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令和五年六月十三日提出質問第九八号
人工妊娠中絶に関する質問主意書
提出者 櫻井 周
人工妊娠中絶に関する質問主意書
母体保護法第十四条によれば、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの(一号)」「暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの(二号)」に該当する場合には、人工妊娠中絶を行うことができる。
厚生労働省が公表した衛生行政報告例によれば、二〇二〇年度の人工妊娠中絶届出件数は十四万千四百三十三件であった。これは、二〇二〇年度の出生数八十二万千七百六人と比較すると妊娠七件につき一件の割合で人工妊娠中絶が行われていることになる。
人工妊娠中絶については、母体保護など母親の選択の権利という面と胎児の命の権利という面があり、相反する権利のうちどちらか一方が絶対的に正しいというものではない。ただし、人工妊娠中絶の手術自体には母体への精神的肉体的負担とリスクが伴うことから避けられるにこしたことはない。また、胎児であっても命は守られるべきであるので、人工妊娠中絶は避けられるにこしたことはない。
平成六年から七年にかけて国立公衆衛生院の林謙治医師が首都圏の複数の大学病院の産婦人科において、二十歳から五十歳の範囲で人工妊娠中絶の実態に関する調査を行ったところ、一回目の妊娠で中絶となった場合では「未婚」が理由としている割合が約五割であるが、四回目の妊娠で中絶となった場合では「経済的理由」が二割を超えた。すなわち、子育て支援の充実によって、人工妊娠中絶を減らし、出生数を増やすことができ、また胎児の命を守られる可能性があると考えられる。
これらを踏まえ、以下質問する。
一 人工妊娠中絶を行う理由について政府はどのように把握しているか。すなわち、母体保護法第十四条第一号に該当する場合での人工妊娠中絶について、身体的理由と経済的理由を分類して把握できているか。身体的理由と経済的理由を分類して把握できていないのであれば、分類して把握することを提案するが、政府の見解は如何に。
二 岸田内閣は、「急速に進展する少子化により、我が国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれています」と表明し、少子化と人口減少に対する対策を講じることとしている。避けられる人工妊娠中絶を減らすことは出生数の増加に直結することから、即効性のある少子化対策を推進できると考えるが、政府の見解如何に。
右質問する。