衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和四年十一月三十日提出
質問第三四号

ふるさと納税が地方財政を圧迫している問題に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




ふるさと納税が地方財政を圧迫している問題に関する質問主意書


 令和四年九月二十二日、総務省は「ふるさと納税制度の適正な運用について」と題した通知を地方自治体のふるさと納税担当部長宛に発送し、「ふるさと納税制度の適正な運用を行っていただくようお願いします。」と依頼している。具体的には、「寄附金募集のための宣伝広告や情報提供の方法について」や「経費総額五割以下基準について」、「返礼割合三割以下基準について」などが示されている。
 しかし、「ふるさと納税制度」は納税といいながら、住民税の納付先を居住自治体からそれ以外に変更するだけで返礼品等を受け取るものになっており、ふるさと納税制度と住民税の趣旨からかけ離れたものであり、さらには地方財政全般を圧迫することになっていることなど、根本的な問題を有すると考えるところ、以下質問する。

一 総務省のホームページにおいて、「ふるさと納税制度は、ふるさとや地方団体の様々な取組を応援する納税者の気持ちを橋渡しし、支え合う仕組みであるとともに、地方団体が自ら財源を確保し、様々な施策を実現するために有効な手段であり、我が国において人口減少が深刻化する中で、地域資源を最大限活用し、地域経済を再生させていく上で、重要な役割を果たす制度です。」と説明している。「ふるさとや地方団体の様々な取組を応援する」のであれば、ふるさと納税制度において返礼品等は不要と考えるが、政府の見解は如何に。
二 国税庁のホームページでは、税金の趣旨として、「国や都道府県、市区町村では、私たちが健康で文化的な生活を送るために、個人ではできない様々な仕事(公共サービス等)をしています。このような公共サービスや公共施設を提供するためには、多くの費用が必要になります。その費用をみんなで出し合って負担しているのが税金です。」と説明している。一方で、総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和四年度実施)」によれば、ふるさと納税の受入額が八千三百二億円、ふるさと納税の募集に要した費用が全国の合計で三千八百五十一億円となっており、受入額の四十六・四%になっている。本来地方税収として行政サービスに充てられるべき財源が特定の個人への返礼品等の経費に使われており、税金の趣旨とは異なると考えるが、政府の見解は如何に。
三 財務省のホームページにおいて、住民税について「住民税は、広く、その地域に住む人たちが、地域社会の費用を分担するもの」と説明している。ふるさと納税は、居住地とは異なる自治体に納税するものであり、住民税の趣旨を損なうものと考えるが、政府の見解は如何に。
四 主に都市部の自治体では、ふるさと納税制度で流出した税収の四分の三は地方交付税で措置されているため、地方自治体の財政への悪影響はある程度は配慮していると考えられる。しかし、地方交付税制度そのものの財源は慢性的に不足しており、臨時財政対策債の発行が続いている。ふるさと納税制度が、増加すればするほど地方交付税の財源が不足することになると考えるが、政府の見解は如何に。
五 総務省のホームページにおいて、「地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」(固有財源)という性格をもっています。」と説明している。地域間の税収格差は、地方交付税制度などによって調整させるべきもので、ふるさと納税のような制度を設ける必要はないと考えるが、政府の見解は如何に。
六 ふるさと納税において、所得が多ければ多いほど、控除される納税額も大きくなる。具体的には、配偶者と大学生と高校生の扶養家族三人をかかえる場合、年収が三百万円の場合には控除される納税額はゼロであるが、年収が二千万円の場合には五十三万六千円も納税が控除される。すなわち、ふるさと納税制度は、高所得者ほど追加的な負担がなく多額の返礼品等を受け取れる一方で、低所得者には恩恵がないところ、ふるさと納税制度は経済格差を拡大させるものであり税制として不適切と考えるが、政府の見解は如何に。
七 ふるさと納税については、ポータルサイトのテレビCMが頻繁に放映されるなど多額の広告費が費やされ、当該ポータルサイトにおいては「人気お礼品おすすめランキング」や「お礼品から探す」などの仕様となっており、返礼品の販売競争となっており、「ふるさとや地方団体の様々な取組を応援する」というふるさと納税制度の趣旨からはかけ離れていると考えるが、政府の見解は如何に。
八 ふるさと納税制度において返礼品となっている地場の特産品は、ふるさと納税制度によって実質的に無料で貰えることとなる。そうすると、ふるさと納税の返礼品として提供している商品とその類似品は、わざわざお金を出しては買われなくなるリスクがある、さらにはデフレの遠因になりうると考えるが、政府の見解は如何に。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.