質問本文情報
令和六年五月三十日提出質問第一〇六号
外国人による土地の所有に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
外国人による土地の所有に関する質問主意書
令和五年一月末、中国人女性がSNSに、日本の無人島を買いましたという投稿をしたことから、外国人による土地の取得・所有の問題が再燃している。中国のSNSでは領土が増えたなどと注目を集めているようであるが、実際には日本の領土を外国人が所有しているだけであり、領土問題とする認識は間違っている。
他にも長崎県対馬のような島嶼やリゾート地において、外資による土地や不動産の買収が進められている。また、都市部においては、マンションやビジネス用の事務所などを求める外資が増え、東京都を中心に、都市部の不動産価格は上昇している。不動産業界においては、未利用地や空き家の活用など、外資の参入による活性化が進むというメリットがある。
しかし、その使途や占有方法によっては、安全保障上の問題や、資源など経済的損失のおそれがある。そのため我が国では、令和四年にいわゆる重要土地等調査法が施行され、重要施設周辺や国境離島などの土地利用を制限した。
そんな中、岸田総理は、令和六年三月二十五日の参議院予算委員会において、外国人による土地取得の規制について検討を進めたいと答弁している。法整備以降の状況と今後の方向性について、以下、政府の見解を質問する。
一 重要土地等調査法で政府が指定する区域は国境や重要施設周辺となっており、辺境の土地もある。自治体や施設管理者の協力が不可欠と考えるが、どのように調査や管理を進めているか政府の取組を伺う。
二 「注視区域」「特別注視区域」は、防衛施設や国境周辺がほとんどである。発電所、港湾などの重要インフラ周辺について拡充する予定はあるか。また、ダムや水源、森林、天然ガスや地熱など資源を有する土地について拡充する予定はあるか、政府の見解を伺う。
三 現在は、外国人の個人・法人にかかわらず日本国内の土地を所有することは可能であり、また外国人同士での転売も可能である。国内の開発予定地において、大量の外国人が一坪地主として権利関係を複雑にして開発を妨害した場合、用地取得が困難になると考えられる。このような事態にならないように対抗措置はできているか、政府の見解を伺う。
四 中国やフィリピンはもとより、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツなど多くの先進国は、外国人による土地の取得を制限している。オーストラリアでは政府の承認を必要としている。区域を限定して利用法を制限するやり方だけではなく、外国人の土地所有を制限・承認・登録などする制度について、政府はどう考えているか見解を伺う。
五 すぐに外国人による土地の所有を制限することは難しいとしても、まずは外国人所有の土地についてデータベース化し、現状の把握と起こり得る危機を研究する必要はあるのではないか。連絡がつかなくなったり、権利関係が整理できなくなる前に、現状把握をすべきと考えるが、政府の見解を伺う。
右質問する。