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令和六年五月十五日提出質問第九三号
不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書
提出者 中谷一馬
不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書
一 本年五月十日付中国新聞によれば、二〇〇〇年以降の自民党政権で官房長官を務めた元政権幹部が中国新聞の取材に対し、国政選挙の候補者に陣中見舞いの現金を渡す際に内閣官房報償費(以下「機密費」という。)を使ったと証言し、選挙への使用は目的外使用の可能性があり、元官房長官は不適切な支出だったと認めたとされる。
元官房長官によると、国政選挙で首相に頼まれて候補者の応援演説に出向いた際に、機密費から陣中見舞いの現金を渡したという。額は百万円だったと説明し、「首相が行けないから代わりに行ってくれと言われ、仕事みたいに思っていた」と釈明したとのことである。当該記事に記載されているような、国政選挙の候補者に陣中見舞いの現金を渡す際に機密費を使った事実があるのか伺いたい。
二 政府として、歴代の官房長官に対し、機密費を選挙資金として国政選挙の候補者に提供した事例があるか確認するべきと考えるが如何か。
三 本年五月十二日にNHK番組で、自民党の政治刷新本部政治資金に関する法整備検討ワーキンググループ座長を務める鈴木馨祐衆議院議員が機密費を巡り「選挙目的で使うことはない。断言する。」と語ったが、当該発言の根拠が示されていないことが問題となっている。
1 政府として機密費が選挙目的で使われたことがないと断言できる根拠を持っているか伺いたい。
2 根拠がある場合にはその詳細について根拠を示されながら明瞭に説明をされたい。
3 根拠が示せない場合、本件発言はそもそも政府に事実確認をされていない根拠のない発言であるのか伺いたい。
4 本件発言に関して、林芳正官房長官は「個々の議員の発言にコメントすることは差し控える」、「国の機密保持上、使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきており、個別具体的な使途に関するお尋ねにはお答えを一切差し控えている」旨の発言をしている。不適切な支出が疑われている問題に関して、岸田政権が真摯な説明を行わず真実を明らかにされない姿勢は国民の理解を得られないと考えるが如何か。
四 松野博一前官房長官が二〇二三年十二月一日から辞任した十二月十四日までの間に、使途が公表されない機密費を四千六百六十万円支出したとのことであるが、岸田政権は裏金問題の渦中の人物が使い道を明らかにしない多額の金を支出して、国民の理解・納得を得られると考えているのか伺いたい。
五 自民党と裏金の問題に関しては、実態解明は不十分、処分は甘く、自民党の改革案は羊頭狗肉と評される改革する気が全く見えない内容となっており、国民の怒りが頂点に達している。そうした中、菅義偉元首相が内閣官房長官に在任した七年八カ月余(二千八百八十二日)で政策推進費として領収書不要で自身に支出した機密費は八十六億八千万円超だったことが報じられており、支出した機密費の総額九十五億四千二百万円余の九十・九七%を菅元首相のつかみ金として一日平均三百七万円を使用した計算となる。一般的に未来永劫こうした支出の使途を秘匿にしたまま執行することは国民から理解を得られるものではない。
そうした中、本年五月十日付中国新聞によれば、法政大学大学院の白鳥浩教授は「機密費は本来、国家の安全のための情報活動などに使うべきだ。選挙の裏金として使うのは民主主義の根幹をゆがめる行為で、違法性も疑われる」と指摘、「第三者機関が秘密保持を誓約した上で、適正に使われているかをチェックできるよう運用を見直すべきだ」と提案したとされている。岸田政権は機密費について、本提案のように第三者機関が秘密保持を誓約した上で、適正に使われているかをチェックができるよう運用を見直す考えはないか。
六 機密費は、国の施策推進のために予算化され、機密を理由に使途は公表されていない状況にある。機密費の使い道を一定の期間をもって公表し、後世の人々がその利用が適正であったか検証できるように、例えば、二十五年後には「@政策推進費受領簿(内閣官房長官が政策推進費の繰入れを行う都度並びに会計年度末及び内閣官房長官が交代する際に作成する文書)」・「A支払決定書(調査情報対策費又は活動関係費の支払決定を行う都度作成される文書)」・「B出納管理簿(報償費の月ごとの出納状況をまとめた文書)」・「C報償費支払明細書(前月繰越額、本月受入額、本月支払額及び翌月繰越額等が記載されている文書及び各支払に関する一覧表)」・「D領収書等(役務提供者等の支払相手方から受領した領収書等)」などの機密費に関連する行政文書を公開し、ブラックボックスをなくしていくべきであると考えるが岸田政権の考えは如何か。
七 機密費は、「内閣官房の行う事務を円滑かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じて機動的に使用することを目的とした経費」であり、毎年度予算措置が講じられ、その取扱責任者である内閣官房長官の請求により国庫から支出され、内閣官房長官の手元におかれる。
1 機密費については、目的、支出方法等について定める法令は存在しないと認識しているがその理解で正しいか。
2 機密費を目的外に利用することや不適切な支出を行った際には何か罰則があるのか伺いたい。ない場合には何故何も罰則を設けないのか伺いたい。
3 機密費について、目的、支出方法等について定める法令は存在しないと認識している。しかし、六までで述べたような問題点が生じていることから、機密費の目的、支出方法等を法令上明記し、その運用については国会の監視機能を働かせるとともに、不適切な取扱いについての罰則規定を設ける必要があると考えるが、岸田政権の考えは如何か。
右質問する。