答弁本文情報
令和六年六月二十八日受領答弁第一八四号
内閣衆質二一三第一八四号
令和六年六月二十八日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員早稲田ゆき君提出「航空輸送の安全の確保に向けた更なる取組みについて(厳重注意)のご報告」にかかる政府の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員早稲田ゆき君提出「航空輸送の安全の確保に向けた更なる取組みについて(厳重注意)のご報告」にかかる政府の対応に関する質問に対する答弁書
一について
前段のお尋ねについては、日本航空株式会社(以下「会社」という。)から国土交通省に提出された御指摘の「航空輸送の安全の確保に向けた更なる取組みについて(厳重注意)のご報告」(以下「報告書」という。)においては、「経営トップによる率先した航空安全に対する意識の再徹底」及び「安全管理システムの見直し」等の再発防止策について、「緊急対応」、「短期対応」及び「中長期対応」の三段階で実施することとされていると承知しており、今後、それぞれの段階において、会社による当該再発防止策が更に具体化されていくものと想定される。
中段のお尋ねについては、同省としては、今後、報告書に記載された再発防止策の実施状況等について、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号。以下「法」という。)第百三十四条第二項の規定に基づく立入検査等を通じて確認を行うこととしており、報告書の記載内容のみをもって再発防止策がお尋ねの「十分なもの」かどうかについて判断していない。
後段のお尋ねについては、会社のお尋ねの「経営トップ」の選任については、政府としてお答えする立場にないが、いずれにせよ、報告書においては、会社の社長が「全社員に向けて注意喚起のための動画メッセージを発信」するだけでなく、会社の経営陣が「現場実態の把握、発生した事象に対するより踏み込んだ分析と対策を行う」とともに、それらについて「責任をもって遂行する」こととされていると承知しており、お尋ねの「経営トップ」が「具体的な改善策を示す意思表明をしていない」とは考えていない。
二について
お尋ねの「このような場当たり的な安全管理システムの見直し」の意味するところが必ずしも明らかでないが、報告書においては、会社が「一連の安全上のトラブルに対する即時措置を実施」し、「対策の定着」を図った上で、会社の「安全推進本部におけるリスクマネジメントの振り返り等の安全管理システムの総点検」等を実施することとされていると承知しており、国土交通省としては、御指摘の「空の安全」の確保に向けて、今後、報告書に記載された対策の実施状況等について、法第百三十四条第二項の規定に基づく立入検査等を通じて確認を行うこととしている。
三について
御指摘の「CRMの強化」については、報告書においては、会社が、「定期訓練における滑走路誤進入に関する項目」を追加する等の対策を行うこととした上で、「継続的なCRM強化に向けた取り組み」を実施することとされていると承知しており、御指摘のように「具体的な取り組みについてまったく記載がない」とは考えていない。
また、お尋ねの「迅速に対応すべきと考えるがいかがか」については、会社において、早期に対応が可能なものから順次対応していくこととしていると承知している。
四について
前段のお尋ねについては、国土交通省が会社に対し行った厳重注意の内容は、御指摘の「安全上のトラブルが相次いで発生した」ことを踏まえて再発防止策を同省に報告するよう会社に指示したものであり、御指摘の「一連のトラブル」に係る個別の再発防止策と安全管理体制全般に係る見直しの両方を求めたものである。
後段のお尋ねについては、一についてでお答えしたとおり、会社においては「緊急対応」、「短期対応」及び「中長期対応」の三段階で再発防止策を実施することとされていると承知しており、今後、それぞれの段階において、会社による当該再発防止策が更に具体化されていくものと想定されるところ、同省としては、御指摘の「空の安全」の確保に向けて、その具体的な取組や実施状況について、法第百三十四条第二項の規定に基づく立入検査等を通じて確認を行うこととしている。
五について
お尋ねの「一部に個人に責任を帰するような記述が見受けられる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、報告書においては、会社の経営陣が「更なる不具合の発生を防ぐため」に「職場」の状況等を「把握」した上で、「把握した現場の状況から取り組むべき問題点を洗い出」すとともに、会社として「把握した課題に対する対応計画を策定」することとされているものと承知しており、報告書が御指摘のように「ストレスマネジメントなどを含む会社としての対応策を真摯に検討せず、個人の意識を改善することのみ」を内容とするものとは考えていない。
六について
お尋ねの「首都東京の上空通過ルートの飛行を禁じる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、将来的な航空需要の拡大を見据え、我が国の国際競争力の強化、首都圏における航空機の騒音による影響の分散等の観点から、引き続き運用する必要があると考えている。
七について
前段のお尋ねについては、会社の御指摘の「安全憲章」において「経験」という文言は含まれていないものと承知しているが、会社が法第百三条の二第一項の規定に基づき定める安全管理規程において「全ての社員は、安全のプロフェッショナルとして行動し、それぞれの経験および訓練に見合った知識、技術、能力をもって運航の安全に貢献する」とされているものと承知しており、国土交通省としては、御指摘の「安全憲章」に「経験」という文言がないことをもって、会社において御指摘のように「「経験」が軽んじられている」とは考えていない。
後段のお尋ねの「解雇争議」については、会社における雇用関係に係る問題であることから、会社において適切に対処すべきものと考えている。