質問本文情報
令和六年六月十四日提出質問第一五七号
高濃度PCB廃棄物の処理に関する質問主意書
提出者 屋良朝博
高濃度PCB廃棄物の処理に関する質問主意書
令和六年六月四日に受領した質問主意書に対する答弁書(内閣衆質二一三第一〇一号)を踏まえ、PCB廃棄物の処理に関し、以下の事項について答えられたい。
一 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物」の定義について
1 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特措法」という。)第二条第一項及び第二項において、ポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)及び高濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「高濃度PCB廃棄物」という。)の定義が定められているが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)第二条第一項を踏まえ、PCB廃棄物又は高濃度PCB廃棄物の発生の始期は、PCB特措法第二条第三項及び第四項で定めるポリ塩化ビフェニル使用製品(以下「PCB使用製品」という。)又は高濃度ポリ塩化ビフェニル使用製品(以下「高濃度PCB使用製品」という。)の占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となった時点と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
2 高濃度PCB使用製品は、PCB特措法第十八条第三項及び第二十条第二項において同法第十条で定める処分期間内又は特例処分期限日までに廃棄されなかった高濃度PCB使用製品について高濃度PCB廃棄物とみなす規定を置いている。そこで、廃棄物の該当性の判断において、全ての高濃度PCB使用製品は、処分期間又は特例処分期限日を経過した時点において、高濃度PCB廃棄物と判断されると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
二 高濃度PCB使用製品が設置された建物について
1 物件引渡し後に買主が建物を解体撤去することが前提の不動産取引の場合、建物に付帯する設備である高濃度PCB使用製品の処分責任は売主側にあるか、買主側にあるか明らかにされたい。また、不動産取引後の建物内にPCB特措法における届出がなされていない高濃度PCB廃棄物が確認された場合の処分責任の所在について明らかにされたい。
2 沖縄県内の建物において設置されている高濃度PCB使用製品については、PCB特措法第十条の処分期間又は特例処分期限日を経過した令和三年四月一日又は令和四年四月一日以降、その届出の有無又は使用若しくは保管状況にかかわらず、同法第十八条第三項及び第二十条第二項の規定により高濃度PCB廃棄物であると判断されると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
3 PCB特措法第十七条においては、PCB廃棄物の譲渡し及び譲受けの制限が規定されている。同法第十条の処分期間又は特例処分期限日の経過後である令和三年四月一日又は令和四年四月一日以降、沖縄県内における高濃度PCB使用製品が設置されている建物の所有権の移転においては、同法第十八条第三項及び第二十条第二項の規定により高濃度PCB使用製品が高濃度PCB廃棄物であると判断されるため、建物の所有権とは別に同法第十七条の規定により高濃度PCB廃棄物である高濃度PCB使用製品の所有権の移転は制限を受けると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 在日米軍基地から排出された高濃度PCB廃棄物の処理について
1 政府は、在日米軍から引き渡された建物に設置されている高濃度PCB使用製品については、建物として引き渡され、防衛省が工事を行うことによってPCB廃棄物が結果として発生したとしている。しかし、PCB特措法第十条の処分期間又は特例処分期限日を経過した高濃度PCB使用製品は、同法第十八条第三項及び第二十条第二項の規定により、高濃度PCB廃棄物と判断される。そのため、防衛省及び在日米軍の間で廃棄物処理法など関係法令によって建物本体の譲受けがなされたとしても、建物に設置されている処分期間又は特例処分期限日を経過した高濃度PCB使用製品は、PCB特措法の規定により高濃度PCB廃棄物であると判断されることからPCB特措法第十七条の規定に基づき、譲渡し及び譲受けの制限を受けるとともに、同法第三条及び第十条の規定により前の所有者である在日米軍が一義的にその処分責任を負うと解するのが適当であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
2 これまで、建物が在日米軍から防衛省に引き渡された際に防衛省は、電気事業法における高濃度PCB含有電気工作物に係る新たに判明した場合若しくは譲受けに関する届出又はPCB特措法における高濃度PCB使用製品若しくは高濃度PCB廃棄物の保管若しくは譲受けに関する届出を行っているか明らかにされたい。
3 政府は、PCBに関するパンフレットなどにおいて、建物の売買契約を行う前に、PCB使用製品の設置の有無の確認や電気事業法及びPCB特措法に従い、所要の手続を行うことを国民に求めている。それにもかかわらず、防衛省が在日米軍から建物を引き受ける際にPCB使用製品の有無を確認しないことは矛盾していると考えるが、政府の見解を伺いたい。
4 平成十八年七月二十一日、投資法人がPCB付物件の取得の際に前所有者に届出義務や処分責任があるとするPCB特措法の規定を確認せず、投資法人が管理するものとして届出を行ったため、金融庁から行政処分を受けた。政府はこの金融庁の処分においてPCB特措法の義務や責任に関する判断を示しながら、他方で在日米軍から建物を防衛省に引き受ける際にはPCB使用製品の有無を確認せず、その処分責任を在日米軍に求めないとの見解は論理が破綻していると考えるが、政府の見解を伺いたい。
右質問する。