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令和五年五月十六日提出
質問第六三号

飼料価格の高騰によって圧迫される酪農・畜産業支援に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




飼料価格の高騰によって圧迫される酪農・畜産業支援に関する質問主意書


 農林水産省は令和四年の農業物価指数(概数)を発表した。これによると、家畜用の飼料価格は二年間で三十八%上昇したとなっている。一方で、農産物の販売価格は二年間で一・四%の上昇にとどまっており、価格に転嫁できていない実態が浮かび上がった。
 飼料価格が高騰する原因としては、中国などで需要が旺盛なこと、ロシアのウクライナ侵攻による穀物流通量の減少、中国やロシアの輸出規制、歴史的な円安などが挙げられている。配合飼料価格安定制度だけでは、高騰が続いた場合に基準単価も上昇するため、農家に対する補填額が事実上減っていくことが懸念されている。
 酪農家や畜産家は、飼料の無駄をなくし、新たな飼料資源や国内の飼料の活用など、給餌の適正化・合理化を進めているが、輸入飼料価格の高騰に対応しきれていない。
 更に、酪農においては搾乳のためにメス牛は妊娠して子どもを産む必要があることから、一定数の子牛が生まれる。ホルスタインどうしの交配によってメス牛が生まれた場合は乳牛として育てられるが、オスや交雑種の場合は肉牛として畜産家に渡っていく。飼料価格の高騰により、この子牛の買い控えが進んでおり、子牛の取引価格が大幅に下落している。飼料価格が高止まりし、生産品の価格は上がらず、子牛も売れないという、非常に厳しい状況が発生していることに対して、政府の見解を以下質問する。

一 現在の配合飼料価格安定制度では、輸入原料価格が直前一カ年の平均を上回った場合に通常補填基金が発動される。令和五年三月に発表された畜産・酪農緊急対策パッケージでは、新特例として、二年間以上連続で補填が発動した場合、直前二・五年間の平均価格との差額を補填するとした。しかしそもそもこの制度では、基金から補填することとなっており、基金残高が不足した場合は借り入れて対応することとなっている。長期化した場合、借り入れによる対応を行うのか、政府から資金を投入するのか、今後の見通しと、制度の今後の在り方について政府の見解を求める。
二 配合飼料価格安定制度の異常補填基金については、令和二年度より発動している。国が直接拠出する制度のため、随時積み増しが行われている。しかし発動条件が、輸入原料価格が直前一カ年の平均と比べて百十五%を超えた場合となっており、現在の飼料高騰が高止まりして微増で推移した場合は発動しない可能性がある。中長期スパンでの高騰に対しても異常補填基金による補填が行えるようにすれば、国が直接支援を行うことができるようになる。制度の改善をする必要があるのではないか、政府の見解を求める。
三 子牛の取引価格の下落について、「以前は十四万円程度で取引されていた交雑種が五千円まで値下がりした」「最低価格の千円でも買い手が見つからずに取引が成立しない」といった事象が報道されている。買い取り先がない場合は殺処分も発生しているという。農林水産省は、アニマルウェルフェアの考え方を踏まえた家畜の飼養管理の普及に努めているが、子牛が殺処分されているような現状について、どのように考えているか。また子牛の保全や価格の適正化に向けた対策について、併せて見解を求める。
四 子牛を購入しなければ、酪農・畜産は継続できない。酪農家・畜産家は、生産品の販売価格が上がらず、飼料や光熱費などの経費が大幅に上昇する状況において、離農を検討し始めており、実際に飼養戸数は減少し続けている。食料安全保障の観点から、食料自給率の低下は食い止めなければならない。酪農家・畜産家の離農対策として、短期的には現金給付・現物給付・融資の拡大など総合的に大規模な支援が必要であり、長期的には酪農・畜産を稼げる業として成長させていかなければならない。短期的支援と長期的な施策をどのように進めていくか。政府の見解を求める。

 右質問する。

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