性交渉を行うことで、感染拡大を引き起こしてしまうケースも否定できない。
 感染を自覚していないまま妊娠したり、妊娠中に感染した場合、胎児に梅毒トレポネーマが侵入し、先天的に病気を患ってしまう先天梅毒のケースもある。乳幼児期には問題がなくても、学童期になってから難聴や角膜炎などを起こすこともあり、長きにわたって子どもに影響を与えることになるため、妊娠前に感染の有無を調べておくべきことは推奨されるべきであろう。梅毒に感染した母体が無治療の場合、四十%は流産や死産となるという指摘もある。
 昨年、ベンジルペニシリンベンザチン筋肉注射薬(ステルイズ水性懸濁筋注射)が厚生労働省により承認され、一回の注射で梅毒が完治する治療法が日本でも実施できることになった。梅毒への感染が疑われる者が機会を得て検査を受けること、かかる最新の治療を行うことなどで、その感染拡大は防止できると思われる。現在、国立感染症研究所は感染者数が一万人を超えたと発表しているものの、そもそも感染したという自覚がないため、実際の感染者数はその数倍であると指摘する医師もいる。このような見えざる感染者の存在が感染拡大の主因であろう。また、梅毒に感染した初期は、梅毒トレポネーマが感染部位にとどまっているものの、感染に気付かずに放置すると血流に乗って全身へ移行し、神経や目といった部分にまで影響が出ることになる。「不安な行為があった人はもちろん、パートナーができたり、結婚や子どもを作るなど、人生の節目検診もお勧めしたい」と積極的な検査を呼びかける声もある。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 昨今の梅毒の感染拡大の要因となるものについて政府の見解如何。
二 一に関連して、梅毒の感染拡大は都市部で生じていると考えてよいか。
三 男性の方が感染者の比率が高い理由をどのように考えるのか。政府の見解如何。
四 梅毒の感染者における風俗業に従事する者の割合はどの程度か。直近の三年についての事例を示しつつ、政府の把握しているところを示されたい。また梅毒の感染者における風俗業に従事する者の割合と昨今の梅毒の感染拡大との因果関係を示されたい。
五 梅毒は感染を早期に把握することが肝要であると考えるが、現在、政府の行っていることは自治体の保健所などにおいて無料で検査できるなどの啓蒙活動に限定されるように思われる。現時点での梅毒の感染拡大防止に関する政府の取組みを具体的に示されたい。
六 梅毒の感染拡大を防止するためには、政府は簡単にセルフチェックできる自己検査キットの無料配布、もしくは、自治体における自己検査キットなどの無料配布事業への支援を行うことが必要だと思われるが、政府の見解如何。
七 梅毒の感染が疑われる者が医師による診察を受けやすい体制を整えることも重要であると思われるが、政府はどのようにすべきだと考えるのか。政府の見解如何。

 右質問する。

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