答弁本文情報
令和四年十二月九日受領答弁第三四号
内閣衆質二一〇第三四号
令和四年十二月九日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員櫻井周君提出ふるさと納税が地方財政を圧迫している問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員櫻井周君提出ふるさと納税が地方財政を圧迫している問題に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、ふるさと納税制度(個人が都道府県等(都道府県、市町村又は特別区をいう。以下同じ。)に対し寄附を行った場合に、当該寄附に係る寄附金について個人住民税の寄附金税額控除を適用する制度をいう。以下同じ。)は、返礼品等(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号。以下「法」という。)第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項に規定する返礼品等をいう。以下同じ。)の提供の有無にかかわらず適用される仕組みであり、返礼品等の提供は、法第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項の規定による指定を受けた都道府県等の判断で行われているものである。
二及び七について
お尋ねについては、ふるさと納税制度は、ふるさとやお世話になった地方団体に感謝し、若しくは応援する気持ちを伝え、又は税の使いみちを自らの意思で決めることを可能とすることを趣旨として創設された制度であり、寄附を行った者に対する返礼品等の提供を含め、寄附金の募集については、法第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項並びにこれらの規定に基づいて定められた特例控除対象寄附金の対象となる都道府県等の指定に係る基準等を定める件(平成三十一年総務省告示第百七十九号)第二条の規定に基づき、都道府県等においてふるさと納税制度の趣旨を踏まえて適切に判断いただくものと考えている。
三について
ふるさと納税制度は、住所所在地の都道府県等に納める個人住民税の一部を他の都道府県等に実質的に移転させる効果を持つものであるが、住所所在地の都道府県等に納付される個人住民税額が大きく減少することがないよう、特例控除額(法第三十七条の二第十一項及び第三百十四条の七第十一項に規定する特例控除額をいう。)の上限は、個人住民税所得割の額の二割と定められているところである。これにより、個人住民税の大半は住所所在地の都道府県等に残ることとなり、ふるさと納税制度は、個人住民税における応益課税の考え方も踏まえた仕組みとなっていることから、「住民税の趣旨を損なうもの」との御指摘は当たらないと考えている。
四について
御指摘の「ふるさと納税制度が、増加すればするほど地方交付税の財源が不足することになる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方財政計画上、地方税の収入見込額については、標準的な収入見込額を計上しているところ、ふるさと納税制度に係る寄附金税額控除額については、他の税制上の特例措置と同様に、個人住民税の収入見込額を計上する際、直近の実績等を考慮して推計した控除額を反映させている。また、ふるさと納税制度に係る寄附金の受領額については、翌年度に見込まれる額の一定額を雑収入に計上している。このように、ふるさと納税制度に係る寄附金税額控除額及び寄附金の受領額を地方財政計画に適切に計上した上で、必要な一般財源総額を確保するとともに、地方交付税総額を適切に確保している。
五について
ふるさと納税制度を設けている趣旨については、二及び七についてで述べたとおりである。
六について
お尋ねについては、ふるさと納税制度は、個人住民税所得割が個人の所得に対して法第三十五条第一項及び第三百十四条の三第一項に定める率を乗じて課税することにより、高所得者ほど税額が大きくなる仕組みであることを前提として、三についてで述べたとおり、個人住民税所得割の額の二割を上限に税額控除を行うものであり、所得に応じて税負担を求める仕組みの性格を損なうものではないと考えている。
八について
ふるさと納税制度における返礼品等として地場産品を提供することについての影響については、地域における雇用の創出や新たな地域資源の発掘等により、地域経済の活性化等につながる効果があるものと考えている。