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令和六年六月十八日提出
質問第一八四号

「航空輸送の安全の確保に向けた更なる取組みについて(厳重注意)のご報告」にかかる政府の対応に関する質問主意書

提出者  早稲田ゆき




「航空輸送の安全の確保に向けた更なる取組みについて(厳重注意)のご報告」にかかる政府の対応に関する質問主意書


 政府は、令和六年五月二十七日、日本航空株式会社(以下、「日航」という。)において運航に関する安全上のトラブルが相次いで発生したことに対して行政指導を実施したところ、この行政指導に対して日航は、さる令和六年六月十一日に再発防止策として「航空輸送の安全の確保に向けた更なる取組みについて(厳重注意)のご報告」(以下、「当該報告書」という。)を提出した。この内容にかかる政府の今後の対応に関し、以下について政府の見解をあきらかにされたい。

一 日航が、政府の厳重注意を深刻に受け止め、短期間に対応策をまとめて政府に示したことに敬意を表するところであるが、当該報告書における再発防止策は、具体性に欠けているのではないか。経営トップによる意識の再徹底についていえば、メッセージを伝えるだけでトラブルが改善できるかのような内容でしかなく、経営トップに本来求められる、経営と航空輸送の現場にいかにして安全を定着させるか具体的な改善策が示されていない。確かに具体策として、中長期的対応において、グループ安全対策会議にてフォローしていくとの記述があるが、これは単にフォローしていくだけであって、具体的な改善策とはいえない。このような具体策の明示のない報告をもって、日航の再発防止策を十分なものと判断するのか。このように具体的な改善策を示す意思表明をしていない経営トップに任せたままで空の安全を確保できると考えるのであれば、その根拠を示されたい。
二 当該報告書「安全管理システムの見直し」の項において、安全対策会議において対応状況の進捗確認と新たに認識された課題への対応を行っていくことで、経営として責任をもって遂行するとあるが、これは今回生じた事象に限った検証と読める書きぶりであり、業務全般を見直し安全管理対策を実施するという意志は読み取れない。このような場当たり的な安全管理システムの見直しでは、空の安全は確保できないのではないか。政府の見解を示されたい。
三 当該報告書にはまた、空港内における管制指示の誤認事例について、コックピット内で状況確認が十分に行われなかった事例であることが指摘され、なかには副操縦士が誤認された状況に疑義をもっていたのにもかかわらず、「確認」という役割を果たせなかったと記載されていることから、クルーリソースマネジメント(以下、「CRM」という。)を実施する余裕が運航乗務員のなかに醸成されていないことが示唆されている。CRMが欠如した航空輸送が安全でないことは、大韓航空八五〇九便事故やアリタリア航空四〇四便事故などの事例でもあきらかであり、当該報告書においても中長期対応としてCRMの強化がうたわれているものの、「継続的なCRM強化に向けた取り組みの実施」とだけあり、具体的な取り組みについてまったく記載がないのは不適切ではないか。また、そもそもCRMの強化は、事故防止において鍵となる方策であり、中長期的ではなく、迅速に対応すべきと考えるがいかがか。
四 政府は今回、日航に対して一連のトラブルの個々に対して対応を求めたのか、それとも業務全般について見直しを行い安全運航を定める要因について分析し改善するように求めたのか。もし後者であるなら、このような具体的な改善策が示されていない報告書では、空の安全が確保できないと考えるがいかがか。
五 当該報告書では、一部に個人に責任を帰するような記述が見受けられるが、一連のトラブルは個人の問題である前に企業ガバナンスと企業文化の問題にあり、安直に個人の責任を問うべきではないと考える。たとえば飲酒問題の言及や「たちどまることができない個人」などと記載があり、飲酒禁止という再発防止策では、適切な対応ができている多くの従業員に対するストレス要因を新たに生むだけであり、本質的な解決策につながらないと考える。ストレスマネジメントなどを含む会社としての対応策を真摯に検討せず、個人の意識を改善することのみでは安全管理が確保できないと考えるがいかがか。
六 航空輸送の安全確保は航空会社の責任であると同時に、政府の責任でもある。首都東京の上空に羽田空港への離着陸ルートが設定されている現状において、十分な安全対策が確認されるまでは、首都東京の上空通過ルートの飛行を禁じるなどの方策も検討されるべきではないか。
七 日航は安全運航の基本に「安全憲章」を定め、プロの使命と責任として「知識」「技術」そして「能力の限りを尽くす」の三点を規定しているが、その中に「経験」という文言は含まれていない。「経験」は世界の航空業界において、安全の要の一つとして常識であるにもかかわらず、日航においては「経験」が軽んじられているのではないか。日航は、安全運航にまい進するためにも、私のほか二十四名の超党派の国会議員が東京都労働委員会に要請しているように、ベテランのパイロットや客室乗務員などからなるJAL被解雇者労働組合が救済を申し立てている解雇争議を早期に解決するべきと考えるがいかがか。

 右質問する。

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