質問本文情報
令和六年六月七日提出質問第一三一号
有機フッ素化合物(PFAS)規制の遅れに関する質問主意書
提出者 長妻 昭
有機フッ素化合物(PFAS)規制の遅れに関する質問主意書
一万種類以上あるといわれる有機フッ素化合物(PFAS)のうち、日本では、二〇一〇年にPFOSが、二〇二一年にPFOAが、二〇二四年にPFHxSが、法律で、製造・輸入が禁止された。しかし、在庫の使用は禁止されていない。
環境省の見解(PFOS、PFOAに関するQ&A集 二〇二三年七月時点)としては、「PFOS、PFOAは、人においてはコレステロール値の上昇、発がん、免疫系等との関連が報告されています」とある。
二〇二三年十二月、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が定める、PFOSとPFOAに関する発がん区分が格上げされた。PFOAがグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に格上げとなり、PFOSもグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)に格上げとなった。
先進国ではPFASの規制強化の取組が進められているが、日本は後れを取っている。内閣は、国民の健康を守るという意識が希薄であるといわざるをえない。そこで以下、内閣にお尋ねする。
一 PFASは人体にどのような悪影響を及ぼすのか。現在、得られている知見を、PFOS、PFOA、PFHxSごとに、それぞれ、お示し願いたい。また、PFASを規制している先進国はどのような健康への悪影響を懸念しているのか、把握するところを、具体的にいくつかの国の事例をお示し願いたい。
二 PFOSとPFOAのヒトの血中濃度の遵守すべき上限基準をつくるべきと考えるが、その予定はあるのか。
三 国内でPFOSとPFOAの暫定目標値を超えた検出がなされた地域は全国で何か所あるのか。そのうち、東京都内の場所の地名と取られた対策について把握するところをお示し願いたい。
四 PFOSとPFOAのヒトの耐容一日摂取量(TDI=環境汚染物質等の非意図的に混入する物質について人が生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量)は、EU、米国、オーストラリアはじめ多くの先進国で定められている。日本では未だ定められていない。内閣府の食品安全委員会で議論されパブコメに付されていると聞いているが、年内には定めていただけるのかお教え願いたい。また、日本が後れをとっている理由をお示し願いたい。内閣は、後れていることに反省をしていただきたいと考えるがいかがか。また、なぜ、PFHxSに関してはヒトの耐容一日摂取量を定めることを見送るのか、お示し願いたい。
五 現在、PFOSとPFOAの暫定目標値は公共用水域(河川、湖沼、港湾、沿岸海域、その他)、地下水、水道水に限られている。なぜ、飲料水、工場の排水、土壌には暫定目標値すらないのか。この暫定目標値を法律で取り締まることのできる、正式な目標値や環境基準値にする予定はあるのか。何時迄に定めるのか、お示し願いたい。先進国から相当後れをとっているが、内閣は国民の健康を守る気概があるのか、お尋ねする。
六 現在実施されている子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)は、化学物質等の影響について、十万人の子どもを生まれる前から十八歳まで追跡調査するものである。そこにはPFOS、PFOA、PFHxSの影響調査も含まれているのか。また、東京都民は対象から除外されているが、それはなぜか。ぜひ、東京都民を含めていただきたいと考えるがいかがか。東京都民の調査をしないということであればその合理的な理由をお示し願いたい。
右質問する。