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令和四年十二月一日提出
質問第四〇号

多国籍企業の租税回避防止のための方策に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




多国籍企業の租税回避防止のための方策に関する質問主意書


 多国籍企業の租税回避をどのように防止するかは各国にとって長年の課題であり、我が国では、平成三十年度税制改正で「恒久的施設」の定義を変更し、日本で多額の売上を上げているものの日本に「恒久的施設」を有していないとして法人税の納税を行っていない、もしくは極めて少額の納税しか行っていない多国籍企業への課税を行おうとしたものの、米国に拠点のある企業に関しては、日・米租税条約の規定により変更後の定義が適用されない状態となっている。
 他方、各国は、多国籍企業の租税回避を防止するため、一方的措置の実行を始めている。例えば、英国においては、二〇二〇年四月から、年間収益の閾値を超えるソーシャルメディアサービス等の運営企業に対して、控除額を超える英国デジタル収益の二パーセントを徴収するデジタルサービス税(Digital Services Tax)を導入した。その他、欧州では、フランス、イタリア、オーストリア、チェコ、ハンガリー、ラトビア、ノルウェー、ポーランド、スロバキア、スロベニア、スペイン、トルコ等が次々とデジタルサービス税の導入を進めているとされる。
 このような状況の中、昨年十月、「BEPS包摂的枠組み」会合において、国際課税の新たなルールに関する合意がなされた。同合意では、第一の柱として、「世界全体で上げている売り上げが二百億ユーロを超え、かつ、利益率が十パーセントを超える多国籍企業を対象として、十パーセントを超える残余利益の二十五パーセント」部分に対する課税権について、利益が生じた国でなく、売り上げが生じた国に配分されることが、また第二の柱として、「各国共通の最低法人税率の設定(十五パーセント)により、多国籍企業の租税回避を防止すること」が示された。
 右に対し、我が国財務大臣は、二〇一三年のBEPSプロジェクトの立上げ時から、国際課税改革に関する議論を一貫して主導してきたところであり、百年来続いてきた国際課税原則の見直しが今般、グローバルな枠組みの下で合意されたことを高く評価するとし、今後、多国間条約の策定・批准や、国内法の改正に向け、引き続き、各国と協調しつつ取り組んでまいりたいとの談話を発表している。
 以上を踏まえ、多国籍企業の租税回避防止に関する我が国の考えを確認したく、次の事項について質問する。

一 国際社会においては、各国の一方的措置が国際慣習法の形成や条約の締結に結実することが往々にしてあるが、多国間条約が未整備の現状において、デジタルサービス税を我が国において導入することは国際法上許容されると考えるのか、政府の見解を問う。
二 上述の財務大臣談話において、「今後、多国間条約の策定・批准や、国内法の改正に向け、引き続き、各国と協調しつつ取り組んでまいりたい」と述べているが、我が国政府がデジタルサービス税の導入を検討している事実はあるか。
三 我が国がデジタルサービス税を導入した場合、米国に拠点のある企業に対しても同税の徴収が可能になるのか、政府の見解を問う。

 右質問する。

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