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令和四年十二月一日提出
質問第三九号

リンの過剰摂取を防ぐための食品表示法等改正に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




リンの過剰摂取を防ぐための食品表示法等改正に関する質問主意書


 リンは、人体の骨の形成や維持に欠かせない栄養素である一方、その過剰摂取は腎臓に負担をかけ、老化の原因になるという研究結果が出されている。この点、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(二〇二〇年版)」策定検討会報告書(以下、検討会報告書)では、「リンは多くの食品に含まれており、通常の食事では不足や欠乏することはない。一方、食品添加物として多くのリンが用いられており、国民健康・栄養調査などの報告値よりも多くのリンを摂取していることも考えられる。慢性腎臓病(CKD)ではリン摂取の制限も考慮されている。したがって、不足や欠乏の予防よりも、過剰摂取の回避が重要といえる」と指摘されている。食品添加物に含まれる無機リンの体内吸収率は九十%以上と高いことから、リンの中でも特に、無機リンの過剰摂取はまさに危険であるとされる。
 我が国では、食品表示法第四条第一項の規定に基づき制定された内閣府令である「食品表示基準」において、食品関連事業者に対し、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの表示を義務付けるとともに、飽和脂肪酸、食物繊維の表示を推奨しているが、リンを含むビタミン・ミネラル類等の表示は任意とされている。
 また、食品表示法では、「一般に広く使用されている名称を有する添加物にあっては、その名称をもって、別表第七の上欄に掲げるものとして使用される添加物を含む食品にあっては同表の下欄に掲げる表示をもって、これに代えることができる」といういわゆる一括名表示が容認されており、イーストフードやpH調整剤、香料、乳化剤等は当該添加物の物質名を記載する必要がない。しかし、例えば、pH調整剤は「ポリリン酸ナトリウム」「クエン酸ナトリウム」「酢酸ナトリウム」「フマル酸ナトリウム」といった複数の添加物の集合体であり、このうち「ポリリン酸ナトリウム」はリン添加物の一つであるが、物質名の記載が義務付けられていないことから、購入する側はリンが含まれているかの判断をするのが困難な状態となっている。
 今や慢性腎臓病は、日本人の成人のうち八人に一人が患う国民病になっているが、リンの過剰摂取を防ぐことは国民の腎臓機能ひいては健康を維持するために重要であると考えるところ、次の事項について質問する。

一 検討会報告書では、「生活習慣病の発症予防のためのリンの目標量を算定するための科学的根拠は十分ではなく、今回は設定しなかった」と記載しているが、二〇一五年、欧州食品安全機関(European Food Safety Authority)は、成人の一日摂取目安量(adequate intake)を五百五十ミリグラムに設定する旨の報告書を公表する等、諸外国ではリンの摂取基準を明確に示している例がある。検討会報告書では、今後の課題として「リン必要量の算定のために、生体指標を用いた日本人のリン摂取量に関するデータが必要である」と結んでいるが、今後、日本人のリン摂取量に関するデータ採取をどのように行い、国民のリンの過剰摂取をどのように回避する計画なのか、政府の見解を問う。
二 食品表示基準を見直し、リンについて、表示の義務付けもしくは表示の推奨を行うべきではないか。現行、ナトリウムに関しては、塩分の過剰摂取が人体に影響を及ぼすという認識の広まりの甲斐もあり、他のミネラル類とは異なり、表示が義務付けられていることを考慮すれば、リンについても表示の義務付けを行うべきだと考えるところ、政府の見解を問う。
三 添加物の一括名表示では当該添加物の有害性を判断することは困難である。添加物の全ての物質名表示義務付けは記載欄に限りがある関係で現実的ではないと考えられるものの、リン等の過剰摂取が人体に影響を及ぼすと考えられる物質については表示を義務付ける等の措置を取るべきではないか。

 右質問する。

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